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Facebook訴訟のWinklevoss兄弟、仮想通貨Bitcoinに賭ける

 Facebookが自分たちのアイディアを盗んだものだとしてMark Zuckerberg氏を訴えたことで知られる“Winklevossの双子”、Tyler Winklevoss氏とCameron Winklevoss氏の兄弟が、仮想通貨Bitcoinの上場投資信託(ETF)製品を米証券取引委員会(SEC)に申請した。Winklevoss兄弟はすでにBitcoinの1%を所有しており、その将来を信じてのことだ。彼らの「Bitcoinはメジャーになる」という読みは的中するのだろうか。

利用はごく一部にとどまっているBitcoin

 Winklevoss兄弟は、自分たちのサービスのためにZuckerberg氏にプログラミングを依頼した際、同氏がアイディアを盗用してFacebookを立ち上げたと主張して訴訟を起こした(2011年に和解)。ハーバード大卒で、ボートの五輪代表も務めた長身、がっりしたスポーツマンの双子で、オタク系の多いIT業界では人気がないようだ。その彼らが昨年、ハイテクを対象としたベンチャーキャピタルを立ち上げて評判になっていた。そしてBitcoinに行き着いたのだ。

 そもそもBitcoinとは何だろう。Bitcoinは「BTC」という通貨表記を持つ電子マネーで、中央銀行のような中核機関や政府と関係を持たない通貨だ。「Satoshi Nakamoto(サトシ・ナカモト)」と名乗る匿名人物の2009年の論文に基づいており、「Bitcoin Network」というP2Pネットワークを利用してやりとりが行われる。管理は「Wallet(財布)」で行い、Walletはインストール型のクライアントや「Blockchain」などのサービスでも開設できる。

 Bitcoinを入手するには、「bitcoin miner」と呼ばれるアプリケーションを利用し、自分のコンピュータリソースを提供して「mining(採掘、難解な演算を実行する)」を行うか、または実際の通貨からBitcoinに両替できるMt.Goxなどの取引サイトを利用するのが一般的のようだ。発行量が制限されていること、利用にはコンピュータの知識やスキルが必要なことなどから、メジャーな存在にはほど遠い。そのため利用者はごく一部に限定されており、使える場所も少ない。

 Bitcoinは匿名で所有や取り引きが可能だが、Winklevoss兄弟は今年4月、総流通量の1%のBitcoinを所有していることを明らかにした。米ドルにして1100万ドルに相当するといわれている。

 このBitcoinに投資できるETF「Winklevoss Bitcoin Trust」を作るというのが、7月1日にSECに提出した申請内容だ。金、銀やコモディティETFのように、直接Bitcoinを売り買いすることなく、ファンドを通して投資が可能になるという構想だ。「(Winklevoss Bitoin Trustにより)Bitcoinはメジャーになり、メインストリームの投資家たちがアクセスできるようになる」「Bitcoinの購入にまつわる軋轢(あつれき)と、保管にあたってのリスクを軽減し、直接持つのに近い投資効果を得られる」とTyler Winklevoss氏はNew York Timesにそのメリットを語っている。

(岡田陽子=Infostand)