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IIJ、前財務事務次官・勝栄二郎氏の社長内定を発表~鈴木幸一氏は会長兼CEOに
(2013/3/28 13:22)
株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は28日、前・財務事務次官で、同社の特別顧問を務めている勝栄二郎氏が、代表取締役社長兼COOに内定したと発表した。現社長の鈴木幸一氏は、代表取締役会長兼CEOに就任する予定で、いずれも、6月下旬に開催が予定されている、定時株主総会終了後の取締役会で正式に決定される。
勝氏は1950年生まれ。1975年に東京大学法学部を卒業後、大蔵省(当時)に入省。2010年7月から財務事務次官を務めていたが、2012年8月に財務省を退官し、同年11月よりIIJに入社していた。
IIJによれば、勝氏は事業拡大のための戦略、事業運営における対外交渉、事業執行運営などを所管するとのことで、これまでに培った経験や豊富な海外人脈を生かして、米国、アジア、欧州での国際事業展開も加速するとした。
また鈴木氏は、引き続き事業全体を統括するとともに、技術開発分野を主管し、SDNなどをはじめとする新たな技術基盤やサービス開発、技術者の育成などを主導するとしている。
IIJにおいて28日夕方、緊急記者会見が行われ、今回の人事の経緯について鈴木氏が説明した。
鈴木氏は、1992年に設立された同社について「当初、電話しかなかった世界で、インターネットという技術革新を日本に持ち込み、それを商用化しようと設立された会社」と説明。だいたい同じころに設立された会社として、携帯電話事業を手がける現在のNTTドコモとIIJを対比させ、「当初の計画では携帯電話というものはそう大きな技術革新ではなく、インターネットこそが技術革新であるという確信を持っており、IIJのほうが企業として成長するという思いを持ちながら新しい世界を作ってきた」という。
しかし、関連会社のクロスウェイブコミュニケーションズの“頓挫”などもあり、IIJにとって2002~2003年からの10年間は、経営を再建し、会社を成長軌道に乗せることが大きなテーマだったと振り返る。一方で、その間にインターネットは社会・経済を支える大きな存在へと変わり、ある意味クロスウェイブコミュニケーションズの事業で描いていたようなクラウドという市場も拡大した。そのような中で「IIJがドコモのようにならなかったということを含めて、我々としては次のステップに向かい、もう一度、世界的にも技術的にもイニシアティブをとっていく時期に来たのではないか」として、勝氏にオファーしたという。
鈴木氏は、「今後、世界にイニシアティブをとれるような技術開発を中心に、会社を発展させていきたい」という。一方で勝氏には、IIJが立ち後れている分野において、産業や世界の枠組みそのもの変化にも対応する新サービスや戦略を練ってほしいとし、「二人三脚で会社の発展をめざしたい」とした。
勝氏は、顧問に就任してからの4カ月間のIIJの印象について、「若い人が多い、非常に若い会社。冬なのにクールビズの人が多い」とコメント。IIJの財産としては「技術力の高さ」と、それに裏付けされた「顧客からの信頼」を挙げ、「世の中に技術はたくさんあるが、時代の要請に応えるような技術・サービスを提供し続けることは非常に難しいこと。IIJはある意味、20年間高い技術を提供し続けた会社。優れた技術者と先見の明が経営者の判断だったと思う」と評価。こうした財産を大事にしながら、鈴木氏とともに事業計画を確実に推進し、時代の要請に応えるようにしたいとした。
また、「競争相手はおそらく海外企業。太刀打ちするためには、もう少し事業拡大が必要」と指摘。具体的な社名は挙げなかったが、クラウド分野で海外企業と競合できるような事業が必要との考えを示した。