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小規模企業の83%がパブリッククラウドに「興味なし」? ~JCSSA調査

Windows 10の導入率は1ケタ、Windows Server 2003はまだまだ利用中

 一般社団法人日本コンピュータシステム販売店協会(JCSSA)は16日、中堅・中小企業などを対象にしたIT導入調査を実施。パブリッククラウドの活用について、「利用しておらず、興味がない」と回答した小規模企業が83%に達し、中規模企業でも63%に達したことを明らかにした。

 また、Windows Server 2003については、2015年7月にサポートが終了しているものの、小規模企業では41%、中規模企業でも21%が、「移行はほとんど/まったく進んでいない」と回答。Windows10についても、10%以下の導入率にとどまっているとした。

 今回の調査は、同協会サポートサービス委員会が、従業員350人以下の中堅企業および中小企業764社と、IT業界のSIer、ディーラー、販売店で構成される同協会の会員会社のうち、従業員10000人以下の中小企業132社の合計896社を対象に、2015年9月~10月にかけてアンケートを実施。その結果をまとめたものだ。

小規模一般企業の83%がパブリッククラウドに「興味なし」

 パブリッククラウドサービスの導入については、ITビジネスを主体としている同協会の会員企業は、「利用中」が39%、「興味がある」が27%とあわせて3分の2が関心を寄せているものの、中規模一般企業はその割合が37%となり、小規模一般企業の83%がパブリッククラウドを「利用していないし、興味もない」と回答した。

 だが、同協会が別に実施した調査では、総務系、情報系、営業系の各業務において、パブリッククラウドの導入に興味があるとの回答が6割以上となっており、今後の導入には希望が持てると分析している。

パブリッククラウドサービスの利用状況

 クラウドサービスの検討、利用の際に重視する点としては、「サービスの価格」「サービスの実績」「サービスの導入・運用のしやすさ」「サービスの運用体系のわかりやすさ」が上位4項目。サービスの価格では会員企業では82%が重視していると回答。中規模一般企業では50%、小規模一般企業では63%を占めたのに比べて、業界内ほど価格に厳しい評価をしていることがわかった。

 同協会では、「クラウドサービスが話題になって久しいが、国内では思ったほど需要が伸びていないのが現状。販売店などの提供側は、このあたりに着目して売り込みを図る必要がある」とした。

 また、クラウドサービスを利用していない企業が、導入時に懸念する点については、「データを第三者に預けることによる情報漏えい」が最も多く、会員企業では71%、中規模一般企業では56%、小規模一般企業では43%を占め、次いで、「現行システムからの移行負荷」、「法制度・社内コンプラ イアンス上の問題」などが挙がっている。

 「昨年度の調査でも、セキュリティ、コストが上位に挙げられており、その傾向は変わらない」としている。

 さらに、これまでの調査結果から、クラウドサービスを導入する場合、専門家のアドバイスや技術的支援の必要性を聞くとする企業がほぼ半数に達していることを踏まえて、専門家を選ぶ際に重視する項目についても質問。ここでは、「サポート力、技術力、知識の広さ」が最も重視されていることがわかった。会員企業では95%、中規模一般企業でも60%、小規模一般企業では67%がこれを重視すると回答した。また、「実績」や「アウトソースやアドバイスにおける価格」が続いている。

 クラウドサービス対する今後の期待としては、「セキュリティの確保」や「データバックアップなどのデータ保護に関する保障」といった声が多い。また、「低価格なサービス」や「わかりやすい価格体系」といった声も挙がっているが、これは、現状のクラウドサービスの価格体系が不明確で、導入を推進する上での判断が難しいといった点の改善を期待していることが背景にあると分析している。

 「今後、クラウド事業者が、導入を検討している企業からの期待を反映したサービス提供や情報提供ができれば、クラウドサービスの導入拡大も期待できると思われる」としている。

専門家を選ぶ際の重視項目

Windows Server 2003はまだまだ残っている

 Windows Server 2003の現在の状況についても調査した。

 Windows Server 2003を利用していた回答企業のうち、会員企業で78%、中規模一般企業で73%、小規模一般企業では55%の企業が「移行をほぼ終えた」と回答。これに、「半分程度の移行を終えた」と回答した企業をあわせると、会員企業では90%、中規模一般企業では79%、小規模一般企業では59%となった。

