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米MS、「Windows Azure Web Sites」「Mobile Services」の正式サービス開始

 米Microsoftは27日、「Build 2013」開発者向け会議において、新サービス「Windows Azure Web Sites」と「Mobile Services」の正式サービス開始(GA)を発表した。Windows Azureの機能追加も行われている。両サービスは既に2012年6月と8月にプレビュー版として公開されていた。

 Windows Azure Web Sitesは、Windows Azureを使用して大規模なウェブサイトを構築できるサービスで、Microsoft以外のオープンソース技術も利用できる。Mobile ServicesはiOSやAndroidなどモバイル向けバックエンドを提供する。

 両サービスともに、料金プランは3層、フリー、スタンダード、プレミアムに分けて提供されている。料金プランはAPIコールの回数などによって決められるが、フリーの場合は、プロトタイプ作成やテストなどの用途が想定されており、気軽にアイディアを試し、試用できることをアピールしている。Windows Azure Web Sitesの場合、最大10サイトを作れるが、SLAはない。

 今日の正式サービス開始によってこれまでプレビュー版で「Reserved」と呼ばれていたプランがスタンダードと改名し、99.9%のSLAと、24時間365日のサポートが受けられるようになった。

Windows Azure Web Sites

 Windows Azure Web Sitesは複数の言語とフレームワークを使用して大規模なウェブサイトを構築できる。ASP.NET、PHP、Node.JS、Python、WordPressやDrupal、複数のデータベースもサポートする。特にASP.NETで開発する場合、Visual Studioを使用して簡単に新規ウェブサイトの作成、既存ウェブサイトのWindows Azureへの移行が可能としている。

 今日発表された正式サービス開始に合わせ、SSLサポート、個別ウェブサイトスケーリング、REST APIを介したメモリダンプによるデバッグ、64bitプロセッササポートが追加された。

Mobile Services

 Mobile Servicesは、モバイル向けサービスにバックエンドを提供するサービスだ。Android/iOS/HTML5/REST API/Windows Store/Windows Phone向けネイティブSDKを提供し、ユーザー認証、プッシュ通知、サーバサイドデータ管理、ビジネスロジック開発を簡単かつ高速に開発できる。

 これら新サービスの正式サービス開始(GA)に加え、Windows Azure自体の機能も改良された。

 特にWindows Azure Web Sites、Cloud Services、Virtual Machine向けにプレビュー版として公開されたのがオートスケール、アベイラビリティー、モニタリング、アラートのサービスだ。アラートとモニタリングはMobile Services向けにプレビュー版として利用することもできる。プレビュー版利用に際して追加費用は発生しない。

 オートスケールは、「CPU利用率」と「ストレージキュー最大値」の二つのメトリックによって、いつ自動的にスケールするかを設定可能だ。オートスケールを利用するには、Windows Azure Management Portalから設定を行う。例えば、あらかじめ使用するVMインスタンス数を1から5に設定し、VMが使用するCPUレンジを40%から70%に設定しておくと、CPU利用率が70%を超えると、Windows Azureが自動的に5インスタンス以内でVMを追加してゆく。そしてCPU利用率が40%を下回ると、自動的にVMをシャットダウンして料金を節約する。

 また、アラートや通知機能では、VMのCPU利用率、ネットワークI/O、ディスクリード・ライト速度、URLのレスポンスタイムやアップタイムなどのメトリックをモニタリングできる。これらのアラート通知設定もWindows Azure Management Portalから可能だ。

 さらに別の発表として、新しいWindows AzureバーチャルマシンのイメージとWindows Azure Active Directoryの開発状況発表も行われた。

 新しいバーチャルマシンイメージとして追加されたのは、SQL Server 2014とWindows Server 2012 R2で、いずれもプレビュー版として公開された。

 また、Windows Azure Active Directoryの機能強化が行われていることも明らかにされ、米オンラインストレージ企業Boxなどサードパーティーと協力しながら、Windows Azure Active Directoryを使用して全ユーザーに対するシングルサインオン(SSO)を可能にし、「Active Authentication」を使用してマルチファクター認証を可能にするなどの開発状況が報告された。

青木 大我 taiga@scientist.com