アイキュエス、ASP形式で容易に導入・利用できるIRMサービス「FinalCode」

利便性と堅固なセキュリティを両立


FinalCodeの特徴

 デジタルアーツグループの株式会社アイキュエスは18日、ASP/SaaS方式でIRM(Information Rights Management)を容易に導入・運用できる「FinalCode」を発表した。ASP/SaaS方式のため、導入・運用に関する費用・手間を削減できる点が特長で、提供開始は6月21日から。

 FinalCodeは、ファイルへのアクセスを半永久的に管理できるIRMサービス。ファイルをRSA/AES準拠の暗号化によって保護し、ファイルに対する閲覧や操作を、あらかじめ許可した特定のユーザーのみが行えるようにする。

 また、閲覧できる期間・回数を制限したり、社外の関係者などにわたした後で、リモートからファイルを削除したりすることも可能。さらに、ファイルに対して「誰が」「いつ」「どこから」「どういった操作をした」などのアクセス/操作ログを記録する機能を搭載しており、「手元を離れたファイルに対しても、きちんとトレーサビリティの確保が行える」(アイキュエス 営業課の光山慶課長)特徴を持つ。

 利用にあたっては、まず、暗号化ファイルの送信者は、PCにクライアントソフトをインストールし、ユーザー登録を済ませておく。次に、保護したいファイルに対し、閲覧可能な人や許可する行為(閲覧、コピー、印刷、画面キャプチャなど)を設定する。この際、権限情報は、インターネット上に存在するアイキュエスのASPサーバー(FinalCode Server)に自動登録される

FinalCodeの仕組み
デジタルアーツの取締役COO、高橋則行氏

 保護されたファイルを受け取った受信者側は、クライアントソフトをインストールし、、ファイルをダブルクリックすれば、設定された権限の範囲内でそのファイルを利用できるようになる。ただし、クライアントソフトがこのASPサーバーから常に最新の権限情報を取得する仕組みのため、保護されたファイルは、オフラインでは利用できないという。これについて光山課長は、「技術的には可能だが、FinalCodeの導入を検討するお客さまは、厳格なセキュリティを要求される場合が多く、あえて制限をかけている」と説明する。

 この、厳格なセキュリティと容易な使い勝手の両立という点が、FinalCodeでもっとも重視されている点だ。このサービスでは、送信者・受信者とも、パスワードを自らファイルに設定する必要はなく、運用が簡素化されているが、デジタルアーツの取締役COO、高橋則行氏によると、実はユーザー登録を行った際に、それぞれのユーザーに対して証明書が配布されているのだという。

 高橋氏は、「これまでは高度な証明書を全員に発行する仕組みがなかったが、FinalCodeではこれを実現し、さらにハードウェア(PC)にひも付けることで、堅固なセキュリティを達成した。また運用時には、パスワードレスという高い使い勝手を実現したが、システム的には、ファイル1つ1つに最高レベルの難易度を持つワンタイムパスワードを設定し、保護している。証明書を1人1人に配布することで、セキュリティに優れ、容易に使えるシステムを提供できるようになった」と述べ、FinalCodeのメリットを強調した。

 販売対象としては、機密情報をひんぱんにやりとりする必要がある中小規模の企業、あるいは組織が主な対象で、具体的には弁護士/弁理士/会計士などの事務所、医療・製薬業界、人材紹介会社などを想定している。

 対応するOSはWindows 7 Professional/Ultimate、Vista Business/Ultimate SP1以降、XP Professional/Home SP2以降で、32ビット版のみサポートする。対応アプリケーションは、Adobe Reader 7.0/8.1/9.0以降(PDFファイル)、Word 2007/2003/2002/2000、Excel 2007/2003/2002/2000。PowerPointや、最新のWord 2010、Excel 2010にも近日中に対応する予定。

 製品を利用するためには、暗号化を行うユーザーごとに1IDが必要で、価格は、10IDが含まれる基本料金が10万円(税別)/月。以降、1IDごとに1万円(税別)/月が加算される。暗号化を行わない受信者側では、料金は発生しない。アイキュエスでは、初年度50社への導入を見込む。

関連情報
(石井 一志)
2010/6/18 14:54