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NECと東北大、次世代スパコン技術の共同研究部門を設立

 東北大学とNECは27日、東北大学サイバーサイエンスセンター内に次世代スーパーコンピュータ(以下、スパコン)技術の共同研究部門を設置し、7月1日から研究活動を開始すると発表した。

 東北大学サイバーサイエンスセンターから研究者と職員、NECから技術者が参加する。主な研究内容は、次世代スパコンに必要とされる要素技術と、地震・津波・気候変動シミュレーション解析をはじめとする、科学的・社会的課題を解決するためのアプリケーションプログラム高速実行技術。

 次世代スパコンに向けた要素技術の研究では、プロセッサアーキテクチャ、ノード・メモリシステム、ネットワークシステム、I/O・ストレージシステムの設計と、それらの実現に求められるデバイステクノロジーなどを対象とする。また、マルチノード・ベクトルスパコンシステムに求められる高効率なベクトル処理や、大規模並列化技術の研究開発を行う。

 アプリケーションプログラムの高速実行技術については、防災・減災、ものづくり分野などのアプリケーションプログラムの特性解析技術、高速化技法、大規模並列化技術などの研究を行う。

 加えて、データ解析に伴って得られる大量データの利活用においても、学内外の研究者と連携し、高性能計算を通じた産学連携拠点の形成を目指す。さらに、東北大学に関連する大学院研究科や国内外の研究機関などと積極的な人材交流を図り、今後の計算科学・計算機科学分野における人材育成にも努めるとする。

 東北大学とNECは、1958年にパラメトロン敷の電子計算機「SENAC-1(NEAC-1102)」を共同開発し、その後も多くの共同研究を行ってきた。東北大学で稼働してきたベクトル型スパコンは、高いメモリ性能を生かし、防災・減災、航空機開発など幅広い分野で活用され、多くの研究成果を挙げてきた。2014年10月に運用開始予定のNEC製スパコン「SX-ACE」の開発においても、これらのノウハウが活用されており、引き続き先端学術情報基盤による新しい科学(サイバーサイエンス)の創造において教育・研究を行う予定。また、両者は文部科学省の委託業務である「将来のHPCIシステムのあり方の調査研究」(2012~2013年度)にも共同で参画するなど、密接な協力体制を築いている。

川島 弘之