シトリックス、拡張性や自動化機能などを強化した「Citrix XenServer 5.6」
コストパフォーマンスに優れた「Advanced Edition」を新設
シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社(シトリックス)は15日、仮想化サーバーソフトの新版「Citrix XenServer 5.6」を発表した。ラインアップの拡充やさまざまな機能追加が行われている。価格はオープン。
Citrix XenServerは従来、無償版の「XenServer」と、管理機能を強化した有償版「Citrix Essentials for XenServer」の、2つのブランドで提供されていたが、今回よりブランド一本化して提供することになったという。
製品ラインアップ |
エディションについては、仮想・物理両環境での動的プロビジョニングや仮想ラボ管理機能を含めた最上位版「XenServer Platinum Edition」、仮想環境での動的プロビジョニング、高可用製機能などが利用できる中位版「同 Enterprise Edition」と、無償の「同 無償版」は従来通り提供する。
また、「Enterprise Edition」と無償版の中間に「Advanced Edition」を設けて、ラインアップの拡充を図った。「Advanced Edition」は、無償版と比べて高可用性機能やレポート、アラートの機能を強化。企業やクラウド事業者が高可用性を持つアプリケーションサービスを提供する場合などに、高いコスト効率を提供できるとのことで、価格は「Enterprise Edition」の半分以下になる見込みという。
エディション別の機能一覧 |
一方、機能面では、最新の「Xen 3.4」を全エディションで採用。ホストあたりのメモリ容量、論理プロセッサ数、NIC数などの上限を増やし、スケーラビリティを拡張している。また、Windows 7/Server 2008 R2、SUSE Linux Enterprise Server 10 SP3、Red Hat Linux 5.4など、ゲストOSの対応も強化された。
「Advanced Edition」以上では、メモリのオーバーコミットなどをサポートする動的メモリ制御(DMC)によって、より柔軟性を向上。さらに、6種類の権限を割り振れる「ロールベース管理」、稼働中の仮想マシンに対してもスナップショットを記録できる「ライブメモリスナップショット」、パフォーマンスあるいは集約率を考慮し、一番適したサーバーへ仮想マシンを自動再配置可能な「ダイナミックワークロードバランシング」といった機能が、「Enterprise Edition」以上で利用できるようになった。
性能とスケーラビリティの拡張 | 動的メモリ制御 |
ライブメモリスナップショット | ダイナミックワークロードバランシング |
マーケティング本部 リードプロダクトマーケティングマネージャーの北瀬公彦氏 |
マーケティング本部 リードプロダクトマーケティングマネージャーの北瀬公彦氏は、「2007年は1%だったワールドワイドの市場シェア(米IDC調べ)が、2008年には4%、2009年には11%と着実に増え、2010年は18%まで狙っている」と、XenServerの伸びに言及。
これをさらに伸ばす戦略としては、XenApp、XenDesktopや仮想アプライアンスのインフラとしてWindows環境での仮想化に注力するほか、もともと定評があるLinuxの仮想化市場についても引き続き拡大を図るとの方針を示す。一方で、クラウド環境についても採用例が増えているとして、ソフトバンクテレコムなどの採用事例を説明した。
いずれのケースでも、キーとなるのはコストの削減。北瀬氏は、「XenServerはプロセッサ単位ではなくサーバー単位のライセンスを採用しているので、他社とのコスト削減が生まれやすい。また、管理サーバー用のライセンスが不要で、無償のクライアントソフトであるXenCenterを入れるだけで管理できる点も、差につながってくる」と述べ、そのメリットを強調している。