NEC、流通業者の顧客戦略を支援するクラウドサービス「NeoSarf/CRM」


NEC執行役員 流通・サービス業ソリューション事業本部 本部長 中江靖之氏(左)と流通・サービス業ソリューション事業本部 事業部長 石井 力氏(右)

 日本電気株式会社(以下NEC)は2月25日、流通業者の顧客マーケティングツールとして、会員向けポイントサービス機能や会員管理機能、顧客情報分析機能、プロモーション管理機能をクラウドサービスで提供する「NeoSarf/CRM」を販売開始したと発表した。サービス提供開始は9月を予定、利用料金は月額150万円(税別)から。NECでは3年間で50社、店舗数としては1万店での導入を目指す。

 「NeoSarf/CRM」は、会員管理・ポイントサービス機能、顧客情報分析機能、会員プロモーション機能をクラウドサービスで提供するもの。NECのデータセンターを使い、NECのクラウドサービス基盤「RIACUBE-V」の上で提供する。

 会員管理・ポイントサービス機能では、会員情報の登録や変更、会員に対するポイントの付与や利用のための機能を提供。購買金額に応じた会員ランクの設定や、会員ランクごとに率を細かく設定することも可能。会員別ポイントや誕生日ポイントなど、さまざまなポイントの設定が可能。ポイントサービスはリアルタイムで処理するために、即時のポイント利用にも対応でき、来店客はポイントを使った買い回りにも利用できる。

 顧客情報分析機能は、購買頻度や金額などの購入履歴と会員属性などから、顧客分析サービスを提供。会員プロモーション管理機能を用いて、顧客ごとのクーポン・メルマガ発行など、商品データや顧客データの分析をプロモーションにつなげていく。店舗での購買頻度が高い顧客に対して、Webショップへの誘導を図るなどの販促も可能だ。

 既存システムとのデータ連携を行うインターフェイスは、SSLによる暗号化通信機能を付加したHTTPプロトコルを採用。標準的な通信プロトコルを採用したことで、既存のPOSシステムや売り上げ管理機能、ECサイトや会員向けサイト、キオスク端末など様々なシステムとの連携も容易に実現できるとしている。


NeoSarf/CRMの利用イメージNeoSarf/CRMの特長NeoSarf/CRMを構成するメニュー

 

流通業向けクラウドサービスNeoSarfシリーズをさらに拡充

 NEC執行役員 中江靖之氏は、「現在のICT環境はメインフレーム、マイクロソフトOSを搭載したPC、オープンソースとさまざまな機器やソフトウェアを利用している。さらに、個人情報の保護も求められており、顧客情報の漏洩が企業に与えるインパクトがきわめて大きくなってきている」と企業のICT管理が複雑化するとともに個人情報の取り扱いにナーバスにならざるを得ない状況を指摘。

 「また、ケータイ、スマートフォン、タブレットなど消費者のデバイスが多様化した。テレビもデジタル化でこうしたチャネルのひとつになる。こうしたさまざまな顧客ニーズに対応するため、システムが複雑化している。また、ポイントプログラムも多種多様なものが乱立しており、自社でカバーするのが難しい。こうした対応に工数が割かれている」として、消費者ニーズも複雑化していると述べた。

 そうした中で、初期のIT投資に多大な費用をかけるのが難しくなっており、従来のオンプレミス型システム構築ではピーク時に合わせた設計が必要となるため、通常は必要ないリソースへの投資も必要だったとして、必要な時に必要なだけのリソースが利用できるクラウドサービスを利用することでTCO削減が図れるとした。

 こうした状況を説明した上で中江氏は、「すべてをおまかせいただければちゃんとやりましょうというのがクラウドサービス」だとして、NECのデータセンターとクラウドサービス基盤の上に構築したクラウドサービスの信頼性を強調した。

 流通業向けのクラウドサービス「NeoSarf」では、2010年にECサービスをスタート。今回CRMを提供し、近く商品管理をリリースする見込みだとした。

 なお、NECでは「NeoSartf/CRM」を3月8日から11日まで4日間にわたって東京ビッグサイトで開催される「リテールテック Japan 2011」への出展を予定している。

NECの試算によるNeoSarf/CRM導入の効果NECの流通・サービス向けクラウドサービス全体イメージNeoSarfラインナップとしては、今後商品管理、物流などを拡充

 

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