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オラクル、国内マーケティング市場へ「Oracle Marketing Cloud」発表

日本オラクル 代表執行役社長兼CEOの杉原博茂氏

 日本オラクル株式会社は8月19日、顧客を中心とした効果的なマーケティング活動を実現する最新のクラウド型マーケティングプラットフォーム「Oracle Marketing Cloud」を発表した。同プラットフォームの提供開始を機に、国内のデジタルマーケティング市場に本格参入する考え。

 「Oracle Marketing Cloud」の発表にあたり、日本オラクル 代表執行役社長兼CEOの杉原博茂氏は、「近年、マーケティング環境は急速にデジタル化が進んでいる。デジタル広告市場を見ても、グローバル、国内ともに、インターネット広告への投資は年々増加し続けている。また、今後は、CIO(情報担当役員)よりも、CMO(マーケティング担当役員)に与えられる予算のほうが大きくなるという予測もある」と、デジタル・マーケティングを取り巻く市場環境を説明。「一方で、現在、ほとんどの企業のCMOがROIを定量化できておらず、マーケティング面でさまざまな課題を抱えているのが実情だ。オラクルは世界第2位のSaaSプロバイダーとして、幅広い業務領域でSaaSソリューションを提供しているが、今回、こうした課題に応えるため、マーケティング領域においてもクラウド型プラットフォームを本格展開する。データベース市場でトップベンダーのオラクルが、マーケティング・ソリューション市場でもNo.1を目指す」と、デジタル・マーケティング市場への本格参入に向けて意気込みを述べた。

「Oracle Marketing Cloud」の全体像

 「Oracle Marketing Cloud」は、クラウド型マーケティング・オートメーション・プラットフォームの「Oracle Eloqua」、クラウド型クロスチャネル・マーケティング・プラットフォームの「Oracle Responsys」、クラウド型ソーシャルメディア管理ソリューションの「Oracle Social Cloud」、そして新製品のクラウド型データマネジメント・プラットフォーム「Oracle BlueKai」によって実現する、包括的なテクノロジーを集結したクラウド型サービスプラットフォーム。マーケティング担当者の業務をシンプルにし、顧客視点のメッセージを提供することを可能にする。

米Oracle マーケティング・クラウド ゼネラル・マネジャー&シニア・バイスプレジデントのケビン・エイクロイド氏

 米Oracle マーケティング・クラウド ゼネラル・マネジャー&シニア・バイスプレジデントのケビン・エイクロイド氏は、「Oracle Marketing Cloud」のポイントについて、「当社のマーケティングソリューションを包括的に提供する『Oracle Marketing Cloud』では、マーケティング担当者に対して、“顧客情報の統合”、“顧客とつながる”、“効果測定”の3つの価値をもたらす」と説明。「まず、“顧客情報の統合”では、『Oracle BlueKai』のデータマネジメント・プラットフォームによって、ファーストパーティーからセカンドパーティー、サードパーティーまで、すべてのマーケティングデータをひとつの画面に統合することができる。また、統合されたデータを基に、オーディエンスの行動、業種、属性に応じて適切な顧客を抽出することが可能になる」(エイクロイド氏)という。

 “顧客とつながる”という点では、「クロスチャネル・マーケティング・ソリューションを活用することで、顧客一人ひとりのプロファイリングをすべてのチャネルで管理し、個別化されたカスタマージャーニーをデザインできる。また、ソーシャルマーケティングを活用し、ソーシャル上のリスニング、エンゲージメント、分析をひとつの統合プラットフォームから実現できる。さらに、コンテンツ・マーケティング・ソリューションを活用することで、ペルソナを作成し、顧客の検討ステージに合わせた適切なコンテンツを提供する」(エイクロイド氏)としている。

 そして、“効果測定”については、「豊富なマーケティング分析機能によって、プログラムやキャンペーン、コンテンツがどのように売り上げに結びついたのか、その関連性と効果を明確化することができる」と、エイクロイド氏は、「Oracle Marketing Cloud」により企業のマーケティング担当者に大きなビジネス価値を提供すると述べた。

 「Oracle Marketing Cloud」で提供される具体的なソリューションとしては、「Oracle Responsys」と「Oracle Eloqua」を活用し、Web、ソーシャル、モバイルやeメールなどを含むさまざまなチャネルを使って、個々にカスタマイズされた顧客体験を提供しながら、メッセージ、キャンペーンなどの一環性のあるマーケティング活動を実現する。また、「Oracle Social Cloud」によって、ソーシャルネットワーク上で行われる無数の議論や会話を聞き、分析し、そして顧客ごとに対話する関係を構築。ブランドのファンや商品・サービスへの思い入れの度合いが高い顧客には、企業が伝えたいメッセージ、販売促進したい製品やサービスを広めるプラットフォームを提供する。

 新製品の「Oracle BlueKai」では、最適な見込み客をターゲットするためにマーケティングデータを統合し、ディスプレイ広告や検索、およびソーシャルメディアといったチャネルを通して、対象顧客ごとに事前定義された何百種類ものデータ配信の仕組みを提供する。

日本オラクル 執行役員 クラウドアプリケーション事業統括の多田直哉氏
「Oracle Marketing Cloud」の展開シナリオ

 日本でのビジネス展開について、日本オラクル 執行役員 クラウドアプリケーション事業統括の多田直哉氏は、「日本市場においても、マーケティングソフトウェアへの投資は年々拡大している。その中で当社では、2013年秋からデジタルマーケティング領域のソリューションを順次展開しており、今回、新製品『Oracle BlueKai』のリリースを機に、『Oracle Marketing Cloud』としてビジネス展開を本格化させる」と説明。「『Oracle Marketing Cloud』の展開シナリオとしては、B2C領域に向けては、広告からマーケティング、EC/O2Oまでトータルにカバーするソリューションを提案する。また、B2B領域に向けては、案件創出の強化と期間の短縮を図るとともに、CRMソリューションとの連携による影響力強化を支援していく」との考えを示した。

 具体的な施策としては、「営業体制を強化し、『Oracle Marketing Cloud』専任の組織を発足した。業界特化シナリオの強化を図り、カスタマーエクスペリエンス統合バリューを訴求していく。あわせて、パートナーとの協業も強化する。従来のシステムインテグレーターに加え、新たに広告代理店やWebテクノロジーなど、マーケティング領域に特化したパートナーとの協業を推進していく。パートナーのトレーニングとして、認定資格制度も実施する予定だ。さらに、今後、自社で『Oracle Marketing Cloud』を活用したプラクティスを蓄積し、事業拡大に生かしていく」(多田氏)との計画を明らかにしている。

唐沢 正和