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ハイブリッドクラウドを“自律”させるソフト制御技術、TISが開発へ

 TIS株式会社は28日、経済産業省が公募した平成25年度「産業技術実用化開発事業費補助金(ソフトウェア制御型クラウドシステム技術開発プロジェクト)」に採択され、「自立型ハイブリッドクラウドプラットフォーム」の技術開発プロジェクトを開始したと発表した。

 同社によれば「今後、プライベートクラウドとパブリッククラウドが混在するハイブリッドクラウドが主流になると予想されるが、オンプレミスやプライベートクラウドを主として構築された現在のエンタープライズシステムでは、バッチ処理でパブリッククラウドと連携する形式が多く、その活用方法もバックアップなどに限定されるのが現状」。

 「一方でSDN技術を活用すれば、プライベートクラウドやパブリッククラウドといった個別のクラウドの垣根を越えたネットワーク設計が可能になる。将来のエンタープライズシステムは、このSDN(Software-Defined Networking)技術を活用することで、システムリソースを複数のクラウド環境に目的に応じて配置できるようになると考えられる」。

 こうした中長期的なハイブリッドクラウド時代を見据えて、システム障害時や自然災害の被災時に事業継続が可能なシステム実行基盤を実現する、ソフトウェア制御型クラウドシステムに関する技術の検証・開発を進めるのがプロジェクトの目的。

『自律型ハイブリッドクラウドプラットフォーム』の利用イメージ

 具体的に、SDN技術を活用し、多種多様なシステム稼動環境を総合的に管理するソフトウェアを開発。エンタープライズシステムから稼働環境に依存する仕様を切り離すことで、パブリッククラウドやプライベートクラウドをまたいだシステムを構築する際に必要な、システム基盤方式設計やディザスタリカバリ(DR)を考慮したシステム運用設計といった作業をテンプレート化して再利用性を実現。

 このソフトウェアを開発するための技術には、OpenStack、OpenFlow、Chef、Zabbix、RubyなどのOSSを積極的に活用し、開発した技術もオープン仕様およびOSSとして公開する予定。また、これまでエンタープライズシステムにおいて暗黙知だった方式設計に関するノウハウを形式知として共有するエコシステムの実現も目指す。

 将来的には「自律制御」も実現する。同プロジェクトで開発する技術を活用すれば、「将来的にシステム開発者は、システムの設計・構築・運用の各段階で、プライベートクラウドやパブリッククラウドといった稼働環境に依存しないシステム開発が可能となる。また、ソフトウェア制御技術を活用して、エンタープライズシステムに自律的な自己修復と拡張の機能を提供できるようになる」(同社)とのこと。