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日本ユニシス、2013年度連結決算は増収増益~売上高は予想を上回る

 日本ユニシス株式会社は9日、2013年度(2013年4月~2014年3月、2014年3月期)の連結決算を発表した。それによると、売上高は前年比5.0%増の2826億円、営業利益は同15.2%増の95億円、経常利益は同18.1%増の98億円、当期純利益は同404.0%増の63億円となった。

 日本ユニシスの黒川茂社長は、「前年の大型インフラ案件の反動はあったものの、売上高はそれをカバーし、前期および予想を上回る実績。中期経営計画を1年前倒しで達成しており、トップラインの成長には一定の効果が出た。だが、営業利益は競争激化による利益率低下で予想を下回った。ROEは9%に改善した」と総括した。また、日本ユニシスの向井俊雄常務執行役員は、「第4四半期では不採算案件の影響が予想以上となった」とした。

 受注高は前年比19.4%増の3097億円、受注残高は14.4%増の2158億円となった。

2013年度の総括
日本ユニシスの黒川茂社長

金融系アウトソーシングの大型案件を複数獲得、大幅成長へ

 セグメント別では、サービス部門の売上高が前年比7.0%増の1996億円、売上総利益が同11.8%増の463億円。そのうち、システムサービスの売上高が前年比9.8%増の794億円、売上総利益が同22.9%増の159億円。サポートサービスの売上高が前年比4.3%減の491億円、売上総利益が同6.3%減の163億円。アウトソーシングの売上高が前年比9.2%増の353億円、売上総利益が同94.8%増の71億円。ネットマークスサービスの売上高が前年比21.7%増の264億円、売上総利益が同14.1%増の44億円。設備工事などのその他サービスの売上高が前年比5.7%増の92億円、売上総利益が同29.6%減の24億円となっている。

 「アウトソーシングに関しては、年末および年明けに金融系で大型の受注案件が4件獲得でき、500億円弱のビジネスとなった。それによって大幅に成長している」(向井執行役員常務)という。

 一方、ソフトウェアは売上高が前年比1.9%増の313億円、売上総利益が同8.8%減の95億円。そのうち、メインフレーム系の売上高が前年比12.4%減の100億円、オープン系の売上高が同10.3%増の213億円。

 ハードウェアの売上高は前年比0.3%減の516億円、売上総利益が同33.7%減の76億円。そのうち、コンピュータ販売の売上高が前年比2.1%増の473億円、売上総利益が同39.5%減の46億円。コンピュータ賃貸収入の売上高が前年比21.2%減の42億円。売上総利益が同22.1%減の30億円。また、メインフレーム系の売上高が前年比40.1%減の40億円、オープン系その他が同5.6%増の476億円となった。

 同社では、部門別の営業利益は公開していない。

 マーケット別の売上高は、金融機関が前年比3.3%増の785億円、官公庁が同29.9%減の170億円、製造が同11.3%増の396億円、商業・流通が同13.6%増の385億円、電力・サービスなどが同9.7%増の1091億円となった。

 「金融が第4四半期に反転。官公庁以外の全業種で成長を遂げている」(向井常務執行役員)という。

2013年度の連結経営成績(予想比)
セグメント別の状況

コアビジネスで売上高の成長を維持、利益確保にもこだわる

 一方、2014年度の業績見通しは、売上高が前年比0.8%増の2850億円、営業利益は同25.3%増の120億円、経常利益は同15.0%増の113億円、当期純利益は同18.9%増の75億円とした。

 「自動車や電機などの当社が得意とする領域における設備投資が活性化しており、マイナンバー制度の需要も控えており、着実に需要を取り込みたい。売上高は、賃貸契約終了の反動があるものの、コアビジネスによって売上高の成長を維持する。営業利益は競争激化による営業利益率が低下しているが、今年度は、利益確保には徹底的にこだわり、コスト管理の徹底により、増益を見込んでいる。新規ビジネスの立ち上げにも引き続き取り組む」とした。

2014年度予想の概要
2014年度の連結業績予想

 コアビジネスに関しては、ユニアデックスとネットマークスとを統合した新生ユニアデックスが2014年3月にスタート。「データセンター、サーバー、ネットワークの一体商談が進んでおり、一体したことによる効率化が進んでいる。また、クロスセルにより、クラウドフェデレーションなどの新たなサービスを展開。付加価値型の提案を行っていく体制が整い、次世代サービスビジネスに向けた取り組みが加速することになる」(黒川社長)とした。

