NEC、Hadoopの性能評価シミュレータを開発、自社SIに適用開始


 日本電気株式会社(NEC)は4日、「システムモデルベースSI支援環境(Computer Aided System model based SI environment)」を開発し、下期から同社SIに適用を始めたと発表した。Hadoopを性能評価シミュレータで評価できるという。

 「システムモデルベースSI支援環境」は、SIプロセスを支援するもので、例えば、システム構築のための非機能要件評価ツールが複数用意されている。その1つである「性能評価シミュレータ」では、システムの可用性、拡張性、移行性、運用・保守性などのシステム特性を評価することが可能で、今回はさらにHadoopに対応した。

 複数のスレーブサーバーからなるHadoopクラスタによる並列処理は、スレーブサーバーの台数と性能がシステムの性能要件に大きく影響する。これまではシステム構築後に性能要件の達成度を確認するしかなかったが、Hadoopに対応した「性能評価シミュレータ」を用いることで、スレーブサーバーをスケールアウトした構成でのシステム性能を事前に予測できるという。

 NECでは「Hadoopの構造論からその長所と短所を見極めることで、Hadoopを利用したシステムの信頼性を向上できるとともに、これまでのDWH/BI系の大量データ処理に加え、基幹系バッチ処理時間の大幅短縮も可能になる」としている。今後も「システムモデルベースSI支援環境」を機能強化することで、より精度の高い大規模システムのシミュレーションも実現する考え。

 また、「システムモデルベースSI支援環境」を基にSI・システム構築を行うことで、設計・構築作業の一層の効率化を進め、より高精度な見積、大幅なコスト削減、品質向上を実現するとしている。

 なお、同取り組みの中心となる中央研究所では、システム信頼性評価技術に関する研究成果を、11月に開催されるISSRE(International Symposium on Software Reliability Engineering)で発表する予定。

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(川島 弘之)
2011/10/4 13:51