スマートフォン向けがセキュリティ市場の新たな成長要素に~IDC Japan


 IDC Japan株式会社は3日、国内セキュリティ市場の予測を発表した。

 それによると、2010年の国内情報セキュリティ市場において、ソフトウェア製品の市場規模は前年比2.7%増、セキュリティサービス市場は運用管理市場が好調だったため、同6.0%増といずれも成長している一方で、セキュリティアプライアンス製品市場は同2.8%減となり、市場規模が減少してしまっている。

 個別に見ると、セキュリティソフト市場は、ウイルス対策・メールセキュリティの両分野で、年間ライセンスの売り上げが安定し、今後も堅調に推移すると見られている。IDC Japanでは、2011年の市場規模は前年比3.2%増の2043億円、2009年から2014年までは年間平均成長率3.1%、2014年の市場規模を2244億円と見積もっている。

 セキュリティサービス市場は、クラウドサービスによるメールセキュリティ、Webセキュリティソリューションの利用が大企業を中心に進んでおり、運用管理サービスのアウトソーシング需要が、成長要因として見込まれているとのこと。2011年の市場規模は、前年比8.1%増の6683億円、2009年から2014年の年間平均成長率は8.5%で、2014年には8776億円の市場規模になると見込んでいる。

 最後のセキュリティアプライアンス市場は、新規製品導入の投資意欲が低調なため、前年実績を割り込んでいるものの、景気回復期には回復率が高くなるとの想定から、2011年は前年比6.4%増、318億円になる見通し。2009年から2014年の年間平均成長率も4.0%、2014年の市場規模は374億円まで拡大すると予測されている。

 なお、2010年から国内でも急速に拡大しているスマートフォン市場において、セキュリティベンダーがウイルス対策製品の月額課金などを開始している。IDCでは、スマートフォンの出荷台数が、2011年にはPCを抜くと予測しており、セキュリティ市場での新たな成長分野になるとの見方を示している。

 これについて、IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの花岡秀樹氏は、「急速に拡大し、高機能なためセキュリティリスクが懸念されるスマートフォンのユーザーに対し、効果的な課金モデルをいかに提示するかが、セキュリティ製品ベンダーにとって、今最も大きな課題だ」と分析している。

国内セキュリティソフトウェア市場 売上額予測、2007年~2014年(出典:IDC Japan)
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(石井 一志)
2011/2/4 06:00