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IaaSとSaaSの大手が接近、SalesforceとAWSの提携拡大

 Salesforce.comとAWS(Amazon Web Services)。パブリッククラウド大手2社が距離を縮めている。両社は5月、既存の提携を拡大し、Salesforce.comは中核となるSaaS製品のインフラとしてAWSを利用すると発表した。オンプレミス時代にIBMとSAPがエンタープライズの主流だったように、クラウド時代はAWSとSalesforceになるとの声も出る。

4年で4億ドル? SalesforceがAWSの利用を拡大

 Salesforce.comは5月25日、ブログとプレスリリースでAWSとの提携拡大を発表した。それによると、Salesforce.comは自社SaaSの基盤でのAWSの利用を拡大し、中核製品である「Sales Cloud」「Service Cloud」「App Cloud」「Community Cloud」「Analytics Cloud」などで採用する。「国際的なインフラの拡大のため」としており、これにより、一部の国際市場において、新しいインフラを迅速に、効率よくオンラインにできるという。

 ブログは、Salesforceの共同創業者であり、CEOのMarc Benioff氏の右腕で技術全体を担当するParker Harris氏のもので、提携の重大さをうかがわせる。

 CIO Todayによると、Salesforce.comが米証券取引委員会(SEC)に提出している四半期報告書(フォーム10-Q)で、「サードパーティのプロバイダ」に今後4年間で4億ドルを費やすと説明している。両社に近い筋も、その関係を認めていたとのことだ。

 Salesforce.comは、この正式発表の前、5月半ばの決算発表カンファレンスコールで、提携拡大を示唆していた。それを報じたFortuneによると、Benioff氏は「(Amazon CEOの)Jeff Bezos氏と私は、将来のクラウドについての考えが一致している。われわれは今後も成長し、これを戦略的に拡大していく」と述べたという。

 また、「Amazonと素晴らしい関係にある。AmazonはSalesforceの大型ユーザーだ」と述べていたという。つまり、両社が相互にクラウド製品を使うということになる。Fortuneは消息筋からの情報として、AmazonはSalesforceを全社的に利用すると報じており、実際にSalesforceのCOO自身が自社ソフトウェアでのAmazonとの契約額を「9桁(億ドル単位)」と述べていると伝えている。