週刊海外テックWatch
Metaの「Muse」が大ヒット 「消費者エージェント経済」の主導権争いが始まる
2026年9月28日 11:29
Amazonがブロック、「顧客接点」をめぐる攻防
Museの有力なユースケースの1つに買い物がある。Metaはこの分野で、WalmartやBest Buyなどの小売事業者や、EC基盤を提供するShopify、買い物・配送プラットフォーム運営のInstacartなどとの提携を発表した。ShopifyのCEO、Tobi Lutke氏はXで、Shopifyの全ストアでShop Payを使った「エージェント型チェックアウト」を可能にすると発表した。Museは、Shopify上の商品カタログにアクセスできる。Meta側のビジネスモデルは、「(Museを介したビジネスの)取引額のごく一部を得る」とZuckerberg氏はポッドキャスト「Sources」で説明している。
ところが、EC最大手のAmazonは自社サイトにアクセスするMuseをブロックした。Amazonは9月20日の深夜、Museが利用者の代わりに商品を購入することは許可しないと利用者に通知した。Wall Street Journalによると、AmazonはMetaから事前通知を受けておらず、許可もしていないと説明している。Amazonは、「他の事業者から顧客に代わって購入することをうたうサードパーティのアプリは、オープンに運営され、参加するかどうかについてのサービス提供者の判断を尊重すべき」と声明で述べている。
SiliconANGLEによると、AmazonがMuseをブロックした理由の一つは、Museが購入時に自らをエージェントだと名乗っていないことだという。Amazonの利用規約では、エージェントがHTTPリクエストにテキストを埋め込んで身元を明示することを求めている。Amazonはまた、Museが利用者の指示に応じてAmazonのアカウントページや購入履歴を閲覧できることも問題視しているという。GeekWireによると、Amazonはこれを、未開示の第三者が顧客のアカウント内を動き回っているに等しいとみている。
Amazonがエージェントを締め出すのは、これが初めてではない。同社は2025年11月、Perplexityが開発したAIエージェント搭載ブラウザ「Comet」をめぐって、Perplexityを提訴した。連邦控訴裁は8月にAmazonが得ていた仮差止命令を取り消し、審理を差し戻した。利用規約に違反するエージェントをブロックすることまでは禁じていない。CNBCによると、AmazonはOpenAIやGoogleのエージェントツールもブロックしている。
アナリストらは、この背景に広告事業があると指摘する。Wall Street Journalによると、エージェントが買い物を代行するようになれば、広告を見せる相手である人間の訪問者が減ることになる。Raymond JamesのアナリストJosh Beck氏は、「ほぼすべてのインターネットマーケットプレイスは、大きな広告事業を持っているか、構築を計画している」と述べ、これが「大きなチョークポイント(急所)になる」とみる。
エージェントを受け入れれば、新たな利用者の流入が見込める一方で、広告を見る人間は減る。Beck氏は、差し引きで収益が伸びると確信できない限り、各サイトはエージェントを受け入れないとみている。