ALSI、標的型サイバー攻撃から機密情報を保護するファイル自動暗号化ソフトを発表


 アルプスシステムインテグレーション株式会社(以下、ALSI)は1月31日、ファイル自動暗号化ソフトの新製品「InterSafe IRM」を本日より発売すると発表した。これにあわせ、「InterSafe IRM」の製品戦略や製品概要について説明する記者発表会が行われた。

 「InterSafe IRM」は、ファイル単位の自動暗号化により、企業内の重要な情報を守る暗号化ソフトウェア。「IRM」は、“Information Rights Management”の略で、万が一、標的型サイバー攻撃の被害を受け、外部に機密情報が流出してしまった場合でも、ユーザーが意識することなく、情報を保護し続けることができる。


代表取締役社長の麻地徳男氏InterSafeシリーズの新たなロードマップ

 新製品の発表にあたり、代表取締役社長の麻地徳男氏は、「昨年から、標的型サイバー攻撃や不正侵入が相次ぎ、機密情報が外部に流出するケースが増えてきている。これらの攻撃は、従来のウイルス対策ソフトやファイアウォール製品では対応しきれないケースも多く、今後さらに被害が拡大することが懸念されている。そこで今回、標的型サイバー攻撃から機密情報を保護するべく、当社が今まで蓄積してきたノウハウを結集し、独自機能を多数搭載したファイル自動暗号化ソフトを開発した。これにより、当社の情報漏えい対策シリーズ『InterSafe ILP』のラインアップが完成し、情報を安全に活用するためのサービス基盤が整った」と述べている。


セキュリティソリューション部 副部長の森本敏男氏InterSafe 情報漏えい対策シリーズの全体像

 「InterSafe IRM」をリリースする市場背景について、セキュリティソリューション部 副部長の森本敏男氏は、「従来までの暗号化ソフトは、『ハードディスクの暗号化ができること』が重要視されていたが、最近では、これに加えて『ファイル単位の暗号化』や『使い勝手が良いこと』が強く求められるようになってきた。この背景には、情報の保管先がクラウドを始め多岐にわたることや、暗号化・復号化の作業を自動化することの重要性が高まってきたことが挙げられる。幅広いアプリファイルの自動暗号化を実現する『InterSafe IRM』によって、こうした市場ニーズに対応する」と説明している。

 「『InterSafe IRM』は、当社の情報漏えい対策シリーズ『InterSafe ILP』の各製品と連携して利用することができ、さらに、現在企画中のメール経路の情報漏えい対策製品まで含めると、今後あらゆるシーンにおいて情報漏えい対策を提案できる強力な製品群がそろうことになる。国内IRM市場のベンダー別シェアで、当社は2009年には1位だったが、2011年は3位と予測されている。従来製品の『DocumentSecurity』に、今回の『InterSafe IRM』を加えることで、IRM市場シェア1位を奪回したい」(森本氏)と意欲を見せた。


営業統括部 セキュリティ営業課の早川知希氏InterSafe IRMの概要

 「InterSafe IRM」の具体的な機能としては、ファイル単位での自動暗号化/自動復号化を実現するとともに、ファイルアクセス権を付与できることが大きなポイントだ。「『InterSafe IRM』の自動暗号化機能では、あらかじめ設定したアプリケーションにおいて、特別な操作をすることなく、平文ファイルを開いたり保存した際に自動的に暗号化を行うことができる。また、独自にユーザー属性を利用者に設定し、ユーザー属性とアクセス権限をひも付けたテンプレートを適用することで、セキュアファイルを暗号化する。これにより、ファイルのコピーや移動などで保管場所が変わった際も、暗号化が保たれ、アクセス権も維持できる」(営業統括部 セキュリティ営業課の早川知希氏)としている。

 また、暗号化方式には、独自の「ドライバー制御方式」を採用。「OSに近いカーネルモードでドライバーレベルの暗号化を行うため、アプリ依存度が低く、Word、Excel、PowerPointから一太郎、Adobe Acrobat、Open Officeなどまで、幅広いアプリケーションとの連携が可能となった。このほか、管理画面からユーザーが暗号化したいアプリケーションを独自に追加することもできる」という。

 クライアントソフトは日本語・英語・中国語(簡体)、管理コンソールは日本語・英語と、多言語対応しているのも特徴で、グローバルに事業展開し、海外に拠点をもつ場合も、日本と同じセキュリティ管理を行うことができる。さらに、マルチテナントにも対応しており、1サーバーで複数の会社を管理・運営することが可能。クラウドサービス事業者向けの管理画面も用意しており、パブリック/プライベート問わず、幅広いクラウド環境で活用することが可能だ。

 価格(税別)は、1ライセンスあたり(1~99ライセンスの場合)、一般版が1万5000円から、ガバメント版が1万2000円から、アカデミック版が1万500円から。初年度で3億円、5万ライセンスの販売を目標としている。

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(唐沢 正和)
2012/2/1 06:00