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ブレードサーバー出荷台数が前年比25%減、仮想化進展の影響受け~JEITA

2013年度のサーバー・ワークステーション出荷実績を発表

 一般社団法人電子情報技術産業協会(以下、JEITA)は28日、2013年度(2013年4月~2014年3月)のサーバー・ワークステーション出荷実績を発表した。

IAサーバーは台数・金額ともに前年を上回る、メインフレームは減少

 IAサーバーの出荷実績は、出荷台数は前年比6%増の34万889台、出荷金額は同6%増の2110億2100万円と、台数・金額ともに前年実績を上回った。

 ただし、ブレードサーバーの出荷台数は25%減の3万1234台となった。

 「IAサーバーは、50~100万円クラス、100万円以上といった上位機種を中心に台数、販売金額が増加した。だが、ブレードサーバーは、上期、下期ともに前年実績を下回った。企業の6割が仮想化に取り組んでおり、それに合致したサーバーとして、高機能サーバーを求めているという傾向がある。それがブレードサーバーの減少につながっている」(JEITA プラットフォーム市場専門委員会の香川弘一委員長)という。

JEITA プラットフォーム市場専門委員会・香川弘一委員長(東芝ソリューション 参事)
IAサーバーの出荷実績
ブレードサーバーの出荷台数

 また、UNIXサーバーの出荷台数は13%減の7516台、出荷金額は20%減の650億1900万円と、前年割れの実績となった。

 「上位機種が減少しているものの、300万円未満の製品群が増加している」(香川委員長)としたほか、「日本のメーカーのUNIXサーバーは、高い品質コントロールを維持しており、それが長年にわたってUNIXの需要が根強い要因になっている」(JEITA ITプラットフォーム事業委員会・村野井剛委員長)と分析した。

 なお、IAサーバーとUNIXサーバーを合計したオープンサーバーは、出荷台数が前年比5%増の34万8405台、出荷金額が1%減の2760億4000万円となった。

UNIXサーバーの出荷実績

 メインフレームの出荷台数は前年比13%減の341台、出荷金額は11%減の7140億800万円。産業別には「地方公務」の出荷台数構成比が、前年比の6%から15%へと増加。また、出荷金額ベースでは、「国家・公務および政府関係機関」が前年度の8%から、24%に一気に拡大した。

 また独自OSサーバーの出荷台数は前年比8%減の583台、出荷金額は9%減の42億9600万円。ワークステーションの出荷台数は前年比2%減の7万4408台、出荷金額は4%増の133億7900万円となった。

メインフレームの出荷実績

 なお、同調査は、自主統計としており、11社のハードウェア企業が参加。その実績データをまとめたものであり、予測や推測は含まれていない。メインフレームではカバー率は100%、オープンサーバーのカバー率は約70%としている。

2014年度以降もIAサーバーは伸長

 一方、JEITAでは、2014年度以降の見通しについても発表した。

 IAサーバーについては、仮想化が進展するなかでもサーバーの出荷は増加。幅広い用途での需要が拡大することから、2016年度まで年々上昇を続けるとみており、2016年度の出荷台数は36万5937台、出荷金額は2249億3100万台になると予測した。

 UNIXサーバーは、毎年減少を続け、2016年度には年間出荷台数が5706台、金額では443億7400万円に縮小するとみている。

 メインフレームは、2014年度と2015年度は微減すると予測。だが、2016年度には275台、344億9300万円と市場が縮小し、「高度の信頼性を要求される社会インフラシステムの中核としての需要が継続する」との見方を示した。

IAサーバーの需要予測
UNIXサーバーの需要予測
メインフレームの需要予測

 JEITAでは、「国内経済は、政府の金融緩和策による円安修正の継続と、輸出企業を中心とした業績向上と株価回復、オリンピック対応を含む財政出動による公共投資の回復などで緩やかな景気上昇が期待される一方、企業のITシステムは、クラウド化や仮想化の活用による効率化での満足度が高まっており、さらなる浸透が進むとみられる。仮想化技術の採用とクラウドコンピューティングの進展に伴い、プライベートクラウド、パブリッククラウドの構築・強化により、データセンターの構築や増強、新たに発生するサービスに対応するためのサーバー導入が期待される」(香川委員長)とした。

 さらに、「非定型のビッグデータの高速処理、M2Mや複合的な統合セキュリティなどの新たな市場変化への対応、システム運用効率化のためのサーバー統合や仮想化導入、Windows Server 2003サポート終了に伴う移行、BCPの実行による基幹システムのバックアップサイト構築、防災システムの構築といった領域でのサーバー需要が期待できる」と、今後の見通しを話している。

省電力サーバーの普及などで消費電力量は減少も、今後は増加に転じる?

 また、2013年度サーバーの年間総消費電力量の試算結果も発表された。

 2013年度の総消費電力は48億kWh(稼働台数は288万台)となり、前年度の50億kWh(稼働台数は289万台)から減少した。「2001年度から2008年度までは総消費電力量は増加傾向にあったが、2009年以降は、地球温暖化に対する意識の高まりや省電力サーバーの増加などにより、減少傾向にある。2013年度もその傾向が継続していた」(JEITA プラットフォームグリーンIT専門委員会・浅賀博行委員長)とした。

 だが、同協会の予測では、2014年年度以降は、総消費電力量が増加傾向に転じるとみている。

 「IAサーバーでは仮想化が進展しており、それに伴い、CPUの高機能化や、メモリやディスクの容量が増加するなど、高いスペックのものが求められている。これにより、消費電力量が増加するという傾向が見込まれる」として、2014年度は48億kWh(稼働台数は291万台)と横ばいを見込んでいるが、2015年度は50億kWh(稼働台数は297万台)、2016年度は52億kWh(稼働台数は302万台)とした。

 IAサーバーの下位機の平均定格電力は平均212kWであったが、2013年度は平均270kwと上昇していることも、今後の総消費電力量の増大にも影響する理由だといえるが、「さらなる省エネ技術が進展すれば、電力量の減少は維持できる」(浅賀委員長)としている。

大河原 克行