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次の注力は「Software-Defined Enterprise」、ヴイエムウェアが2014年の戦略を説明
(2014/2/7 17:44)
ヴイエムウェア株式会社は7日、2014年の事業戦略についての記者説明会を開催した。
代表取締役社長の三木泰雄氏は、まず2013年のワールドワイドの業績について説明。2013年度通期の売上高が52億1000万ドルで、対前年比13%増(分離した事業を除いた売上高は17%増)、第4四半期の売上高が対前年比15%増(分離した事業を除いた売上高は20%増)と、好調だったと語った。日本法人についても、「単体の数字は発表していないが、グローバル以上の成長だった」とコメントした。
続いて、2013年を振り返った。まず、2013年に強化した4分野として「コンサルティングサービスの充実」「新しいワークスタイルの提案」「ハイブリッドクラウドの実現」「成功する仮想化を支援」を示した。
コンサルティングサービスについては、製品起点ではなくより上流のユーザーニーズに応えるコンサルティングに力を入れたと説明した。ワークスタイルについては、仮想デスクトップの分野で国内40.4%のシェアを獲得した(IDC調べ)と紹介し、今後モバイルなどにも拡大していきたいと語った。パブリッククラウドについては、まだ事例が少ないので増やしていきたいと述べた。仮想化については、これから仮想化を導入する会社に向けた認定技術者や技術トレーニングについて紹介している。
日本市場において注力した領域としては、サーバーやネットワークなどを仮想化し抽象化してソフトウェアでコントロールする「Software-Defined Data Center」、デスクトップ仮想化などの「エンドユーザーコンピューティング」、プライベートクラウドとパブリッククラウドを連携させる「ハイブリッドクラウド」について、2013年実績を説明。
「Software-Defined Data Center」の事例としては、NTTコミュニケーションズがネットワーク仮想化製品のVMware NSXを導入したほか、何社か導入に向けたベータテスト中であると語った。また、菱化システムがグループ会社のクラウドサービス基盤としてvCloud Suiteを採用した事例を紹介した。
「エンドユーザーコンピューティング」としては、NTTネオメイトが全従業員の仮想デスクトップにVMware Horizon Viewを導入した事例を紹介したほか、大阪府教育委員会事務局が教職員のPCを仮想デスクトップに移行した事例を取り上げた。
「ハイブリッドクラウド」については、ベネッセグループのIT企業であるシンフォーム社の事例が紹介された。ベネッセグループの通信教育の特性として季節変動などが大きいため、プライベートクラウドとIIJのパブリッククラウドを結び、繁忙期にはIIJのパブリッククラウドを利用するシステムを構築したという。
続いて三木氏は、2014年の事業戦略を説明。2013年の「Software-Defined Data Center」「エンドユーザーコンピューティング」「ハイブリッドクラウド」の3つを包括した「Software-Defined Enterprise」という言葉を掲げた。
氏は2014年を「モバイル/クラウド時代」と位置づけ、アプリケーションやユーザーの数が飛躍的に増加してIT部門の負担が大きくなると語り、「従来の延長では対応できない。IT as a Serviceが必要とされる」と主張した。以前からある資産を、コストを節約しながら維持管理しつつ、そのぶんを新しい環境の構築に向ける必要があり、それをVMwareが支援するという。
三木氏はSoftware-Defined EnterpriseによるIT as a Serviceの実現について、「一気に行けるわけではない」として、3つの段階を示した。第1段階がコストセンターにおける「ITの生産性」、第2段階がビジネスパートナーにおける「ビジネスの生産性」、第3段階がサービスブローカにおける「IT as a service」だ。
三木氏は最後に、2014年の日本市場への注力分野として、「顧客満足度の向上」「IT as a Serviceの実現支援」「パートナーエコシステムの拡大」の3つを挙げた。
「顧客満足度の向上」としては、Customer Advocacy専任チームの設立と、テクニカルコミュニティの活性化に取り組む。「原点戻って改善できることはまだあると考えている。ヴイエムウェアを戦略的なパートナーと位置づけてくれているユーザー企業をきっちりとサポートしていけるように改善していきたい」と語った。
「IT as a Serviceの実現支援」としては、コンサルティングサービスの強化と、全営業とSEがTrusted Advisorになることに取り組む。2013年と同様に、より上流のニーズをとらえてソリューションを提案できるようにサポートしていくという。「Software-Defined Enterpriseでは、IT部門のエンジニアだけではなくビジネスレベルのコンサルティングが必要になってくる」と語った。
「パートナーエコシステムの拡大」としては、新たな分野でのパートナー協業を拡大することと、新たなソリューション提供のためのパートナー育成の強化に取り組む。NSXを中心とするネットワーク分野や、仮想デスクトップの分野などにおいて、パートナーを強化する。「従来はライセンスを販売してもらうパートナーが中心だったが、サービスプロバイダーなどとの連携も重要になってくる」と語った。ネットワーク分野については、特定の相手に技術移転して実績を作っていくフェーズであり、4社のパートナーがいると説明している。