エムオーテックス、マイクロソフトとの協業でクラウド市場に参入
Windows Azureを採用した新サービス「Cloud Cat」を提供
エムオーテックス 代表取締役社長の高木哲男氏 |
エムオーテックス株式会社とマイクロソフト株式会社は11月30日、企業のコンプライアンス対策の強化と生産性の向上、グリーンITの推進を目指して協業することを発表した。エムオーテックスでは、協業の一環として、マイクロソフトの「Windows Azure Platform」をシステム基盤に採用した、ネットワークセキュリティツール「LanScope Cat」のクラウド版「LanScope Cloud Cat(以下、Cloud Cat)」を2011年1月下旬より提供開始する。
今回の協業にあたって、エムオーテックス 代表取締役社長の高木哲男氏は、「マイクロソフトとは以前から協力体制にあったが、この協業を機に、環境面、開発面、そしてクラウドに関してのパートナーシップをさらに強化していく。まずは、Windows Azule Platformを活用し、今後大きな成長が見込めるクラウド市場に向けて、当社初のクラウドサービス『Cloud Cat』を投入する。そして、2011年春をめどに、SQL Serverをデータベースに採用した大規模環境向け新製品『LanScope MMS(仮称:以下、MMS)』をリリースする。これにより、現在5400社436万クライアントのLanScopeシリーズの導入実績を、2015年には1万7700社、1000万クライアントまで拡大させたい」と意欲を見せた。
マイクロソフト 執行役常務 ゼネラルビジネス担当のバートランド・ローネー氏 |
また、マイクロソフト 執行役常務 ゼネラルビジネス担当のバートランド・ローネー氏は、「エムオーテックスとマイクロソフトの協業は、顧客の多種多様なニーズに対して、オンプレミスとクラウドの両面から最適なソリューションの選択肢を提供する。特に顧客にとっては、クラウドのメリットを生かした高付加価値のソリューションを利用できるようになる。そして今後、両社の強みを生かすことで、クラウド市場における競争優位性を確立し、新たな顧客層と市場の開拓を進めていく」と述べた。
協業における具体的な取り組みは、エムオーテックスでは、マイクロソフトの「Windows Azure Platform」をシステム基盤として、初のクラウドサービス「Cloud Cat」を開発し、2011年1月下旬より提供する。「Cloud Cat」のデータベースには、「LanScope Cat」で長年培ったSQL Serverの経験やノウハウをそのまま活用できることからSQL Azureを採用。従来のパッケージ製品に加えて、クラウド版を展開することで、より多くのユーザーに幅広い選択肢を提供する。また、「Cloud Cat」の販売にあたっては、販売パートナーのリコージャパンと連携し、同社が中堅・中小企業を中心に展開している「NETBegin BBパック Select」と「Cloud Cat」を組み合わせたソリューションを提案していく方針。
「LanScope」のロードマップ | 「Cloud Cat」のメイン画面 |
2011年春には、大規模企業の生産性向上や消費電力/CO2削減を実現するマネジメントソリューション「MMS」をリリースする計画で、SQL Serverをデータベースに採用する。将来的には、Windows AzureやSQL Azureを活用したクラウドサービスとしての展開も予定している。
このほか、エムオーテックス社内のITシステムとして、マイクロソフトのソリューションを包括的に採用し、利用を進めていく。社内のIT基盤および業務アプリケーションとして、Windows Server 2008 R2、Active Directory、Exchange Server 2010、SharePoint 2010、Microsoft Dynamics CRMを利用するとともに、「LanScope Cat」シリーズを始めとするエムオーテックスの製品の開発環境として、マイクロソフトのVisual Studio 2010およびTeam Foundation Server 2010を利用する。
さらに、これまで複数社のデータベース製品に対応した製品を開発・販売してきたが、今後はマイクロソフトのSQL Serverおよびそのクラウド版のSQL Azureを活用した製品の開発・販売に注力する。マイクロソフト パートナーネットワークにおいて、開発環境に関するコンピテンシー(専門性)を新たに取得し、より高度な技術力で製品を開発できる環境を整えていく。
顧客ニーズに対応した製品ラインアップ | 両社の協業戦略マップ |
一方、マイクロソフトでは、エムオーテックスの営業担当者・技術者の製品・テクノロジの理解を高めるための無償トレーニングを実施する。また、マイクロソフト大手町テクノロジーセンターの施設を活用して、「Cloud Cat」の負荷検証を実施するほか、開発完了後に同センター内にソリューションを展開する。さらに、エムオーテックスの製品開発にあたっての技術支援を行うほか、Webサイトを中心としたプロモーション支援施策を実施していく予定。
両社共同でのマーケティング・販売活動としては、ユーザーおよびパートナー企業向けの共催セミナーを全国で年間20回開催し、両社のソリューションやテクノロジを紹介する。また、WindowsやMicrosoft Officeなどを年払いで利用できる購入形態の「Open Value サブスクリプション」と、エムオーテックスの製品群を組み合わせた販売提案を実施していく。
両社では、今回の協業により、エムオーテックスの「LanScope」シリーズ(Cloud Cat含む)およびマイクロソフトのSQL Serverの新規顧客として、中堅・中小企業を中心に、今後1年間で1200社、160万クライアントを獲得することを目標としている。