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クラウドの稼働率「99.999%もいらない」、ガートナー意識調査で明らかに

 ガートナージャパン株式会社(以下、ガートナー)は28日、日本企業のクラウドコンピューティングへの取り組みに関する調査結果を発表した。日本のクラウド採用率は着実に上昇する一方、IaaSのサービスレベルはそこそこでいいという意識も明らかになった。

 調査の結果、日本のクラウド採用率は16%となり、2012年の10%から着実に上昇した。種類別には、SaaSが28%と最も採用率が高く、続いてプライベートクラウド(23%)、ホステッドプライベート(18%)、PaaS(16%)、IaaS(15%)、ハイブリッドクラウド(12%)、デスクトップ(10%)の順となった。

 リサーチ部門 バイスプレジデント兼最上級アナリストの亦賀忠明氏は「クラウドの採用率は2014年に足踏み感が見られたが、2015年に入って急速に高まっている状況が伺える。クラウドファーストという言葉も浸透し、クラウドを採用しないという選択をしにくくなっている企業が増えている」と洞察。

 一方で「検討企業の問い合わせとしては、どのクラウドを選ぶべきか、どうやってクラウド化すべきかといった『基本の確認』が多く、多くの企業は引きつづき手探りを続けている段階」という。さらに注意点として、「世の中にはクラウドではないものまでクラウドと呼ばれ、『何でもクラウド』となっている中で、回答にはそれらが含まれている可能性もある」と指摘している。

 このほか、IaaSに期待される稼働率についても調査を行った。結果、40%以上がサービスレベルは「99.999%でなくてもよい」と考えていることが明らかとなった。

 この件について亦賀氏は「多くのIaaSが提示するSLAは99.95%であり、これは絶対に止まらないことを保証するものではない。日本では業務システムは絶対に止まってはならないという暗黙の認識が根づいており、クラウド導入のハードルを上げている側面があったが、調査によって多くのユーザーがクラウドの実態に即した考え方を持っていることが明らかになった」と述べる。

 その上で「企業は各業務システムに期待されるSLAには『松竹梅』のように異なるサービスレベルがあることを理解し、それに基づいて仕分けし、それぞれの業務システムに最適なクラウドを選ぶことが重要。特にコスト削減を求める企業は、できるだけ『梅』や『竹』を増やすことが削減のカギとなる。一方、『松』の要件のシステムをクラウド化しようとすることはコストやリスクの観点から避けるべき。ベンダー側も何でも『松』のような提案ではなく、要件に応じた割り切った提案をすることが求められる」とした。

 調査は、2015年3月に、ユーザー企業、ベンダー企業双方を含むITリーダー515人を対象にしたもの。業種は全般にわたり、従業員数規模は500人以上から1万人以上までの企業が含まれる。

川島 弘之