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韓国取引所にサイバー攻撃 急騰する仮想通貨取引に狙い

規制強化も検討

 事件は、こうした仮想通貨の過熱の中で起こった。実は今年になって韓国の仮想通貨取引所を狙った攻撃は2件目になる。春には、やはり仮想通貨取引所のYapizonが攻撃され、3816.20Bitcoin(550万ドル以上相当)の損失を出した。Fortuneはまた、最大規模の取引所の1つである米国ベースのCoinbaseが狙われたことにも触れている。

 仮想通貨専門の情報サイト、The Merkleは、Bithumbのようにユーザーのアカウント、暗号鍵、パスワードといった重要な情報を中央集権的に管理する「Custodial Wallet」と分類されるプラットフォームの危険性を強調する。プラットフォームがハッキングに遭えば、情報がまとめて盗み出されるためだ。

 これに対し、仮想通貨の、より安全な保管方法として、ブロックチェーン技術を用いる「Non-Custodial Wallet」がある。Bitcoinウォレットの「Trezor」「Mycelium」などで、機密情報や暗号鍵はユーザーが管理し、プラットフォームを運用する事業者はアクセスできない仕組みだ。

 そのため、「(これらのNon Custodial Walletプラットフォームは)プラットフォームがセキュリティ侵害やサイバー攻撃にあっても、ユーザーのアカウントとウォレットプラットフォームは安全でハッカーに脆弱ではない」とThe Merkleは解説する。Bitcoinウォレットはバックアップが可能で、万が一セキュリティ侵害にあったとしても資金を復旧できる。

 騒ぎの直後の7月6日、Coin Journalは地元紙を引用して、韓国政府が仮想通貨に対する規制導入を進めていることを報じた。既存の法「Electronic Financial Transactions Act」を改訂して、仮想通貨を扱う取引者、ブローカー、その他の事業者に大韓民国金融委員会の認可を得ることなどを求めるという。暗号通貨の取引から得た所得税の回避を防ぐ目的もあるとしている。

 仮想通貨も扱うソーシャルトレーディング大手eToroの関係者は、これについて「韓国が今、Bitcoin購入で主要国となっていることを考えると、規制を整備して合法的にすることは重要な動きだ」と歓迎し、こうした措置には詐欺や取引上のミスを防ぐ効果があると期待する。ただ、とはいえ仮想通貨の価格が安定するのはまだ先との見通しを示している。