ニュース

NEC、クラウド連携型ロボットでパートナー制度「PaPeRo パートナープログラム」公開

 日本電気株式会社(以下NEC)は11月11日、クラウド連携型ロボットプラットフォームを元にサービスを提供するパートナー制度「PaPeRo パートナープログラム」を公開した。「ビジネスパートナー」および「アプリケーションパートナー」を広く募集する。同時に、ビジネスパートナーがエンドユーザー向けの新サービスを検証するためのトライアルサービス(個別見積り、標準期間3カ月)を提供開始する。

NEC執行役員 保坂岳深氏とPaPeRo petit

 NECは、様々なパートナー企業との連携で今後3年間で100億円規模の事業とすることを数値的な目標としている。すでに開発を進めているパートナー企業と、早ければ2014年1月にみまもりサービス、生活支援サービス、店舗向けサービスなどのサービス提供を開始する見込み。

 PaPeRo petitは一般家庭や店舗での設置を想定しているが、機器はレンタルで、選択できるサービスが順次増えていくモデルを考えており、機器のみの販売は考えていないという。利用料としては、「1つまたは2つ程度のサービス利用料込みで、月1万円以下を想定している(NEC執行役員 保坂岳深氏)」という。

 なお、高齢者の単身世帯ではインターネットに接続する回線がない場合も多く、回線から用意する必要があることが考えられる。この点について保坂氏は、「固定にしてもモバイルにしても、普通に契約すると月5000円とかになってしまう。NTT Comさんはネットワークの仮想化サービスを発表していて、価格帯も抑えた形になっており、われわれにとっても魅力あるサービス。ネットワークのセキュリティの問題もクリアされている」として、「NTT Comとネットワーク部分、回線部分で一緒にやっていきたい」とコメント。通信インフラではNTT Comとパートナーシップを結んでいくことを明らかにした。

PaPeRo petit
認識や判断などの部分をクラウド側で持つことで、改良や追加が容易なシステムとし、ロボットも小型化した

 クラウド連携型ロボットプラットフォームは、NECが新たに、各種センサーを搭載し家庭向けに小型化したロボット「PaPeRo petit(パペロ プティ)」と、「PaPeRo petit」を活用しさまざまなアプリケーションを提供するためのクラウド基盤から構成される。

 NEC執行役員 保坂岳深氏は、NECの「人が生きる、豊かに生きるための社会インフラを、ICTを通して提供する」というNECの社会ソリューション事業のコンセプトを上げ、「人が介在することによる温かさを大事にしながら、ICTで代替できることはないのか。簡単に、楽しく利用できるソリューションとして出したひとつの答え」がPaPeRo petitとそれを支えるクラウド基盤だと説明。人を見つけて、顔を見ながら話すなど、ごく自然なコミュニケーションができるものとして開発したと述べた。

 「PaPeRo petit」は発表済みの「PaPeRo」を小型化し、自走型ではなく据置型としたもの。高齢者や子供、ペットなどの見守り用途が想定されることから、自走型でつまづいたりすることのないよう据置型にしたという。カメラ、超音波センサー、温度センサー、音声センサーなどを搭載し、人が近づいたり、部屋の様子の変化などを24時間認識する。画像認識や判断をはじめ、機能の多くをクラウド上に持つことで、1台でさまざまな機能をユーザーが後からでも選択・追加できるようサービスを設計している。

NECが提供するロボットプラットフォームの構成
家庭での見守りサービスなどを想定

 「PaPeRo パートナープログラム」は、「アプリケーションパートナー」と「ビジネスパートナー」、NECの三者が連携し、ロボットとアプリケーションを組み合わせたサービスをエンドユーザーに提供する仕組み。パートナーはいずれも法人であることが条件で、公序良俗に反するものではないか、家庭に置く24時間監視システムという面もあるため個人情報保護の観点、NECの掲げるコンセプトに合ったサービスであるかなど審査を行ったのちパートナーとして提携する。

パートナー連携によるビジネススキーム
さまざまなパートナー企業とエコシステムを形成

 「アプリケーションパートナー」は、NECがパートナー企業に公開するAPIを元にアプリケーションの開発を行い、「ビジネスパートナー」は、エンドユーザーにサービスを提供する。開発したアプリケーションはビジネスパートナーを通じてサービスとしてエンドユーザーへ販売される。

 「ビジネスパートナー」は、ロボット活用サービスを提供する事業者。セキュリティ、住宅、医療、公共などさまざまな分野を想定、募集する。ビジネスパートナーはNECと共同でサービスや価格を決定し、消費者にアプリケーションサービスとロボット端末を提供する。

アプリパートナーとの提供サービス
日本市場投入ののち、ロボット活用サービスをパートナーとともにグローバル展開

 「PaPeRo petit」は、身長24cm、体重1.3kgと従来の「PaPeRo R500」と比較して半分のサイズに小型化。家庭や店舗などへの設置を想定し、身近な生活空間になじむデザインとした。

 本体に組み込む機能を限定し、一部の機能をクラウド基盤へ移行することで、ロボットの小型化を実現している。カメラやマイク、人検出センサーを備え、複数のセンサーを組み合わせることで、温度や距離、角度から、暗いシーンでの人検出や、近くにいる人の検出を可能とした。検出後は人の方向を見て話すという自然なコミュニケーションを行うことができる。

 クラウド上の認識技術と組み合わせることで画像認識や音声認識を行うこともでき、一度顔認識された人が時間をあけて認識されると自動的に話しかけるといったコミュニケーションが可能となっている。

PaPeRo petit
LEDの点灯パターンで表情があるように見える
デモの様子
腹部に、2つの超音波センサー(発信、受信)と温度センサーを備える

 発表会では、NECが提供するSNSサービス「BetterPeople」を使ったデモも行われた。PaPeRo petitを使って、高齢者と家族がSNSでコミュニケーションするデモとなっており、SNSのメッセージをPaPeRo petitが音声で高齢者に伝え、高齢者が「おはよう」「がんばって」などとPaPeRo petitに話しかけると、SNSに文字やスタンプでメッセージを送信する仕組み。

 音声認識の認識率は、「80数%くらいだと認識している。繰り返し話すことによる認識率の向上で90数%まで向上させることができるのではないかと考えている。クラウド側の音声認識エンジンを使用して精度を上げることが可能だ」(保坂氏)。

SNSに投稿すると、PaPeRo petitが音声でおばあちゃんに伝える
おばあちゃん(役の女性)が、「がんばって」とPaPeRo petitに向かって言うと、SNSにスタンプが表示された

 なお、「PaPeRo petit」は、NECグループが11月14日と11月15日の2日間にわたって開催する「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2013」(会場:東京国際フォーラム)でのデモ展示を予定している。

(工藤 ひろえ)