マイクロストラテジー、モバイル化、ソーシャル化を加速

BIの新たな開発プラットフォームとサービスを提供


 マイクロストラテジー・ジャパン株式会社(以下、マイクロストラテジー)は14日、同社が提案するモバイルアプリケーション向け開発プラットフォームに関する取り組みを発表するとともに、ソーシャルネットワークを活用した新サービス「MicroStrategyソーシャルインテリジェンス」を発表した。

マイクロストラテジー セールスエンジニアリング&マーケティングの金翰新ディレクター

 モバイルアプリケーション向け開発プラットフォームは、同社がビジネスインテリジェンス(BI)ビジネスを推進する上でのキーワードとするソーシャル、クラウド、モバイル、ビッグデータの4つの領域への投資拡大策のひとつで、「単なるBIだけにとどまらず、すべてのアプリケーションをモバイル化するプラットフォームとして提供していくものになる。モバイル化、ソーシャル化を促進するものになる」(マイクロストラテジーの印藤公洋社長)と位置づけた。

 BI機能のほか、トランザクション、マルチメディアという3つの観点から機能を提供することを示し、「情報を参照するだけの従来型のBIから、今後は、情報を分析して判断してから、すぐに行動へとつなげるActionable BIが重要になる。これまでの分析だけを求めたBIの延長線上として、新たに判断、指示、承認といった行動を可能とすることで、情報を抽出するだけの利用から、情報を書き戻す(ライトバック)といった活用を実現する」と、マイクロストラテジー セールスエンジニアリング&マーケティングの金翰新(キム・ハンシン)ディレクターは語る。


マイクロストラテジーが打ち出すビジネスインテリジェンスプラットフォームモバイルインテリジェンスの3つの機能分析だけのBIの延長線上にActionable BIがあると定義

 例えば、発注管理では、発注状況の分析だけでなく、モバイル端末から、あらゆる場所にいながらリアルタイムに発注量の変更や、価格の更新などのアクションを起こすことが可能になるという。

 デザインパレットや再利用可能なテンプレート、ポータブルアプリケーションページを使用することで、アプリケーションの開発が可能であり、Web上で開発したものをすぐにモバイルアプリケーションとして利用することが可能という特徴を持ち、「高速かつ容易な開発と展開ができる」とした。

 開発においては、企業が利用している既存のERPシステムなどと連携。XQuery Builderを使用して、Webサービスを記述すれば、MicroStrategyプラットフォームにおいて、トランザクションレポートやダッシュボードを実装し、モバイルアプリケーションとして利用できるようになるという。

 「セキュリティやセッション管理といった環境は、すべてマイクロストラテジーが提供する。最小限の資源と作業工数で最大の効果を提供できる開発のプラットフォームになりうる」とした。


高速で容易な開発環境を提供するという既存のERPなどを活用して連携するのも特徴

 また、同プラットフォームの活用を促進するために、モバイルBIを開発するプラットフォームである「MicroStrategy Mobile Suite」を25ユーザー分をフリーライセンスとして提供。150万円で10日間利用できるエキスパートSE支援体制「Mobile QuickStrike」の提供、半日に渡るセミナーを通じた無料の体験コース「Intro2Mobile」を提供するという。

 さらにマイクロストラテジーでは、iPhoneやiPad対応のモバイルインテリジェンスソリューションを、昨年7月から提供しているが、新たにAndroidをサポートすることを発表。「ひとつのデザインを、iPhone、iPad、BlackBerry、ブラウザ、Windowsなどに加えて、Androidにも展開できるエンタープライズレベルのソリューションプラットフォームになる」と位置づけた。


マイクロストラテジーが提供するプラットフォームの領域は幅広いひとつのデザインを複数のモバイル端末でも活用

 一方、新サービスのMicroStrategyソーシャルインテリジェンスでは、Facebookを活用することで、企業が個人との結びつきを強化できるソリューション。Facebookのデータを抽出し、このデータを分析するためにリレーショナルデータベース化する「MicroStrategy Gateway」、ファン分析やコンテンツ管理、ターゲットマーケティング、キャンペーンを行うための「Wisdom Enterprise Edition」、エンドユーザーが効率的にコンテンツを管理するファンページリーダーの「Alert」ソリューションで構成。

 「Facebookを活用して新たマーケティングに取り組みたい、どのようなファン層があるのか知りたいといった企業の狙いと、Facebookでソーシャルサービスを楽しみたい、自分がファンであるブランドやサービスの最新情報を簡単に管理したいというコンシューマユーザーの要求を実現するものになる。ソーシャルネットワークをパーソナルなネットワークとしてではなく、企業活動にどう生かしていくかということが求められていることに応えたものになる」(金ディレクター)という。


マイクロストラテジーのソーシャルインテリジェントサービスAlertはエンドユーザーのためのアプリケーションAlertの画面。AppStoreで入手ができる

 MicroStrategy Gatewayでは、Facebookのプロフィールなどの基本情報に加えて、これを補完する情報を、Facebookの書き込みなどから分析し、付加するデータエンリッチメント化を図ることで、好きな映画のジャンルといった情報まで連動。プロフィール情報に生まれ年が書き込まれていない場合でも、書き込み情報などから判断して、何年生まれということを補足することができるという。これらの情報をもとに、Wisdom Enterprise Editionで分析。企業のファンページに訪れているユーザーの属性を、嗜好(しこう)、興味、感情といった観点から細かく分析することができ、顧客ターゲットを特定することができるという。

 そのほか、同社では、自分のフレンドを分析するためのWisdom Personal Editionや、友人間のマーケットプレイスを実現するemmaについてもサービスを提供していることを説明した。

 「単にFacebookへのアクセス状況などを分析するというのではない。当社では、エンドユーザーに対して、Facebookを楽しむことができるアプリケーションを提供する一方で、それらの情報をもとに、企業がデータを分析し、ターゲティングし、顧客とのインタラクションにつなげるというループが回る分析ソリューションである点が、他社とは異なる」などとした。


Microstrategy Gatewayはデータエンリッチメントによってデータを補完するWisdom Enterprise Editionによって属性を分析するWisdom Persnal Editionの画面。個人で分析が可能

 MicroStrategyソーシャルインテリジェンスをすでに利用しているユーザーでは、Facebookを活用して、GPS連動によるイベント提供、プロファイルによるVIP登録、ワンクリックでのレストラン予約、限定割引クーポンなどのサービス提供が可能になっているという。

 マイクロストラテジーの印藤社長は、「当社は創業以来20年を経過するが、最初の10年は、クライアント/サーバー環境におけるBI専業ベンダーとして成長を遂げてきたか、次の10年は、Web上で利用が可能なBIを提供する最先端のベンダーとして、1996年からいち早くWeb対応を図った。大規模な顧客を持ち、大規模データベースを活用できるパフォーマンスを有し、BIにかかわる一貫した製品を提供してきたという点で高い評価を得てきた。中でも、BIを武器ととらえているような企業において当社製品の導入が進んでいる。今回の製品発表は、今後10年に向けて、いかに大規模ユーザーの要求に応えていくか、その経験をどう中堅・中小企業に展開していくかという方針を示したものになる。企業のアプリケーションがモバイル化されること、そしてソーシャル化することが重要になっており、よりフレンドリーなアプリケーションを提供することが必要になっている。企業は、顧客と新しい関係を作ることで、戦略的な価値を持つことができる。これに対して、当社は具体的なソリューションを発表していくことになる」などとした。


emmaも個人向けに提供するサービス。AppStoreで入手できるマイクロストラテジーの印藤公洋社長
関連情報