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富士通、AR技術を活用したソリューション「3D重畳 設計製造物診断」を販売開始

設計図とスマホで撮影した写真の比較で差異を可視化

 富士通株式会社は27日、3次元設計図と製造部材写真の差異を可視化する製造業向けのPLMソリューション「FUJITSU Manufacturing Industry Solution 3D重畳 設計製造物診断(以下、3D重畳 設計製造物診断)」の販売を開始した。

 3D重畳 設計製造物診断は、大型構造物の製造において、3次元CADで作成した製造部材の設計図と、スマートフォンやタブレットで撮影した各部材の写真を、AR技術により重ね合わせて比較できるソリューション。従来、目視や人手で一つひとつの製造部材に対して行っていた診断作業を、大幅に効率化することが可能となる。

「3D重畳 設計製造物診断」の導入前と導入後の作業比較(鉄構業での利用イメージ)

 富士通では、3次元CADとAR技術を融合させ、総合建設業から鉄塔、橋梁、鉄骨まで幅広い事業を展開する株式会社巴コーポレーションのノウハウを組み込み、製造部材の診断を行うシステムを共同で開発。2015年から巴コーポレーションの小山工場で、有用性を検証するための実証を行ってきた。実証では、製造工程の部材組立作業において、1つの製造部材の診断に要する時間がわずか数分となり、従来と比較して10分の1に削減できたという。

 この実証実験で確立した3次元での重畳診断技術をもとに、製造現場での作業効率化を図るための診断準備機能、診断結果を管理利用するための管理・利用機能を加えて、ソリューションとして提供する。

「3D重畳 設計製造物診断」による診断の画面イメージ

 ソリューションでは、3次元設計図(STLファイル)と、スマートフォンやタブレットなどで撮影した製造部材写真を重畳することにより、差異を容易に確認することが可能。一部材あたり数分で診断が終わるため、これまで時間的制約などから困難であった全数の部材診断が可能となるとともに、製造不良の早期発見ができ、仮組立作業での手戻りがなくなるとしている。

 診断した結果はサーバーに保存され、ノウハウ共有、進捗管理、品質記録として利用できる。

 ソリューションの販売価格(税別)は、サーバーライセンスが200万円、クライアントライセンスが400万円から。富士通では2019年度までに100社への導入を目標とする。