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クラウドも巻き込むTVストリーミングのAereo 最高裁でテレビ局と対決

 月額8ドルでテレビ番組をストリーミングするインターネットテレビサービスは、米国の著作権法に基づき再送信料を払う必要があるのか――。ベンチャー企業のAereoが米国のテレビ局と合意できず、最高裁判所に判定を仰ぐ。訴訟の行方はテレビの将来のみならず、クラウドサービスにも影響するとあって、注目を集めている。

米国版「まねきTV」のAereo

 Aereoは、契約したネットユーザー向けにテレビ番組をストリーミングするサービスを提供している。テレビ局が発する放送電波を小型のリモートアンテナで受信してインターネット向けに変換し、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末やPCで見ることができる。ストリーミングだけでなく、クラウドDVR(デジタルビデオレコーダー)サービスも提供する。利用料は月額8ドルだ。

 日本で「ロケーションフリー」をうたった番組ネット送信を展開し、昨年2月に著作権侵害訴訟で敗訴が確定した「まねきTV」のサービスに似ている。米国版とも言うべきAereoは2012年にサービスを開始し、米国11都市で展開している。同社はメディア実力者のBarry Diller氏の支援を受けており、創業者兼CEOのChet Kanojia氏は「高価なケーブルテレビの料金から消費者を解放する」と述べている。

 テレビ局はもちろんAereoのサービスに反発した。自分たちのコンテンツを勝手にストリーミングしていると主張。テレビ局は著作権法に基づきケーブルテレビ(CAテレビ)企業から再送信料を受け取っており、Aereoもこれを払う必要がある、としてCBSやABCなどのテレビ局はAereoを訴えた。

 なかでもCBSは複数の地区裁判所でAereoを訴えたが、そのたびにAereoが勝訴した。Aereo側は「無料の地上波信号をユーザー専用にリースしたアンテナで受信しているので視聴や録画は自由」と主張しており、2013年春の二審でも、「機器の提供であってテレビ局が持つ公の実演権(Public Performance)は侵害していない(=著作権を侵害していない)」というAereoの主張が認められ、Aereoが勝訴。テレビ局側が求めるサービス閉鎖はならなかった。

 そして今回、舞台は最高裁へ移る。Aereoを訴えているのはABC、CBS、NBCUniversal、21st Century Foxなどの主要地上波テレビ局だ。4月22日、原告のテレビ局とAereoは1時間のヒアリングを行い、双方の弁護士による口頭弁論が行われた。

(岡田陽子=Infostand)