ニュース

日商エレ、VDI支援サービスを提供 米Liquidware Labsと提携で

 日商エレクトロニクス株式会社(以下、日商エレ)は16日、VDIテクノロジーのリーディングカンパニーである米国Liquidware Labs社(以下、LWL社)と、4月1日に包括的戦略提携契約を締結し、本契約に基づき、VDI(仮想デスクトップ)環境を対象とした国内初の4つのVDI支援サービスを、同日より提供開始すると発表した。

 今回のLWL社との戦略提携の背景について、日商エレ ITプラットフォーム事業本部 事業本部長の坂井俊朗氏は、「当社では、1997年のCitrix Japan設立当初からディストリビューターとしてクライアント仮想化ビジネスを展開しており、約20年の実績を持っている。その中で、顧客企業からは、VDI環境に移行したことで、パフォーマンスが低下した、監視ができないなど、さまざまな課題が浮かび上がっていた。そこで、4年前からLWL社の販売代理店となり、VDIの課題解決に取り組んできた。今回、同社とのパートナーシップをさらに強化し、包括的な戦略提携を行うことにより、日本を含むアジア太平洋地域に向けた販売を共同展開していく。そして、この第1弾として、国内では初となるVDI支援サービスを提供開始する」と述べている。

日商エレ ITプラットフォーム事業本部 事業本部長の坂井俊朗氏

 新たに提供するVDI支援サービスは、「VDI適合調査サービス」、「VDI課題調査サービス」、「クラウド型VDI定期診断サービス」、「プロファイル移行サービス」の4つ。日商エレクトロニクス ITプラットフォーム事業本部 ITプラットフォームビジネス推進部 部長の青木俊氏は、「当社はこれまで、LWL製品の可視化機能を活用し、ソフトウェア製品の販売とそれに付随するVDIアセスメントサービスを提供してきた。しかし、VDIの普及に伴い、顧客からの要望が多様化し、『VDI導入の際に正確にサイジングをしたい』、『VDI導入によって発生している問題の原因を究明したい』、『VDIの利用状況を簡易的にモニタリングしたい』、『VDIへの移行作業をサポートしてほしい』といったニーズが高まってきていた。こうしたニーズに的確に対応するため、新たに4つのVDI支援サービスを提供する。これによって、VDI導入時や現状の課題分析から解決までをトータルにサポートしていく」と、VDI支援サービスを提供する狙いを説明した。

日商エレ ITプラットフォーム事業本部 ITプラットフォームビジネス推進部 部長の青木俊氏

 具体的なサービスの内容としては、「VDI適合調査サービス」は、VDIの導入を検討している企業を対象にしたサービスで、現在の物理PC環境の利用状況を正確に把握することができる。アプリケーションやPCリソースの利用状況を最大3か月にわたって情報収集し、ユーザー固有の状況を詳細にレポートする。VDI環境の的確なサイジングにより、VDIのシステムにおける安定性と費用の適正化を実現する。従来は、ユーザー数に応じた高価なライセンス購入が前提だった、同サービスではライセンスを購入する必要がなく、必要な期間のみサービスを受けることが可能となっている。

 「VDI課題調査サービス」は、すでにVDIを導入している企業向けのサービス。VDIの課題に対する原因究明と課題解決に特化したサービスになっており、「システムが不安定」「ユーザーからのクレームが多い」といった課題を抱える企業が対象となる。「システムトラブルが多い」(情報システム部門)、「部分導入してみたがコストがかさみ、とても全社展開できない」(経営層)、「PCが遅くなって業務に支障をきたしている」(社員)といった部門や立場ごとの課題について、原因究明し、対策を立てる。また、VDI環境に関わるあらゆる詳細なデータを収集、分析し、原因を特定し、さらに原因究明だけでなく、解決のためのソリューションもトータルで提供する。

「VDI課題調査サービス」の分析レポート例

 「クラウド型VDI定期診断サービス」は、すでにVDIを導入した企業向けのVDI運用支援サービスで、毎月1回、利用状況のモニター結果を簡易レポートとして提供する。クラウド型サービスのため、資産購入や導入コストが一切かからず、毎月数万円程度のリーズナブルな料金で気軽に利用することが可能。顧客自身がレポートを見て、トラブル予防のための対策を講じることができる。また、年間を見通したより適切なシステム投資計画を立てることが可能となる。

 「プロファイル移行サービス」は、物理環境からVDI環境への移行に際し、PCの中に入っている個人特有のプロファイルデータを移行するWindowsクライアントの移行サービス。一般的に、移行作業はシステム担当者の手作業によることが多く、手間も時間も膨大にかかることが課題となっていた。同サービスを利用することで、自動的かつ安全に物理PCからVDI環境にプロファイルデータを移行することができ、情報システム部門の作業負荷を大幅に軽減することができる。

「プロファイル移行サービス」のプロセスとスケジュール例

 これらのVDI支援サービスには、LWL社がグローバルで展開しているプロフェッショナルサービスが活用されているという。LWL社 President&COOのChris Akerberg氏は、「当社はVDIソリューションのパイオニアとして、米国市場で大きな成長を続けており、革新的な技術によって数々の賞を受賞してきた。また、世界各国で幅広い業界の大手企業に導入実績を持っている。当社のVDIアセスメント&移行ソリューションを活用することで、VDI導入におけるプランニングからオンボーディング、導入後の本番環境での運用管理まで、一貫して支援していくことが可能になる。今回の日商エレクトロニクスとの戦略提携によって、日本市場での導入企業をさらに増やしていきたい」と、日本市場でのビジネス拡大に意欲を見せていた。

米Liquidware Labs President&COOのChris Akerberg氏

 VDI支援サービスの価格(税別)は、「VDI適合調査サービス」が150万円から、「VDI課題調査サービス」が300万円から、「クラウド型VDI定期診断サービス」が月額5万円から、「プロファイル移行サービス」が100万円から。初年度は1億円、2020年度に5億円の売上を目標としている。