メラノックス、56Gbps InfiniBand製品をサンプル出荷開始~2011年第4四半期に正式出荷


 メラノックステクノロジーズジャパン株式会社(メラノックス)は12日、FDR(56Gbps) InfiniBandと10/40Gigabit Ethernet(GbE)に対応した製品群のサンプル出荷を開始すると発表した。サンプル提供されるのは、PCI Express Gen3向けのホストバスアダプタ「ConnectX-3 Virtual Protocol Interconnect(VPI)」や、スイッチ「SXシリーズ」などで、正式な出荷開始は2011年第4四半期になる予定。

 メラノックスの親会社であるイスラエルMellanox Technologies(Mellanox)は、InfiniBandやEthernetに関連した製品を提供しているメーカーで、チップレベルからインターフェイスカード、スイッチ、ケーブル、ソフトウェアまで、エンドトゥエンドで製品を提供している。

 OEMを中心にビジネスを展開しているため、一般にMellanox自体の知名度は高くないものの、Dell、HP、IBM、富士通、日立、NEC、Oracle、EMC、NetAppといったベンダーに広く製品を提供しており、「10GbEの出荷数は800万ポートを超えている」(Mellanox ワールドワイド・セールス担当副社長、マーク・サルツバーグ氏)ほど。例えば、OracleのExadata、Exalogicといったエンジニアード製品でも同社のテクノロジーが採用されているほか、世界トップ10のスーパーコンピュータのうち5つ、トップ100では6割が同社の技術を利用するなど、これまで多くの実績を残してきた。


InfiniBand製品Mellanox ワールドワイド・セールス担当副社長、マーク・サルツバーグ氏
「ConnectX-3 VPI」
メラノックス ジェネラルマネージャの津村英樹氏

 そのメラノックスがこれから提供するのが、56Gbpsの超高速InfiniBand、あるいは10/40GbEのポートを備えた最新の製品群だ。アダプタの「ConnectX-3 VPI」は、最新のPCI Express Gen3(x8)に対応するため、次世代サーバーにおけるI/Oボトルネックを解消。FDRは従来のQDR(40Gbps)と比べ、帯域の向上のみならず遅延などの面でも改善が見られ、約2倍の性能向上を実現しているという。

 またスイッチの「SXシリーズ」は、InfiniBandとEthernetに両対応し、統合I/O環境を効果的に実現できるとのこと。

 用途としては、以前から利用されているHPCシステムはもちろん、新しい分野にも展開を図る計画で、メラノックス ジェネラルマネージャの津村英樹氏は、「InfiniBandは低遅延、低遅延の特長を生かして国外の主な証券市場、インターネットトレーディングなどでデファクト技術として採用されているが、国内の金融関係ではまだ入っていないところもあるため、積極的に開拓したい」と話す。

 また、「サーバー統合が進むとI/Oがボトルネックになりやすいので、クラウドでも、2011年からInfiniBandへのニーズが高まっている」として、I/O統合、I/O仮想化といったテーマでの導入を促進したい考えを示した。津村氏によれば、すでに著名な国内のパブリッククラウドでも採用が決まっているという。

 なお、I/O仮想化の分野ではシーゴが国内でも製品を展開しているが、津村氏は「当社のインターフェイスカードをOEM提供しているなど、重要なパートナー」とコメント。特に、「VMwareでは、vCenterと管理面で統合されているなどの強みがあるので、プライベートクラウドでは協業するケースが多くなるだろう」とする。一方、「パブリッククラウド向けのオープン環境など、シーゴの管理ツールが必要ないというようなケースでは、当社製品のみの構成での提供になるのではないか」とした。

 販売は、OEMパートナーを経由したパートナーブランドでの販売に加え、メラノックスブランドでの間接販売を行っており、国内ディストリビュータはアルティマ、サーヴァンツインターナショナルの2社。また、インサイトテクノロジー、HPCソリューションズ、HPCテクノロジーズ、エルザジャパン、住商情報システム、ニューテックの6社が認定リセラー、日本仮想化技術がテクニカルアライアンスパートナーになっている。

 「再販のパートナーも強化し、10社程度に広げていく。またHPC以外の市場を広げるために、アプリケーションサイドに立って一緒にインプリを進めるのがテクニカルアライアンスパートナー。このパートナーも広げていきたい」(津村氏)。


I/O統合ソリューション国内での販売体制
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