 クラウドビジネスについては、黒川社長が「着実に伸びている」と発言。「2013年11月に、大日本印刷の柏データセンターを建設し、そこにクラウド基盤を提供している。これを活用してディザスタリカバリの提案も可能になってい。プライベートクラウドとパブリッククラウドを融合したクラウドフェデレーションがこれから鍵になる。これらのクラウドビジネスの実行部隊はすべてユニアデックスに移行しており、ここでクラウドビジネスを拡大することになる」などと語った。

コアビジネスを支える新生ユニアデックス

 2014年度は、中期経営計画の最終年度にあたるが、同計画で掲げた売上高2800億円、ROE8.8%は上回る計画であるものの、営業利益率5.0%、当期純利益80億円などの指標は下回ることになる。

 なお、セグメント別業績見通しは、ネットマークスサービス事業をユニアデックスと統合したことに伴い、同事業をシステムサービス、サポートサービス、ハードウェアに分割し、2014年度から新たな区分としたため、前年実績とは直接比較ができないとのこと。

 新たな区分とした場合には、サービス部門の売上高が前年比1.0%増の1900億円、売上総利益が同11.1%増の490億円。そのうち、システムサービスの売上高が前年比1.9%増の875億円、売上総利益が同26.6%増の205億円。サポートサービスの売上高が2.0%減の565億円、売上総利益が4.6%減の175億円。アウトソーシングの売上高が6.1%増の375億円、売上総利益が19.2%増の85億円。その他サービスの売上高が8.5%減の85億円、売上総利益が3.5%増の25億円としている。

 一方、ソフトウェアは売上高が前年比5.9%減の295億円、売上総利益が同21.8%減の75億円。

 ハードウェアの売上高は前年比3.6%増の655億円、売上総利益が同5.7%増の105億円。そのうち、コンピュータ販売の売上高が前年比6.9%増の630億円、売上総利益が同26.9%増の88億円。コンピュータ賃貸収入の売上高が前年比41.4%減の25億円。売上総利益が同43.4%減の17億円としている。

 マーケット別の売上高見通しは、金融機関が前年比0.6%増の790億円、官公庁が同5.8%減の160億円、製造が同2.3%増の405億円、商業・流通が同2.6%増の395億円、電力・サービスなどが同0.8%増の1100億円を見込む。

8000人体制への削減にめど、新規ビジネスでも成果

日本ユニシスの高橋修 代表取締役上席専務執行役員

 なお、中期経営計画の進ちょく状況についても説明した。

 日本ユニシスの高橋修 代表取締役上席専務執行役員は、コアビジネスに取り組みについては、地銀勘定系システムのBank Visionが10行目に採用されたこと、スルガ銀行での稼働、信金勘定系システムのSBI21が大手新規顧客を獲得したこと、川崎信用金庫の統合OAシステムの稼働、CoreCenterシリーズの受注が好調であることなどを示す一方、「ユニファイドコミュニケーションにおいても証券会社3社で受注。テキスト分析、流通基幹系、ビッグデータ関連プロダクトおよびサービスも好調であり、強みを生かした活動をお客さまに評価していただいている」とした。

 また、新規ビジネスについては、石川県の「れじおん」をはじめとする成果があがっていること、大日本印刷との協業によるマーケティングプラットフォームビジネスへの展開、電子図書館における共同商材展開など、「協業ビジネスにおける土台づくりが具体化している」と述べた。さらに「新規ビジネスへの取り組みは、地域の中核企業との連携を生み出し、コアビジネスにもプラスの影響を及ぼしている」と語っている。

コアビジネスの拡大
新ビジネスに挑戦

 経営基盤強化への取り組みについては、2015年3月末までに8000人体制への削減については、「めどがついてきた。400人を超える配置転換も行っており、目標値を上回る形で推移している」とした。

 2011年以降のリスク管理強化後は、大規模不採算が発生していないことに触れながら、「今後、中小企業向けの計画原価超過の抑制施策に取り組む」と述べた。

 黒川社長は、「9300人の社員を8000人に減らしながら、早期に3000億円の売上高を目指すという、相反する施策を取っている。約60社のコアパートナーとの協業を進めるほか、新規ビジネスにおいても、パートナーとの連携などを進めることで成長を目指す」とした。

経営基盤強化

大河原 克行