日本オラクル、「SPARC T3」搭載サーバーや「Solaris 11」の国内提供を表明

旧サン製品ラインへの投資は継続、「ハード・ソフト統合型製品で高い価値を提供」


日本オラクル 専務執行役員 システムズ事業統括の大塚俊彦氏

 日本オラクル株式会社は19日、サン・マイクロシステムズが展開していた国内ビジネスに関連する発表を行った。16コアCPU搭載モデルを含むサーバー製品群「SPARC T3システム」、統合型ストレージ「Sun ZFS Storage Appliance」、次期UNIX OS「Oracle Solaris 11」などを順次提供開始するという。

 日本オラクル 専務執行役員 システムズ事業統括の大塚俊彦氏は、「(米Oracleによる)米Sun統合時に、システム製品と旧Sunのテクノロジーへの投資継続・強化をコミットしたが、その第1弾として実現したもの」と、これらの新製品を紹介。「両社の統合により、ハードウェアとソフトウェアが融合した統合型製品により、お客さまへ高い価値が提供できる」と、自社の戦略を説明する。

 大塚氏によれば、先ごろ米国で開催されたOracle OpenWorldで発表された主要製品群のほとんどについても、その中で「Sunのテクノロジーを利用している」とのことで、具体例として紹介されたDWH/OLTPアプライアンスの「Exadata X2-2/X2-8」、クラウドプラットフォームの「Exalogic Elastic Cloud」では、劇的な性能向上を達成している。

 また、こうした統合型製品では、処理性能の向上はもちろん、システム構築のスピードアップや運用コストの削減、事前検証によるリスク低減といったメリットも提供可能。こうした利点を生かすべく、今後も、同様のアプローチを広く展開するという。

Oracle OpenWorldでは、旧Sunのテクロノジーを利用した製品が多数発表されている旧Sunのテクノロジーを生かして提供される「Exalogic Elastic Cloud」

 しかし、統合型のメリットでより価値を引き出すためには、個々のコンポーネントの能力も重要になる。そこで同社では、「1つ1つのコンポーネントでもベストオブブリードを目指す。業界で最高のパフォーマンスを、オープン技術でお客さまに提供する」(大塚氏)との考え方のもと、プロセッサ、サーバー、ストレージ、OSといった各分野について、5年間のロードマップを顧客に提示。その実現のための積極的な投資を行っていくとした。

SPARCプロセッサとその搭載サーバーのロードマップ
SPARC T3プロセッサの特徴(スライド中の256スレッドは128スレッドの誤り)

 まずSPARCプロセッサでは、40nmプロセスで製造され、16コア/128スレッドと従来の2倍の性能を実現した「SPARC T3(1.65GHz)」を発表。2015年までには、コア数で4倍、スレッド数では32倍までスケールアップさせるという。

 またSPARC T3では暗号アクセラレーターを統合しており、「ソフトウェア暗号化と比べて低いCPUオーバーヘッドで、高いパフォーマンスを発揮できる上、お客さまには新たなコストは発生せず、システム全体でのTCO削減にも寄与する」(米Oracle システム・ストラテジック・エンゲージメント担当シニアディレクターのシェーン・シグラー氏)メリットを提供できるとのこと。ネットワークについても、10Gigabit Ethernetの統合で、4倍の帯域幅の増強を達成している。

 SPARC T3搭載サーバーとしては、1ソケット(最大16コア/128スレッド)のサーバーブレード「SPARC T3-1B Blade for Blade 6000」とラック型サーバー「SPARC T3-1」、2ソケット(最大32コア/256スレッド)のラック型サーバー「SPARC T3-2」、4ソケット(最大64コア/512スレッド)のラック型サーバー「SPARC T3-4」を用意する。

 なお大塚氏は、POWER7やx86プロセッサなど他製品との比較について、「マルチスレッド化されたアプリケーションでは、速いクロック周波数だけでは解決できないものがよくある。スレッド数では圧倒的にSPARCが優れているし、クロック周波数」と述べ、そのメリットを強調した。

 Solaris OSについても、シグラー氏が、今後はさらなる可用性やスケーラビリティ、セキュリティなどの向上を図ると説明。「可用性では、Fast Reboot機能などで計画停止時間の削減を図るほか、1000スレッド、TBレベルのメモリ対応などのスケーラビリティを強化。重複排除や圧縮で効率性を高め、システムのスケールを高めていく。さらに、ZFSの暗号化機能によってビルトインの暗号化を実現する」などと述べている。

 Solaris 11はまず、開発・早期評価向けの「Oracle Solaris 11 Express」からリリースし、製品版は2011年中の提供を目標に開発が続けられている。

SolarisのロードマップSolaris 11
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