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日本HP、垂直統合型システムだから提供できる“止まらない”Javaアプリサーバー

「NonStop Application Server for Java」を発売

日本HP エンタープライズ・インフラストラクチャー事業統括 常務執行役員 杉原博茂氏

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は28日、同社の垂直統合型システム「HP Integrity NonStop」のラインナップ製品としてJavaアプリケーションサーバー「NonStop Application Server for Java」の販売を開始した。

 ミッションクリティカルな業務での採用が多いNonStopサーバ上に、Javaアプリケーション環境を実装した製品で、市場での実績が高いJBossアプリケーションサーバーとの互換性をもつ。日本HP エンタープライズ・インフラストラクチャー事業統括 常務執行役員 杉原博茂氏は「ミッションクリティカルの定義が以前に比べてどんどん広大になってきている。これまではミッションクリティカルとは言えなかった業務が、いつの間にか24時間365日止まってはいけないものとなった。特にオープンなアプリケーション環境をミッションクリティカルな業務に適用させたいというニーズが強くなってきている」と語り、新製品が“オープン”と“ミッションクリティカル”をトレードオフにしないHPならではの垂直統合型システムであることを強調している。

 NonStop Application Server for Javaは、2プロセッサ構成の「HP Integrity NonStop NB5400c Blade System」上に「JBoss Application Server 7.1.2」とのアプリケーション互換環境を実装したシステム。無停止と垂直統合型を特徴とするサーバ上で、オープンなイメージの強いJavaアプリケーションを安全に稼働できることを最大の強みとする。

 日本HP エンタープライズ・インフラストラクチャー事業統括 ビジネスクリティカル事業本部 事業本部長 手島主税氏は「コストや柔軟性というメリットから、アプリケーションサーバー市場の69%がJBossやTomcatなどのオープンソース。その一方で顧客へのサポートなどオープンソースに対する不安を払拭できないでいる企業も少なくなく、本番環境で利用している企業は25%ほどに過ぎない。しかし、今後はミッションクリティカルとオープンがボーダーレスな案件が増えていく傾向にあり、そうなるとオープンソースの需要はますます高まる」と現状を指摘、高いサービスレベルを担保しつつオープンな環境を求めるユーザに対し、HPからの解決策が今回のNonStop Application Server for Javaであるという。

 手島氏は無停止/垂直統合型サーバ上にJavaアプリケーション環境を実装できるメリットとして

・NonStopのソフトウェアとしてHPからのフルサポートを受けられる
・トランザクション一元管理により障害を即座に感知する
・ツールセット「Java Infrastructure」によりアプリケーション環境の最適化を行える

 といった点を挙げており、高可用性と柔軟性を両立させつつ、複雑化したアプリケーション環境の統合や運用コストの低減なども実現できる点を強調、「単なるオープンシステムでは提供できないHPならではのアプリケーションサーバー環境」とする。

 こうした製品が登場してきた背景には、クラウドやモバイルデバイスの普及により、世界的に「業種を超えてサービスを多様化する必要に迫られている企業が多くなってきている」(杉原氏)というトレンドがある。ネットショップがオンライン決済を扱うといったことが普通になり、大企業以外にも24時間365日、決して止めてはいけないサーバへのニーズが高まりつつある。“無停止”を製品名に掲げ、その可用性の高さを強調してきたNonStopサーバにとっては大きなビジネスチャンスだ。

米HPでNonStopエンタープライズ部門のディレクターを務めるボブ・コスラー氏

 米HPでNonStopエンタープライズ部門のディレクターを務めるボブ・コスラー氏は「フォルトトレラントアーキテクチャを採用し、計画外ダウンタイムはゼロに、計画内ダウンタイムも可能な限り短縮させてきた“ビジネスを止めない”サーバーとしてのNonStopへの信頼はゆるぎない。HPとしては今後も積極的にNonStopへの投資を続けていく。SMBから大企業まで、顧客が必要とするワークロードにあわせて柔軟にNonStop上でアプリケーション環境を提供し、サーバ業界を変革する大きな一翼を担いたい。今年後半にはItanium版も登場する予定だ」としている。NonStopがフォーカスする業界については「金融、通信、製造、公共/公益」の4つを挙げている。

 なお、日本HPはNonStop Application Server for Javaの提供開始に伴い、新たなパートナー支援プログラム「HP NonStopプレミアムパートナー・プログラム」を発表している。NonStopの適用範囲の拡大をパートナーとともに推進していくことが狙いで、Webポータルやメールマガジンによる情報発信、技術支援や営業支援などの案件支援、プロモーション支援、人材育成支援などが含まれる。

 NonStop Application Server for Javaのライセンス提供価格は43万6800円から。出荷開始は6月上旬が予定されている。

新たなパートナー支援プログラムを発表。NonStopの適用範囲をパートナーとともに進めていく
新たに発表された「NonStopプレミアムパートナー・プログラム」

(五味 明子)