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レッドハットが“気炎”、Windows Serverからの移行支援でLinuxシェア拡大へ
(2014/12/11 06:00)
レッドハット株式会社は10日、Windows Server 2003の2015年7月のサポート終了に備え、13社のパートナーとの協業により、WindowsからLinuxへの移行戦略を加速。Windows Server 2003からオープンソースのクラウド基盤への移行支援サービスを同日開始した。
今回の発表にあたり、レッドハット 代表取締役社長の廣川裕司氏が、同社の進めているWindows to Cloud戦略について説明した。「当社では今年、クラウド製品として、PaaS領域で『OpenShift Enterprise』、IaaS領域で『Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform』、クラウド管理領域で『Red Hat CloudForms』、仮想化領域で『Red Hat Enterprise Virtualization』を相次いでリリースしてきた」と、クラウド製品のラインアップを大幅に強化した点に言及。
「市場では今、大きなテクノロジー変化が起こりつつある。多くのコンシューマユーザーが、WindowsベースのPCではなく、スマホやタブレットを主に利用するようになった。また、ネットワークは、高速・大容量のワイヤレス仮想ネットワークへの移行が進み、企業向けサーバーについても、高速・大容量で俊敏性に優れるLinuxの利用が加速している」と、Windowsからのテクノロジーシフトが急速に進んでいると指摘した。
「特に大企業では、2011年から2014年にかけてLinuxの導入率が大きく増加しているのに対して、Windowsの導入率は減少傾向にある。なかでも、クラウドプラットフォームにLinuxを採用する企業は7割を超えており、今後、2020年には国内サーバーOS市場におけるLinuxのシェアは5割に達すると見込んでいる」。
「当社では今年7月、大幅に機能強化した最新OS『Red Hat Enterprise Linux 7』を投入。そして今回、Windows ServerからRed Hat Enterprise Linux Serverベースのクラウド基盤への移行支援サービスを提供開始する。これにより、Windows to Cloud戦略をさらに加速し、国内サーバーOS市場におけるLinuxのトップシェア獲得をけん引していく」と意欲を見せた。
Windows Server 2003からRed Hat Enterprise Linux Serverへの移行支援サービスは、2013年9月に発足したRed Hat OSS Integration Centerのサービスメニューを拡充して提供するもの。
無償ワークショップの開催を始め、設計・構築から移行支援まで顧客の要望に合わせて、さまざまな支援サービスを提供するという。具体的には、「Webサーバー移行支援サービス」、「ファイルサーバー移行支援サービス」、「Active Directory移行支援サービス」、「データベース移行支援サービス」の4つのサービスを用意している。
Webサーバーは「IIS」から「Apache」や「Red Hat JBoss Middleware」へ、ファイルサーバーは「Windowsファイルサーバー」から「Samba 4」へ、ディレクトリサービスは「Active Directory」から「Samba 4」へ、データベースは「SQL Server」から「PostgreSQL」などへ、それぞれ移行支援を行う。
レッドハット 常務執行役員 パートナー・アライアンス営業統括本部長の古館正清氏は、「Windows ServerからRed Hat Enterprise Linux Serverにマイグレーションすることで、企業は大きなTCO削減効果を得ることができる。例えば、年間でインフラコストは24%低減、ソフトウェアコストは46%低減、ITスタッフのコストは41%低減、ダウンタイムは64%低減することが可能で、これらを含めて年間のTCOを34%低減できる」と、Red Hat Enterprise Linux Serverへ移行することでのコストメリットを強調。
「また、クラウド環境と高い親和性を備えているのも特徴だ。『Red Hat Cloud Access』を活用すれば、オンプレミスのサブスクリプションをRed Hat認定クラウド・プロバイダーのパブリッククラウドに容易に移行できる。さらに、ミッションクリティカル用途においても安心のサポートを提供している。現在、Red Hat Enterprise Linux Serverは、世界22か国、26の証券取引所で採用されており、全世界の50%以上の金融取引が実行されている」と、クラウド環境への適合性とサポート面での優位性を訴えた。
今後の展開については、「今回の移行支援サービスは、Windows ServerからRed Hat Enterprise Linux Serverのクラウド基盤へワークロードを移行することを支援するもの。次のステップでは、コンテナ技術を活用し、すべてのクライアント/サーバー型アプリケーションを、オープンソースのクラウド型アプリケーションに移行するための支援サービスを提供していく」との考えを示した。
なお、今回の発表に協業および賛同するパートナーは、NECソリューションイノベータ、SCSK、SRA OSS、オープンソース・ソリューション・テクノロジ、サイオステクノロジー、ソフトバンク コマース&サービス、デル、富士ソフト、富士通、富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ、三菱電機インフォメーションシステムズ、ユニアデックス、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズの13社。協業によるサービスは、Red Hat OSS Integration Centerを通じて顧客に提供される。