データセンター完全ガイド:プロダクトレビュー DCを支える黒子たち

SORACOM(IoT通信プラットフォーム)

IoT活用ビジネスのスモールスタートを支援するクラウドサービス

弊社刊「データセンター完全ガイド 2017年春号」から記事を抜粋してお届けします。「データセンター完全ガイド」は、国内唯一のクラウド/データセンター専門誌です。クラウドサービスやデータセンターの選定・利用に携わる読者に向けて、有用な情報をタイムリーに発信しています。
発売:2017年3月31日
定価:本体2000円+税

ソラコム https://soracom.jp/

省電力・広域通信が特徴のLoRaWANに対応

 「SORACOM」は、ソラコムがMVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)として提供するクラウドベースのIoT(Internet of Things)通信プラットフォームである。ユーザーは、無線LAN環境を構築しにくいケースの多いIoT活用の現場などで、NTTドコモのモバイルデータ通信を1回線分/ 1日10円からの従量課金ベースで利用を始めることができる。

 ソラコムは2017年2月7日、SORACOMに、LPWA(Low Power Wide Area)通信方式の1つである「LoRaWAN」を対応させたことを発表した。LoRaWANは、データ転送速度は低速だが、省電力で広域をカバーできるという特徴を持っており、IoTやM2M(Machine to Machine)の通信に適した規格として注目されている。

 同社はM2Bコミュニケーションズと資本業務提携を締結し、2016年7月よりLoRaWANを利用した実証実験キットを販売している。すでに数多くの企業がLoRaWANを利用してテストを行っているという。

 以降、IoT向けデータ通信サービスの「SORACOM Air」はユーザーコンソール/APIから「SORACOM Air for LoRaWAN」を選択可能になり、従来の3G/LTEに加えてLoRaWANも利用できるようになる。

図1:SORACOMプラットフォームを活用したLoRaWANシステムの構成イメージ(出典:ソラコム)

 SORACOM Air for LoRaWANでは、LoRaWANの基地局となるLoRaゲートウェイ(エイビット製AL-020)、およびLoRaデバイスとしてArduino基板で開発できるLoRa Arduino開発シールド(同AL-050)を1台単位で購入することが可能。SORACOM AirからLoRaゲートウェイとLoRaデバイスの一元管理・操作が行える。今後、ソラコムでは、ユーザーコンソールで販売するLoRaゲートウェイやLoRaデバイスをパートナーと協業して拡充していく予定だ。

 加えて、SORACOMプラットフォームで提供されているSORACOMアプリケーションサービス群もLoRaWANに対応した。LoRaデバイスが取得したデータは、LoRaゲートウェイを経由し、クラウド上のSORACOM LoRa ネットワークサーバーを通じてSORACOMプラットフォームに送信することが可能となる。

 また、データ転送支援サービス「SORACOM Beam」やクラウドリソースアダプタ「SORACOM Funnel」を利用することで、セキュアなデータ転送を行えるようになり、迅速なクラウド連携を含む高度なシステムを迅速に構築可能となる。

 さらに、データ収集・蓄積サービス「SORACOM Harvest」もSORACOM Air for LoRaWANに対応。サーバーを構築しなくても、LoRaデバイスからのデータの収集と可視化を容易に行えるようになった。

 LoRaゲートウェイ(所有モデル)の利用料金は月額3万9,800円(ゲートウェイ1台あたり。2台目以降の利用は月額2万9,800円)。ゲートウェイのセルラー通信料全額、SORACOM Air for LoRaWANの利用料。SORACOMアプリケーションサービス利用料(一定回数分)、SORACOM Beam/Funnel/Harvestが含まれている。

データセンター完全ガイド2017年春号