フォーステン、40GbEスイッチ「S4810」を出荷開始~日本市場でのシェア50%以上を目指す


S4810
フォーステンの代表取締役社長、林田直樹氏

 フォーステン・ネットワークス株式会社(以下、フォーステン)は17日、40Gigabit Ethernet(GbE)にも対応可能なトップオブラック向けスイッチ「S4810」を国内で出荷開始すると発表した。価格は180万円から。

 S4810は、1Uサイズのコンパクトな筐体に、10GbE/GbEに対応するSFP+を48ポート、40GbbE対応のQSFP+を4ポート備える高密度型のレイヤ3スイッチ。10GbE×48というだけでも相当の高密度だが、40GbE×4をさらに搭載できるため、「ボックス型ながら、データセンター内のコアに利用できるだけの性能とポート密度を実現している」(フォーステンの代表取締役社長、林田直樹氏)点が特徴という。

 従来は、データセンターのコアスイッチといえばシャーシ型を利用するケースが一般的だったが、ボックス型スイッチの性能が以前と比べて著しく向上していることから、ボックス型スイッチをコアに利用しよう、というメッセージは、ほかのベンダーでも盛んにいわれるようになっていること。これは、同じスイッチ容量のシャーシ型とボックス型を比べた場合、ボックス型の方が、ラックスペースや冷却、電力消費などが大きく節約できるからだ。

 ただし、そういた他製品と比べて高密度で、なおかつ高速な40GbEインターフェイスを搭載でき、「ほかでは類を見ない、1Uの中に1.28Tbpsのスイッチング容量を備えている」(フォーステン 営業統括本部システムエンジニアリング事業部 シニアシステムエンジニアの池田豊氏)点が、S4810の最大の差別化ポイントになるという。林田氏によれば、他社でもすでに40GbEを搭載したスイッチは発表しているものの、製品の出荷は実際に始まっていないとのことで、フォーステンはいち早くこれを出荷開始とすることで、競合に対するアドバンテージを築いていきたいとした。

 また、10GbE/40GbEのポートを利用して、仮想的に1つの大型スイッチとして管理できる「仮想シャーシ」機能を搭載しているのもメリットで、「専用ポート/ケーブルを利用する方式ではできない、距離に依存しない論理シャーシの構成が可能」(池田氏)とのこと。遅延についても、700nsと競合製品よりも低いレイテンシを実現しているほか、パケットのエラーをチェックするストア&フォワード方式と、あて先MACアドレスだけを見て高速にパケットを転送するカットスルー方式を柔軟に切り替えられるので、「より低い遅延を求めるHPCのお客さまにはカットスルーを、一般的なエンタープライズのお客さまには通常のストア&フォワードを使っていただくといった、選択肢を提供できる強みもある」(池田氏)と説明している。

 コストの面でも、安価に製品を提供するのはもちろん、高密度・低電力による電力・冷却コストの最適化を実現。さらに、SFP/SFP+/QSFP+といったモジュールは、サードパーティ製・競合ベンダー製も含めて、適合するスロットであれば、すべての製品を使えるようにした。池田氏はこの点について、いろんな企業が投資の保護をうたっているが、本当の保護とは何か、ということだと述べ、フォーステンでは、ユーザー企業のコスト最適化を念頭に製品を提供していると強調していた。

 なおフォーステンでは、2010年7月に発表した大容量バッファを持つ10GbE/GbEスイッチ「S60」と、近日発売予定の、コストパフォーマンスに優れた10GbE/GbEスイッチ「S55」と組み合わせて、ボックス型スイッチによるネットワーク構成を訴求していく考え。

 「当社もシャーシ型を提供しているので、その価値を否定するわけではないが、日本の企業内に多く存在するデータセンターは小規模なものが多く、シャーシではなくボックスを入れることで柔軟性を上げよう、といった提案をそこにしていく。高速なインターフェイスについても、100GbEよりも40GbEの方が、コストを含めた使い勝手がいいと思っている」(池田氏)。


シャーシ型と比べた、ボックス型のS4810の優位性S4810を利用した場合のネットワーク構成例。今後はTRILLにも対応する予定で、さらなる柔軟なネットワーク構成をサポートするとしている

国内売り上げを2年で3倍規模に、40GbEスイッチのシェア半分以上を目指す

日本向け戦略の4つの柱。いずれの項目も、日本市場へのコミットを念頭に進めるという
売り上げを2年で3倍にするのが目標

 フォーステンといえば、かつては10GbEスイッチを初めて提供したベンダーとして知られていたが、ここ数年は、市場に埋没している感がぬぐえなかった、というのが正直なところだ。林田社長も、この点については強く実感しており、そのためにもマーケティング活動を今後は積極的に行っていく必要があるとする。

 製品的にも、S4810やS60などの新世代スイッチが製品化されてきたほか、2011年にもS55をはじめとするいくつかの新製品が予定されており、「ここにきて、ようやく市場にはまるような製品が出てきた」とのこと。そこで現在は、「高い技術を持つテクノロジーカンパニー」というメッセージを前面に出し、製品の差別化と市場へ浸透するための活動を行っているのだという。

 具体的には、前述したようなマーケティング活動のほか、パートナーの開拓、サポート体制の拡充、アライアンスの展開などをしていく考えで、パートナーの開拓では、「1次店はしっかりしたところと関係を結べているので、特に2次店の獲得を積極的に行いたい」とのこと。そのためにも、サービスパートナーとともにプロフェッショナルサービスを開始し、導入などの面で新規パートナーを支えていくことも明らかにしている。

 販売対象としては、グローバルで実績のあるWeb 2.0系のサービスプロバイダや、S4810の低レイテンシを生かしたHPC市場、金融市場などを例として挙げ、一般企業も含めて、パートナーと獲得に取り組んでいきたいとの意気込みを示した。

 「目標は2年で日本の売り上げを3倍にすること。シェアも、10GbEスイッチでは10%、40GbEスイッチでは50%以上は取っていく。十分に可能な数字だと思っている」(林田社長)。


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