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PCの次の革新? Microsoftのホログラムデバイス「HoloLens」

Glassは常時着用、HoloLensは特定の状況のみに着用

 ARデバイスは比較的新しい分野ではあるが、Microsoftが先陣を切ったわけではない。Googleの「Google Glass」、Facebookが買収した「Oculus VR」などがある。当然、メディアはGoogleやFacebookと対比させている。

 とくにGoogle Glassは、Googleがエクスプローラープログラムの中止を発表したばかりで、多くのメディアが両者を比較している。なお、Googleは、エクスプローラープログラムの中止でGlassから撤退するわけではなく、今後コンシューマー向けのものを開発すると述べている。

 ABC NewsはGoogle GlassとHoloLensとの違いについて、メガネ型のGlassは常時着用できる一方で“Glasshole”(『Glass』と『Asshole:バカ者』を掛け合わせた造語)という言葉が生まれ、プライバシーへの懸念が絶えなかったとする。そして、「HoloLensは常時着用を前提としておらず、他社(=Google)は失敗したが、Microsoftが成功できる可能性はある」とのMoor Insights&Strategyのアナリストのコメントを紹介した。

 PC Worldも同じ点を指摘する。両方を着用してみたGartnerのアナリストによると、両製品は異なるものだが、Glassはグラフィックの信頼性が低く、制限を感じたとする。Nucleus Researchのアナリストは、MicrosoftはHoloLensを常時着用を前提として開発しておらず、特定の状況で利用すると見ていると分析している。「ビジネス、ゲーム、コンシューマーでそれぞれに市場はあるが、Googleがとる汎用的なアプローチよりも、特定のタスクに市場があるのでは」とこのアナリストは述べている。

 New York TimesはGoogle GlassとHoloLensは似てはいるが、体験は大きく異なると言う。Glassはスマートフォンの置き換えとなりうるが、HoloLensはPCを置き換える可能性があるとし、「つまり、(HoloLensは)実用的なものを目指している」と分析した。

 Oculus VRとの違いについては、Oculusが主としてゲーム愛好家をターゲットとしているのに対し、HoloLensはコンシューマー版として登場する計画である点をNew Yorkerは指摘する。

 一方、EngadgetはXbox事業からHoloLensを分析。Xbox開発を率いるPhile Spencer氏は1月21日のイベントでVRヘッドセットについて聞かれ、HoloLensを「(ARではなく)“Mixed Reality”(複合現実)」と呼んだと伝えている。ソニーのVR製品「Project Morpheus」ヘッドセットへの回答でもあると分析する。

 Google側にはGlassのほかに、先ごろ直接出資し、自社幹部を役員として送り込んだAR技術企業Magic Leapもある。AR関連の動きが一気に活発化してきたようだ。「スタートレック」に出てくる「ホログラム」のようなARが家庭に入ってくる日が目前になったのだろうか――。

岡田陽子=Infostand