 だが、これは裏を返せば、小規模一般企業で41%の企業が、中規模一般企業では21%の企業が、それぞれ「移行はほとんど/まったく進んでいない」という状況にあるといえる。ITを自らのビジネスとしている会員企業においても10%の企業でまだ移行が進んでいないことがわかる。

Windows Server 2003の移行状況

 Windows Server 2003を利用している企業では、その理由として、小規模一般企業では、「移行する予算の不足」が最も多く45%を占め、次いで「移行する必要性を感じない」が27%となった。中小一般企業では「移行する必要を感じない」が30%、「移行する予算の不足」が27%という順番だった。

 会員企業では、「利用しているプログラムがWindows Server 2003にしか対応していない」が40%と最も多く、次いで、「Windows Server 2003が安定して稼働している」との回答が24%を占めた。

Windows Server 2003を継続して利用している理由

 Windows Server 2003を使い続けている企業のセキュリティ対策としては、「セキュリティ対策ソフトの機能強化」、「ネットワーク機器での接続制限の強化」が多く、なかには、「社外との接続禁止」という回答もあった。

 「アプリケーションが、Windows Server 2003以外に対応できていないなど、どうしても置き換えられないケースでは、何とかリスクを回避しようという姿勢が読み取れる」とした。

 だが小規模一般企業では、「追加のセキュリティ対策はしていない」という回答も多く、一部企業には、対策を行っていない危険性も浮き彫りになっていることを指摘した。

 一方で、Windows Server 2003の移行先のOSとしては、Windows Server 2012および同2008への移行が多く、Windows Server 2012への移行は、会員企業で53%、中規模一般企業も53%、小規模一般企業では40%。Windows Server 2008への移行は、会員企業で65%、中規模一般企業で32%、小規模一般企業では43%となった。

 また、調査では、クラウドへの乗り換えについても追っているが、これまでの運用と同様に、自社内設置の物理サーバーへの移行が最も多く、会員企業で63%、中規模一般企業で49%、小規模一般企業では31%が移行。自社内設置の仮想サーバーへの移行では会員企業で33%、中規模一般企業で23%、小規模一般企業では13%となったのに対して、クラウドへの乗り換えは、会員企業で8%、中規模一般企業で9%、小規模一般企業では8%にとどまった。

移行後のサーバーの運用形態

Windows 10導入は1けた台にとどまる

 2014年4月にサポートが終了したWindows XPと、2015年7月から提供が開始されたWindows 10の利用状況についても調査を行っている。

 現在、使用しているクライアントPCのOSでは、Windows 7が圧倒的に多く、会員企業では97%、中規模一般企業で79%、小規模一般企業では68%となっている。圧倒的ともいえる利用率だ。

 次いで多いのが、Windows 8/8.1で、会員企業で36%、中規模一般企業でも36%、小規模一般企業では34%となっている。

 これに対して、Windows XPについては、サポート終了後も多くの企業で利用されている実態が浮き彫りになり、会員企業で27%、中規模一般企業では19%、小規模一般企業では15%となった。ITビジネスを本業としている会員企業において、Windows XPが最も多く残っていることがわかるとともに、実に4分の1以上の企業でWindows XPが利用されている実態が明らかになった。

 そして、Windows 10では、会員企業が8%、中規模一般企業で9%、小規模一般企業では9%と1けた台にとどまった。

 なお、Mac OS Xについては、会員企業で11%と2けたのシェアを獲得。中規模一般企業では5%、小規模一般企業では8%となっている。

クライアントPCのOS

 同調査では、Windows10の今後の導入計画についてもまとめている。

 現在、Windows 8/8.1を利用している企業では、Windows 10への移行を予定している企業が、会員企業で53%、中規模一般企業で57%、小規模一般企業では55%となっているが、Windows 7以前のOSを利用している企業では、Windows 10への移行を予定している企業は、会員企業で30%、中規模一般企業で35%、小規模一般企業では40%にとどまった。

 「Windows 8/8.1を利用している企業の方が、Windows10への移行に対して、より積極的であることがわかる。Windows 8/8.1を使っていない企業は、アプリケーションを新OS環境に移行することが難しいといった理由がある。Windows10への移行を進めるためにはさらなる推進策と時間が必要となるであろう。全体的には、Windows 10への移行は停滞気味である」とした。

クライアントPCのWindows 10への移行予定

大河原 克行