シマンテック、「Storage Foundation 6.0」のクラスタ新機能を紹介
システムエンジニアリング本部 ストレージ&クラスタ製品担当 技術部長の星野隆義氏 |
シマンテック株式会社は18日、12月に発表を予定する「Veritas Storage Foundation
6.0」製品群の可用性に関する新機能、および同製品群に含まれるMicrosoft環境向けスイート製品「Veritas Storage Foundation High Availability 6.0 for Windows」の新機能について、システムエンジニアリング本部 ストレージ&クラスタ製品担当 技術部長の星野隆義氏が説明した。
Veritas Cluster Server 6.0(UNIX/Linux/Windows版共通)では、新しく「インテリジェント・モニタリング・フレームワーク(IMF)」が実装された。障害の「発見」と「対処」を高速化する仕組みという。
IMFの概要 |
「発見」の高速化については、従来の一定間隔で行われるポーリング監視ではなく、アプリケーションのステータスをカーネルレベルで監視することで、リアルタイムの監視・障害通知を実現。これにより、迅速に障害を検出できるようになり、「従来は平均30秒からほぼ1秒となり、約30倍高速化される」(星野氏)という。
定期的な監視(60秒など)では、監視プロセスが走って異常なしを確認した直後に障害が発生すると、次回の監視プロセスが走るまで障害に気づくことができなかった | IMFではほぼリアルタイムに障害を検知できるので、リカバリを実行するまでの時間が短縮される |
「対処」の高速化については、障害検出後、フェイルオーバーに伴うストレージの切り替えを高速化する仕組みを搭載した。星野氏によれば「通常、ファイルオーバーの対象サーバーにストレージのアクセスを切り替える際に、ディスクのスキャンやディスクグループのインポートといった手順が必要になる。例えば、サーバーがデータを書き込んでいる最中に落ちると書き込み不十分となり、同手順ではそのデータ検証などに時間がかかってしまう」という。これを短縮化する仕組みだ。すでにUNIX/Linux版では対応済みだったが、今回、Windows版にも採り入れられた。
具体的にこの仕組みでは、待機系サーバーも常時データアクセス可能にしておく。普段は、稼動系ホストにRead-Write、待機系ホストにRead-Onlyの権限を与えておき、フェイルオーバー時はRead-OnlyからRead-Writeに変更するのみで済み、切り替えに伴うデータ検証を短縮化できる。これを実現するために、独自の排他制御技術などが盛り込まれている。
リカバリが実行されると、ファイルオーバーの対象サーバーにストレージのアクセスを切り替える作業が発生し、これに時間がかかってしまっていた | 待機系サーバーも常時データアクセス可能な状態にしておくことで、この課題を解決。「言葉で言うのは簡単だが、これを実現するには排他制御など複雑な技術が必要になる」(星野氏)という |
このほか、KVMとの連携を強化し、ハードウェア障害時に別のハードウェアへゲストOSを移動させる機能をサポート。VMware HAに相当するものだ。また従来、VMware向けにのみ提供された「Symantec ApplicationHA」の機能もKVMに対応させた。こちらはゲストOS上で稼働するアプリケーションの再起動などを可能にする可用性機能だ。
また、Hyper-V環境のストレージ管理を保管する機能も搭載。Hyper-Vレイヤから「Dynamic Multipathing(動的マルチパス)」といった高度なストレージ管理機能が利用できる。これにより、Hyper-Vの仮想環境下において、ダウンタイムを伴わないファイルシステムの拡張・縮小を実現するという。
シマンテックでは「企業はこれらのソリューションを導入することで、システムが物理・仮想かにかかわらず、複数のOSと仮想化プラットフォーム全体で、多くの主要なストレージアレイを使用しながら、既存の資産を有効利用し、耐障害性、拡張性、柔軟性を備えたインフラを構築できる」としている。