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国内中堅中小企業のIT市場予測、2017年はPCなどハードウェア更新需要の再開でプラス成長~IDC Japan調査
2017年5月31日 12:31
IDC Japan株式会社は30日、国内中堅中小企業(SMB)のIT市場について、2017年~2021年の予測を発表した。2017年の国内SMB IT市場は、一部大都市圏以外のSMBではIT支出は抑制傾向が継続しているものの、PCなどハードウェアの更新需要の再開が見込まれるとして、市場規模は前年比1.7%増の3兆7449億円とプラス成長を予測している。
従業員規模別では、小規模企業(従業員規模1~99人)や中小企業(従業員規模100~499人)については、大都市圏など一部を除いてIT支出に抑制傾向を継続する企業が多いものの、PC、プリンター/複合機の更新需要が見込めるとして、プラス成長を予測。中堅企業(従業員規模500~999人)では、業績が好調な一部の企業ではシステム刷新が継続しているが、多くの企業ではIT支出は抑制傾向が継続していることに加えて、ハードウェアの更新需要が一部にとどまるため、比較的低い成長率になるとしている。
今後については、2020年に開催予定の東京オリンピック/パラリンピックを控え、2018年から国内の投資が拡大することから、業績が安定的に改善する企業が増加するとみており、各従業員規模でIT支出はプラス成長で拡大を予測している。
産業分野別でも、各産業分野でプラス成長を予測しており、特に流通、建設/土木などにおいて比較的高い成長率を見込んでいる。流通では大都市圏の小売業を中心に、オムニチャネル化へのシフトを目的とした積極的なIT支出を予測。建設/土木では、東京オリンピック/パラリンピックに伴う建設需要拡大により積極的にIT支出を図っているなど、2018年以降、各産業分野においてプラス成長で拡大が見込まれるとしている。
特に各産業分野において、人材不足が深刻化し、かつ「働き方改革」が課題となっていることから、ITを活用した業務効率化/業務支援を目的に、タブレットを積極的に活用する企業の増加が見込まれると説明。ただし、同じ産業分野の企業においても、大都市圏とそれ以外の地域間でのIT支出動向の二極化がさらに拡大すると分析している。
IDC Japan ITスペンディンググループ リサーチマネージャーの市村仁氏は、「ITサプライヤーは、国内SMB IT市場において、2020年以降に市場拡大を持続させるために、SMBの経営課題の解決に直結する提案を積極的に行い、IT活用の有益性を直感的に認識させることが今後さらに重要になる」と分析している。