富士通FIP、最新設備を備えた「横浜データセンター」の内覧会を開催


横浜データセンターの外観
マシン室

 富士通エフ・アイ・ピー株式会社(以下、富士通FIP)は25日、1月27日に行われる最新データセンター「横浜データセンター」の開所式に先立ち、同センターのプレス向け内覧会を開催した。

 「横浜データセンター」は、富士通FIPの16拠点目のデータセンターとして、昨年12月に横浜市内に開設。高度なセキュリティ設備を備えるとともに、高信頼のクラウドサービス基盤も実装した最先端のデータセンターとなっている。延べ床面積は約2万6000平方メートルで、今回はまず、2100ラックを収容可能な第一棟がオープンした。今後4年以内には、同じ敷地内に、2000ラックを収納できる第二棟を建設する計画で、高い拡張性を確保している。

 ロケーションは、安全性・利便性に配慮し、都心から約1時間とアクセスが容易でありながら、活断層を回避し海岸線からの距離を確保した、堅牢な支持基盤に立地。また、同社首都圏センターの近隣地区に位置し、BPOサービスなど他センターサービス機能とシームレスに連携することで、多様なニーズに対応する。事務所棟内にはSEが常駐しており、24時間体制で高度な運用サポートを提供。さらに、近隣に社員寮を配置することで、緊急時のトラブルにも迅速な復旧対応が可能となっている。

 クラウドサービス基盤としては、すでに港北データセンターで開始している「オンデマンド仮想環境ホスティング」を、横浜データセンターでも提供する。サーバー仮想化技術を利用し、顧客専用のプライベートクラウド環境の構築を、アセスメントから運用までワンストップで支援する。標準化された構築済みのサーバー、ネットワークを提供することで、オンデマンドで柔軟なシステム構成・運用を実現している。

 「横浜データセンター」の機能的な特徴は、「Safety」「Automation」「Green」の大きく3つに集約される。

 「Safety」では、万全のセキュリティ対策と災害対策を実現する先進機能を随所に採用。ビル入館時には、生体認証登録およびPC検疫を行った上で、有人受付とセキュリティゲートによって共連れを防止する。マシンルーム入室時は、ICカードと手のひら静脈認証による高精度な本人特定を行うほか、画像センサーでの人数確認による共連れ防止、検疫ステーションでのPC安全性確認、DRタグや金属探知ゲートによる禁止物の持ち込み・持ち出し防止など、厳重な入退室チェックを実施する。

 さらに、マシンルーム内では、超音波タグにより人物の位置情報をリアルタイムに管理し、立ち入り禁止エリアへの不正侵入を防止する。万が一、立ち入り禁止エリアに侵入した場合には、自走式カメラにより人物を追尾し、音声で警告を発することもできる。このほか、サーバーラックの開閉には、手のひら静脈認証による電子錠を採用し、解錠・施錠を集中管理する。

 災害対策については、地震災害に強い免震構造を採用することで安全性を確保。免震装置として、揺れの大きさの上限を制御する「弾性すべり支承」と、建物の揺れを緩やかにする「積層ゴム支承」を組み合わせた工法を採用し、揺れを効果的に吸収して建物の揺れを低減する。また、二重化電源や無停電電源装置、窒素ガス消火設備、耐火仕様のデータ保管室などの設備に加え、緊急地震速報や安否確認招集システムも導入している。

 これらの取り組みから、横浜データセンターは、アイ・エス・レーティングによる情報セキュリティ格付けにおいて、17段階中、最高ランクとなる「AAA is(トリプルA)」を取得している。

 2つめの特徴「Automation」では、徹底した運用の効率化・自動化を実現する高度な機能を提供する。中でも、新データセンターの最大の特徴となるのが、ITIL V3に準拠した同社独自の統合運用マネジメント基盤「OPERACE(オペラス)」による運用自動化だ。具体的には、統合監視室への情報集約や自動化技術の採用、各種ツール群の活用などによって、高品質で一元的な運用・管理を実現する。

 特にインシデント管理ツールでは、各インシデントの対応状況・対応履歴を一元管理して共有。ナレッジを蓄積し、運用のグッドプラクティス適用による効率化を行うことで、継続した運用改善を実施する。このほか、長年のシステム運用で培った同社ノウハウを活用し、2000以上におよぶ運用手順テンプレートから最適なワークフローを標準化。これにより、複雑化したシステムの変更要求にも迅速・効率的に対応可能となっている。

 3つめの特徴「Green」は、最新の省エネ技術を採用することで環境負荷低減を推進する。電源では、太陽光発電によるクリーンエネルギーの活用、高効率電源設備の採用、高電圧配電などを実施。空調については、冷暖分離設備などマシン室内の熱流体シミュレーションによる冷却効率の高いレイアウト設計、フリークーリング+外気冷房および高効率空冷チラー+ドライコイルによるエネルギー再利用を実施。建屋では、LED照明や外壁遮熱、高開口率IDC専用ラックを導入。さらに、これらに加えて、サーバーラックごとの温度・電流モニタリングによる継続した省エネ運転マネジメントを行うことで、センター全体での省電力化を実現している。

 このほか、グリーン化への取り組みとして、「緑とともにあるデータセンター」をテーマに、敷地内に丹沢地区をイメージした緑地ゾーンを設置。神奈川県の森林再生支援活動と連携し、丹沢大山地域の樹木(ケヤキ、クヌギ、ヤマザクラなど)を利用したセンター内のグリーン化を実施している。

 なお、横浜データセンターは現在、約200ラックを受注し、すでに稼働を開始しているという。今後1年間で、500ラックの稼働を見込んでいる。

関連情報
(唐沢 正和)
2011/1/26 06:00