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統合データ管理のCommVault、事業戦略は「機能のモジュール化へ」

米CommVault Systems 会長、最高経営責任者兼社長のN.ロバート・ハマー氏

 エンタープライズ向け統合データ管理ソリューションを提供する米CommVault Systemsの日本法人 CommVault Systems Japan株式会社(以下、CommVault)は5日、グローバルにおける事業戦略と製品展開、および日本市場でのビジネス戦略について、プレス説明会を開催した。

 CommVaultは、データ管理・アクセス・保護のためのソフトウェアとサービスを提供するとともに、ITインフラ・プロセス・モバイル・クラウドに関連するすべての管理と自動化を実現するソリューションを提供している。

 主力製品は「Simpana」というデータ統合管理製品。バックアップ・リカバリ、スナップショット管理、レプリケーション、重複排除、自動階層化、レポートと分析、ワークフローの自動化検索とeディスカバリなどを、単一アーキテクチャ・コンソールで提供する。

 グローバルでの事業概況について、米CommVault Systems 会長、最高経営責任者兼社長のN.ロバート・ハマー氏は、「当社は米国ニュージャージー州オーシャンポートに本社を置き、現在の社員数は2073人。顧客数は2万に達している。過去7会計年で、売上高は年平均成長率21%、営業利益(非GAAPベース)は年平均成長率31%と急成長を続けており、2015年Q1の実績も売上ベースで前年比14%増、かつ営業活動によるキャッシュフローベースで44%増を達成した。今年後半には、新社屋への移転も予定している」と説明。

 さらに「当社では、“Solving Forward(時代を先取りした解決)”という理念に基づき、顧客に最も高い価値を創造できる最も革新的な製品・サービス・サポートの提供を目指している。そして、当社の提供するクラウド自動化&管理ソリューション『Simpana』は、単一プラットフォームで、オンプレミス、モバイル、クラウド環境にあるデータを、自動的にオーケストレーションし、移動・プロビジョニング・管理・セキュリティ・アクセスを実現する。現在『Simpana』は、200以上のMSPやクラウドプロバイダーに使われている」と、同社の主力製品である「Simpana」ソフトウェアの特徴を述べた。

「Simpana」プラットフォームの概要
「Simpana」ソフトウェアの新たなライセンスモデル

 新たな製品戦略としては、「従来まで『Simpana』は、プラットフォーム全体として提供していたが、これに加えて、新たにソリューションモジュールとしてのライセンス販売も開始した」(ハマー氏)という。具体的には、「VM保護&クラウド管理」、「スナップショットリカバリ&管理」、「エンドポイントデータ管理」、「EMailアーカイブ」の4つのモジュールを提供し、ユーザーのニーズに合わせて個別に導入できるようにした。「この新しいパッケージは、包括的なクラウド管理とデータサービスへの転換を加速するように設計されている。これにより、企業やサービスプロバイダーは、短期間かつ容易にクラウド管理のリスクや複雑さ、コストを削減できるとともに、価値創造までの時間を短縮することが可能となる」(ハマー氏)としている。

 ハマー氏は、日本市場に向けた展開についても触れ、「日本は、IT予算の規模において、米国に次ぐ世界第2位の市場となっている。当社にとっても、グローバルな成長目標を達成するためには、日本のクラウドサービス市場での成功は必要不可欠だ。私は、1970年代から日本市場で仕事をしてきており、日本市場での成功は、優れたパートナーのエンゲージメントと有効性が重要であると考えている。これに向けて、日本法人に継続的で積極的な投資を行い、最善のソリューション、サービス、サポートを提供することでパートナーのビジネスを長期的に支援していく」と、日本市場でのさらなる事業拡大に意欲を見せた。

CommVault Systems Japan エリアバイスプレジデントの大越大造氏

 具体的な日本市場でのビジネス戦略については、CommVault Systems Japan エリアバイスプレジデントの大越大造氏が説明。「日本法人は、2010年11月に設立。販売代理店やVAR/インテグレーター、サービスプロバイダー、サーバー/ストレージ/ハードウェアベンダーなど、様々なパートナーの協力を得て日本市場での拡販に取り組んでおり、パートナーとともに成長していくことを目指している」と、パートナーとの協力体制で販売展開していることを強調した。

 今後のフォーカス領域としては、「スナップベースのリカバリ」「エッジ(端末)上のデータ」「仮想化ソリューション」「ファイル、Eメールアーカイブソリューション」の4つを挙げており、それぞれの領域で、新たに販売するソリューションモジュールを展開していく考え。「4つの領域のうち、とくに注力しているのが『スナップベースのリカバリー』だ。この領域に向けては、自動化されたスナップショット管理を実現する『Simpana IntelliSnapテクノロジー』を提供している。これにより、リストアをすることなく、高速でのデータリカバリーが可能になる」(大越氏)と、日本市場では「スナップベースのリカバリ」を最重点領域としてビジネス展開していく方針を示した。

唐沢 正和