ニュース

企業のIT投資は微減、積極的な企業とそうでない企業に二極化~NRI調査

 株式会社野村総合研究所(NRI)は28日、日本企業におけるIT活用実態調査の結果を公表した。日本企業全体のIT投資はこれまでの横ばいから微減となる一方で、「ITが競争優位につながるコア技術」と考える企業ほど、事業創造や変革へのIT活用とIT分野での新技術活用に積極的だと分析している。

 調査は2003年から毎年行っているもので、今回は2013年12月に実施。全業種にわたる599社の大手企業から回答を得ている。

 企業のIT投資の増減割合は、2014年度のIT投資を「減らす」と回答する企業の割合が18.0%となり、前年調査の15.6%から増加。2008年度のリーマンショック以降、2012年度までは回復基調、その後は横ばいだったが、今回の調査では微減となった。

日本企業のIT投資の増減推移

 調査では、企業がITを「コア技術」と考えているか否か、ITを「基幹設備」であると考えているか否かで、4種類のグループに分類。ITが「コア技術」「基幹設備」の両方であるとするグループでは、2014年度のIT投資を増額すると回答した割合は40%で、他のグループよりやや多いものの、増額率は2013年度よりも下がっており、減額する企業も増えている。

IT投資の2013年度増減見込み

 年間のIT費用を“RUN”(ビジネスの維持)と“CHANGE”(ビジネスの変革)に分けた比率では、ITをコア技術と考えているグループではRUNが67%、コア技術と考えていないグループではRUNが75%で、ITをコア技術と考えているグループは変革のための投資の割合が高い。

 また、ITをコア技術と考えている企業のグループは、IT活用のテーマとして「事業・サービス創造支援」を重視していると回答した割合が多く、「SOA」「アジャイル開発」「オープンソース」「パブリッククラウド」など新技術の導入も進んでいる。

 NRIでは、ITを自社のコア技術として位置づけ、積極的に活用しようとする企業と、そうでない企業とが二極化する傾向がみられ、業種などによってITが事業において果たす役割に違いはあるものの、こうしたギャップを埋める施策が必要になってきていると分析している。

三柳 英樹