日本IBM、DBセキュリティアプライアンス「InfoSphere Guardium」新版


理事 ソフトウェア事業 Information Management事業部長の俵雄一氏

 日本IBMは14日、データベース(DB)のセキュリティを強化するアプライアンス新版「IBM InfoSphere Guardium(以下、Guardium) V8」を発売した。最小構成価格は592万5500円(税別)から。

 Guardiumは、DBサーバー自体にエージェントを配置することで、すべてのDBアクセスログを監視して不正なアクセスを遮断するアプライアンス製品。豊富なテンプレート群により監査レポートを生成し、承認などの監査プロセスも自動化する。2009年12月に米IBMが買収したもので、日本市場ではV7に続く新版の投入となる。

 新版では、セキュリティ機能と監査対応機能を強化するとともに、管理対象となるDBの種類を拡充した。

 セキュリティ機能では、機密データのマスキングに対応。通常は全データを閲覧できる特権ユーザーに対しても、クレジットカード情報といった機密性の高いデータを非表示にする。また、不正なアクセスを強制的に遮断する機能を、従来のLinux/UNIXに加え、Windows OSにも拡大した。

 監査対応機能では、より柔軟かつ詳細に監査プロセスを設計できるようにした。例えば、複数の承認者を設定したり、承認者が不在の場合の代替プロセスを設定したりと、きめ細かい設定が可能。また、ユーザー個人やグループなど複数のアカウント権限状況を一元的に監視し、レポートする機能において、対応するデータベースを大幅に拡大した。

 価格は592万5500円(税別)からで、14日より同社および同社ビジネスパートナー経由で販売する。「少なくとも今年中に100件ほどの成約を目指す」(理事 ソフトウェア事業 Information Management(IM)事業部長の俵雄一氏)。

Guardiumの仕組み対応DB/OS一覧

 IBMは同製品以外にも2010年にNettezaを買収するなど、情報分野の取り組みを加速させている。背景には、インターネットユーザーやデバイスの急増、無線ICタグの普及、ソーシャルアプリケーションの活発化などに伴う「情報爆発(Big Data)」がある。IBMの調査では、世界中の経営層(CEO/CFO/CIO)がそれぞれの立場から「情報」に着目し、情報の「統合」と「ガバナンス」の強化が企業の業績に貢献すると認識し始めているという。

 こうした状況に対応するため、IBMは「管理」「統合」「ガバナンス」「分析」の情報サプライチェーン全体をコントロールする必要があると考え、一貫した方針の下、製品ラインアップの拡充を進めている。データウェアハウス製品だけでも、従来の構造化データを格納する「InforSphere Warehouse」、非構造化データを格納するHadoopベースの「InfoSphere Big Insights」、変動するデータをリアルタイムに処理する「InforSphere Streams」をそろえている。InfoSphere Big Insightsなどはまだ製品リリースに至っていないが、3つのソリューションがそれぞれ連携するよう包括的なアプローチを進めているという。

情報の「統合」と「ガバナンス」のためには情報サプライチェーン全体をコントロールする必要がある幅広いデータウェアハウス・ラインアップ

 2011年の新施策としては、1月1日付けで「業種・業界に特化した新組織確立」「IM事業専任のパートナー営業部新設」「IM製品を導入した場合のROIを無償診断するサービスの提供」を実施している。

関連情報