中堅中小IT支出、北海道・東北地方の回復は2013年に~IDC予測


 IDC Japan株式会社は22日、国内中堅中小企業(従業員規模:99人以下)IT市場予測を発表した。2012年の同市場規模は、東日本大震災の復興需要によって経済環境が改善することから、3兆5385億円(前年比成長率1.5%)とプラス成長に回復すると予測する。

 2011年3月に発生した震災のため、2011年の同市場は大幅なマイナス成長(前年比成長率マイナス6.3%)となったが、2012年は復興需要によって業績が改善し、凍結されていたシステム刷新、新規開発を再開する企業が増加することがプラスの要因に。特に産業分野別では、情報サービス(前年比成長率2.6%)、サービス(同2.0%)において比較的高い成長が見込まれる。

 しかし電力不足の解決が遅れているほか、急激な円高、欧米経済の混乱が長期化する可能性も高いことから、経済環境の回復は不透明。このためIT支出の回復は一部の企業にとどまり、多くの中堅中小企業では2012年もIT支出の抑制傾向が継続すると見ている。

 地域別に見ると被災した北海道・東北地方では復興が始まっているものの、中堅中小企業の置いては企業活動の本格的な再開が遅れるところも多いことから、2012年もマイナス成長(前年比成長率1.7%)と予測。一方、そのほかの地域ではプラス成長が見込まれており、特に近畿地方(同2.0%)、九州・沖縄地方(同1.9%)は復興需要に加え、東日本地域から一部機能をシフトする企業が拡大することで、比較的高い成長率が予測されるという。

 関東地方(同2.0%)も比較的高い成長率が予測されるが、これは関東地方に集積する情報サービス業の企業がIT支出を拡大させているためで、そのほかの産業分野は比較的低い成長率にとどまるという。

 なお、北海道・東北地方も復興が始まり、大手企業の拠点が相次いで設置されていることから、2013年にはプラス成長に回復するだろうとのこと。また、被災地では復興事業として「スマートシティ」構想が挙がっていることも、IT支出の拡大要因になるという。

 IDC Japanでは、「ITベンダーは今後IT支出の回復が見込まれる北海道・東北地方をはじめとした東日本地域にビジネス展開を強化すべき」と分析している。

国内中堅中小企業IT市場 地域別前年比成長率 2010年~2013年(出典:IDC Japan)
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