NECとCA Technologies、クラウドによる認証・セキュリティソリューションで協業


 日本電気株式会社(以下、NEC)とCA Technologies(以下、CA)は9日、クラウドを利用した認証・セキュリティソリューション分野で協業すると発表した。CAの提供するソフトウェア認証技術「ArcotID」を用いた「CA Arcotソリューション」を、NECのID活用基盤ソフトウェア「NC7000-3A」などに統合して提供し、今後3年間で30億円出荷規模を目指す。

 今回の提携の背景について、NEC キャリアサービス事業本部の奥屋滋副事業本部長は、「今回のソリューションは、利用者が急増しているスマートフォン向けに、利便性が高く、高セキュリティを実現したサービスを提供するために活用できる。さらに、われわれが持っている製品と組み合わせることで市場に最適に提供できると判断した」と説明している。

 NECでは、スマートフォンサービスを今後注力する成長戦略事業のひとつと位置づけている。スマートフォンサービスの中では、企業向けに提供するセキュリティ、シンクライアント、個人向けに提供するID認証、ソーシャルグラフなどがあり、それぞれを独自に開発したスマートフォンサービス基盤を活用して提供していく方針を打ち出した。


NEC キャリアサービス事業本部の奥屋滋副事業本部長NECが注力する4つの事業領域NECのスマートフォンサービスへの取り組み
CA Technologies CA Arcotセキュリティソリューション担当のラム・バラダラジャン ジェネラル・マネージャ

 今回のID認証ソリューションは、スマートフォンの利用者が急増し、これまでフィーチャーフォンやPCを使って行っていたインターネットショッピングを、スマートフォンを利用して楽しむ利用者が増えていくが、IDやパスワードによるログインはなりすましなどセキュリティトラブルも増加する可能性があることに着目。これまでは対策として、ワンタイムパスワードの提供や、PCで使われていたUSBメモリに電子証明書を格納して認証するトークンなどがこれまで利用されてきた。その場合、長いパスワードを一回ごとに入力しなければならないために手間がかかり、別途ハードウェアが必要となるなど利用者の利便性が低下する傾向にあった。

 「利用者の使い勝手を優先するとセキュリティレベルが低下し、高セキュリティを実現しようとすると使い勝手が悪くなるという状況に置かれてきた。そこで当社は使い勝手と高セキュリティの両方を実現する技術を開発。これまではハードウェアに格納して提供されてきたトークンをソフトウェアで提供することで、セキュリティ強度の高いID認証と手軽さの両方を実現することができる」(CA Technologies CA Arcotセキュリティソリューション担当ラム・バラダラジャン ジェネラル・マネージャ)。


認証・セキュリティ分野のこれまでの取り組み

 CA Arcotソリューションのベースとなっている「cryptographic camouflage」は、PKI秘密鍵、EMV鍵など、さまざまな鍵データを保護する特許技術。スマートフォンだけでなく、PCなどさまざまなデバイスでの利用が可能で、ネットワーク越しに証明書を配置できる展開の容易さが特徴のひとつとなっている。

 NECでは、NECのID活用基盤ソフトウェア「NC7000-3A」および総合セキュリティ対策ソリューション「NEC Mobile Security」に、CA Arcotソリューションを付加する形で、ネットショッピング事業者などに対して提供する考えで、価格は月額100万円から(30万ユーザーまでの場合)。


CA Arcotソリューション技術による問題解決ArcotIDの特徴ArcotIDのベースとなるCryptographic Camouflageによる秘密鍵の保護
CAのクラウドイノベーション分野におけるリーダーシップ今回NECが提供するソリューションの概要今回の提携内容の概要

 売り上げ目標としては3年後に30億円出荷を目指すが、「日本だけでなく、グローバル30か国に向けて順次出荷を行うことを計画している。一般的なクラウドサービスであるSaaS、IaaSに加え、オフィスサービス全体をクラウド化するDaaS、WaaS、さまざまなソーシャルクラウドを統合したCaaSといったものへと発展するクラウド向けに認証・セキュリティソリューションも拡張していくことを視野に入れており、市場拡大に合わせて30億円以上の出荷額にも挑戦していきたい」(奥屋副事業本部長)としている。


協業による今後の展開
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