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2014年度はクラウド、ソーシャルなど4つのメガトレンドが成長する~米MicrosoftターナーCOO (クラウドかオンプレミスか?)

Worldwide Partner Conference 2013 基調講演

クラウドかオンプレミスか?

 再び登壇したRoskilコーポレートバイスプレジデントは、「3年前に、パートナーに向けて、クラウドに力を注いでほしいと言った。当時は、まだ疑心暗鬼のところもあっただろう」とし、「How far can we go?(われわれはどこまで行くことができるのか)」という文字を示しながら、「いまでは、Office 365は10億ドルの売上高となり、Windows Azureも10億ドルの売上高となった。そして、Microsoftはクラウドのリーダーとなった。一方で、Windows 8は1億ライセンスを出荷し、ひとつの画面サイズでは、すべてのニーズに対応できないという課題に対して、Windowsのエコシステムによって、さまざまなサイズのデバイスが選択できるようにしている」などと、クラウドおよびクラウドデバイスへの取り組みを示した。

 その上で、「目指すのは、前年比140%成長である。すでに、ObjectやSkyKickといったパートナーが、前年比140%という成長を遂げている。いま、クラウドの世界は大きな転換点を迎えている。そのことを感じてほしい」と、パートナー企業に呼びかけた。
 Roskilコーポレートバイスプレジデントは、IDCの調査から、2016年になっても、オンプレミスの情報システムが70%は残ることを示しながら、「将来的には、クラウドの方向に向かうが、オンプレミスはなくなることはない。そこで注目されるのは、ハイブリッド型であり、そこにMicrosoftの強みが発揮できる」などとした。

140%の成長を遂げた2社を紹介した
Roskil氏は「How far can we go?」と呼びかけた
勝つための5つの重点施策

 こうしたハイブリッド型の市場環境においては、5つの取り組みが必要だと、Roskilコーポレートバイスプレジデントは語る。

 ひとつ目は、クラウドによってユーザーの門戸を開けて、ハイブリッドで展開するという手法。調査によると、ハイブリッドクラウドを展開しているパートナー企業は、オンプレミスだけで展開しているパートナー企業に比べて、新規顧客獲得数が34%も高いという。

 2つ目は、CMOに対してアプローチすることだ。企業のIT予算をみると、CIOが持つ予算よりも41%も高く、現場がIT予算を握っているのがその理由だ。

 3つ目は組織を最適化することである。ユーザー企業は、クラウドに対応した柔軟な組織とすることで、社員一人当たりの利益還元が30%も高くできるという。

 そして、4つ目には自らが持つ知財でビジネスを展開していく仕組みを作ることである。これによって、60%以上の利益が獲得できるという。

 これらの4つの取り組みによって、業界全体よりも2.4倍も早く成長できるとRoskilコーポレートバイスプレジデントは語る一方で、「5つ目には、こうした取り組みにおいて、Microsoftの強みを生かすべきである」と言い切る。

 「Microsoft Partner Network(MPN)を通じた、サービス、トレーニングなどの支援は、総額で32万ドルの価値があると試算されている。これらの仕組みを活用したパートナー企業は、そうではない企業に比べて、1.5倍の成長を遂げている。パートナー企業が、次のレベルに行くためにはMSPを活用すべきである」。

 さらにRoskilコーポレートバイスプレジデントは、2014年1月を目標に、クラウドに関する支援制度を一本化し、コンピテンシー制度のなかに「クラウド」カテゴリーを設定する計画であることを明らかにした。

 「新たな制度により、パートナー支援をさらに強化でき、パートナー各社は、クラウド分野のリーダーとしてこの世界に踏み出すことができる。Microsoftのパートナーは他社のパートナーに比べて成長率が高く、クラウドへの移行を加速できる」などして、パートナー企業への支援策の強化を強調してみせた。

(大河原 克行)