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NEC「群衆行動解析」による総合防災システム、池袋駅周辺などに導入

 NECは10日、豊島区で、世界初の「群衆行動解析技術」を用いた総合防災システムを構築したと発表した。異変につながる「群衆全体の動きの変化」を、個人を特定することなく解析する技術。2015年5月に稼働し、6月の本格運用を予定する。

 「群衆行動解析技術」は、例えば駅などにおいて、混雑度を高精度に推定し、異常混雑や滞留者の流れの異常などをカメラ映像を用いて検知する。人と人が重なって見えるほどの混雑時も群衆の状況を高精度に解析できるという。

東日本大震災直後(2011/3/11)の池袋駅西口 帰宅困難者の様子(豊島区提供)

 異常が発生した場合には自動的に職員にアラートを通知。異常の発生場所や状況を即座に把握でき、支援要請や情報発信などが迅速に行えるようになる。混雑状況の監視にかかる職員の業務負荷軽減も期待できる。

 豊島区では、区内に51台の防災カメラを設置し、地域の被災状況などを一元的に収集したい考え。設置場所は、1日約259万人が利用する池袋駅をはじめとする主要駅周辺、救援センター(災害時に避難場所となる学校など)で、これらのカメラ映像を新庁舎(2015年5月開庁予定)の災害対策センターにて収集。災害時には区民による通報情報などとともに一元的に管理する。

 収集した災害情報を地図画面上に集約し、視覚的に分かりやすい情報とすることで、意志決定の迅速化や区民への早期情報発信につなげられるという。

群衆行動解析システムの画面サンプル

 NECは、2020年に向けたまちづくりや安全・安心な社会づくりに貢献すべく、「群衆行動解析技術」について、混雑するターミナル駅・空港・テーマパーク・スタジアム・イベント会場など幅広いシーンでの活用を提案していく方針。

川島 弘之