ネットアップ、「Big Data」や「仮想化環境への対応」に注力

買収したBycastやAkkoriの技術を紹介


米NetApp クラウド統括担当CTOのヴァル・バーコヴィッチ氏

 ネットアップ株式会社は23日、東京・恵比寿で「NetApp Innovation 2011 Tokyo」を開催。同イベント内で技術戦略に関する記者会見を開き、米NetApp クラウド統括担当CTOのヴァル・バーコヴィッチ氏が同社の今後の注力技術について説明した。

 バーコヴィッチ氏はIT業界の現状を、「現在はクラウドの第2段階に入ったところ。これまでクラウドはコスト削減の観点で語られてきたが、今後はさらに新しいサービスが登場するようになる。非常にエキサイティングな時代だ。一方で新しいサービスはデータを急増させ、Big Data(データ爆発)の管理という課題を浮き彫りにする。また、データセンターでは物理・仮想・クラウド環境の異種混在が進んでいるが、5~10年後には物理・サイロ型のシステムはほぼ姿を消し、仮想インフラの一般化、パブリッククラウドの普及が進むだろう。この環境の変化は、管理の複雑さという課題を生み出すだろう」と分析する。

 こうした状況を受け、今後同社が注力する技術3点――「StorageGRID」「BalancePoint」「仮想データ階層化」を紹介した。


分散するデータに対応するオブジェクトストレージ「StorageGRID」

StorageGRIDの特徴

 StorageGRIDは、2010年にNetAppが買収したBycastのオブジェクト・ベース・ストレージ技術(以下、オブジェクトストレージ)。地理的に分散された多数のストレージを1つのストレージプールとして構成し、大規模コンテンツリポジトリを保有して、場所に依存しないコンテンツの作成・管理・利用を可能にする。

 「非構造化データが増え、かつクラウドによりそのデータが地理的に分散するようになったがために生じた課題を解決し、データの効率的な管理、データセットの永続的保持、場所や時間を問わない予測可能なアクセスなどを実現するソリューションだ」(同氏)。

 オブジェクトストレージと呼ばれる同市場は、特にヘルスケア、デジタルメディアなどの分野で成長を続けている。Bycastの技術もすでに20を超える国の250以上の顧客に導入され、本番環境での性能が実証されているという。ネットアップもヘルスケアやデジタルメディアにクラウドサービス事業者なども加え、ソリューション販売に注力していく方針。


仮想環境のアプリ性能管理ツール「BalancePoint」

BalancePointの構成図

 BalancePointは、2011年に買収したAkorriの仮想環境における性能管理ソフト。VMware上の仮想アプライアンスとして、エージェントレスで稼働する。

 仮想マシン上の各アプリケーションの性能管理を行うもので、アプリケーションレベルのレスポンスタイムとスループットに注目し、「待ち行列シミュレーション・モデリング」という数学的な処理を行うことで、サービスレベルそのものである「待ち時間」を計算できるのが特長。

 OSとの間にハイパーバイザーを介したことで見えにくくなったアプリケーションの性能問題を可視化してくれるため、トラブルシューティングやリソース増強計画などが容易になる。米国では「トラブルシューティングの時間が50%以上減った」「サーバーと管理者の比率を50対1から300対1に効率化し、管理コストを400万ドル削減できた」事例も存在するという。

 ネットアップは同技術を自社の管理ソフト「OnCommand」に統合し、小~中規模の企業へ提案していく。


他社と比較してストレージ自動階層化をアピール

 最後にストレージ自動階層化機能について機能優位性をアピールした。

 ストレージ自動階層化は、データアクセス頻度に応じて最適なディスク領域へデータを移動する機能だ。頻繁に利用するデータほど高速なディスクに移動される。

 バーコヴィッチ氏は「当社のは(他社とは)根本的に異なるアプローチを採用している」と説明。具体的には「SSDやFCを使わずとも、SATAのみで効率的な階層化が行えるようになっている。他社ではSATA、FC、SSDなど異種混在のストレージプールを構成しなければ階層化機能は利用できない。いうなれば、他社は高価なところから階層化を進め、当社は安価なところから階層化を進めているようなものだ。SATAだけでもパフォーマンスに問題を生じさせないよう独自のFlash Cacheを併用している。これも当社の優位点である」とアピール。

 またEMCの「FAST」と比較して、「当社の方が圧倒的に粒度の細かい4KB単位でのデータ移動を実現しており、階層化の精度についても上回っている」とした。

ネットアップのストレージ階層化の特徴Flash CacheとSSDのの使い分け

 以上から、ネットアップの注力点は「Big Data」と「仮想環境への対応」となりそうだ。データセンターでは今後もますます仮想化領域が広がっていくだろう。「当社はそこに今後の成長を見ている」(同氏)。そのために進めているのが、「ユニファイド・ストレージ」の実現であり、サーバー・ネットワーク・ストレージがインテリジェンスに仮想化された「共有インフラ」の実現である。「当社はこれまでもこれからもユニファイド・ストレージへの投資を進めてきた。強みはストレージに特化しているところ。統合が容易であり、ソリューションに明確さを持たせることができる」と同氏の士気も高い。クラウドやスマートフォンの隆盛でますますデータ爆発は進むだろう。再編が相次ぐ同業界だが、この熱はますます上昇していきそうだ。

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