シスコ、コラボレーションエクスペリエンスを推進する新戦略

検証済みデスクトップ仮想化システムも投入


代表執行役員 社長の平井康文氏

 シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)は24日、新しいコラボレーションエクスペリエンスを推進する戦略として、今後投入するすべてのエンタープライズ向けコラボレーションエンドポイント製品にビデオ機能を搭載していく方針を明らかにし、ビデオ機能を搭載した一連の新製品を発表した。

 あわせて、新たな仮想コラボレーションエクスペリエンスを提供するソリューションとして、検証済デスクトップ仮想化システム「Cisco Virtualization Experience Infrastructure(以下、Cisco VXI)」、およびCisco VXI対応の最新クライアントデバイスを投入することも発表された。

 新戦略の発表にあたり、代表執行役員 社長の平井康文氏は、「今後、より幅広く、よりインタラクティブなコラボレーション環境が求められる中で、ビデオを活用したソリューションが非常に重要な役割を担うと考えている。これに対して当社では、“パーベイシブビデオ”をコンセプトに、デスクトップからモバイル、各種テレプレゼンス製品まですべてのデバイスにビデオ機能の搭載を進めていく。さらに、タンバーグ製品も含め、すべての音声およびビデオ対応製品に、Cisco Unified Communications Managerとの相互運用性を標準装備し、システム導入から運用までを容易に行えるようにする」と、ビデオ機能を搭載する狙いを述べた。

全エンドポイント製品にビデオ機能を搭載Cisco VXIのビジョン

 また、検証済デスクトップ仮想化システム「Cisco VXI」について、「Cisco VXIは、デスクトップ仮想化とコラボレーションの両立を実現し、顧客に新たな仮想コラボレーションエクスペリエンス提供するソリューション。当社だけでなく、EMC、ヴイエムウェア、シトリックス、ネットアップ、ワイズテクノロジーといったパートナー各社とコラボレーションし、最先端テクノロジーを結集して生まれた、包括的なデスクトップ仮想化システムとなっている。仮想デスクトップ市場は、今後大きな成長が見込まれており、Cisco VXIを中核に、この市場において当社がリーダーシップをとっていく」と意欲を見せた。

 今回発表されたビデオ機能搭載の新製品は、エンドポイント製品「Cisco TelePresence EX60」と「Cisco TelePresence System 500 32”」、およびWeb会議システム「Cisco WebEx Meeting Center High Quality」の3製品。

 「Cisco TelePresence EX60」は、ナレッジワーカー向けのデスクトップシステムで、省スペースながら、既存製品の「Cisco TelePresence EX90」よりも、本体価格を約30%抑えている。一回り小さな本体と低価格により、多くの企業にとってテレプレゼンスを導入しやすいモデルとなっている。一方、「Cisco TelePresence System 500 32”」は、個人のオフィス環境があるエグゼクティブ向けにデザインされた据え置きタイプのエンドポイント。既存製品の「Cisco TelePresence System 500 37”」に比べ形状は一回り小さく、価格も30%抑えながら、同様の仮想エクスペリエンスを提供する。両製品とも、2011年第1四半期に販売開始する予定。

 「Cisco WebEx Meeting Center High Quality」は、高品質なビデオ機能を備えたWeb会議システム。シニアマネージャ プロダクトマネージメントの福永靖氏は、「ビデオ機能を従来の90Pから360Pへと大幅に強化し、ハイクオリティなビデオ映像を実現する。また、ActivePresence機能を搭載し、会議の参加者全員を画面下に一列に映し出すとともに、発言者をフルスクリーンモード表示に自動切り替えすることが可能となった。さらに、WebEx One TouchによるTelePresenceとのインテグレーションによって、TelePresence会議とWebEx会議を同時に起動できるようになった」と同製品の特徴を説明した。販売開始は12月(2011年始めに360Pにアップグレード予定)で、近日中にモバイル上でも「Cisco Cius」タブレット経由で同様の機能が使えるようになるほか、12月にはiPadへの対応も開始する。

シニアマネージャ プロダクトマネージメントの福永靖氏「Cisco TelePresence Exchange System」の概要

 なお、同社ではこの3製品に加え、サービスプロバイダ向けのソリューションとして、「Cisco TelePresence Exchange System」も発表した。テレプレゼンスサービス用のマルチメディアプラットフォームで、パッケージ化された ターンキーソリューションを採用している。これにより、サービスプロバイダは、迅速かつコスト効率よく、独自のクラウドベースのテレプレゼンスエクスチェンジサービスを構築し、マネージド型あるいはホスト型テレプレゼンスサービスを提供開始することが可能となる。

 あわせて発表された、検証済デスクトップ仮想化システム「Cisco VXI」は、「デスクトップ仮想化を強化・拡張したフレームワークで、テクノロジーパートナーとのエコシステムによって、オープンなVXIフレームワークを展開する。また、データセンターからネットワーク、エンドポイントまでを通じて仮想化に最適化されたアーキテクチャを提供する。さらに、テクノロジーパートナーと徹底した検証を行い、その結果をデザインガイドとして公開していく。これにより、あらゆるデバイスにおいて、いつでも、どこでもリッチメディアのユーザーエクスペリエンスを実現する」(福永氏)という。

Cisco VXI対応クライアントビジネスタブレット「Cisco Cius」

 今回、この「Cisco VXI」に対応したCisco Virtualization Experience Client(以下、VXC)デバイスの新製品として「Cisco VXC 2100」と「Cisco VXC 2200」の2機種、およびビジネスタブレット「Cisco Cius」を発表した。

 「Cisco VXC 2100」は、コンパクトタイプのデバイスで、「Cisco Unified IP Phone 8900/9900シリーズ」に組み込まれているため、デスク上のスペースを取らないのが特徴。PoEと最大2台のモニタ接続をサポートしており、仮想デスクトップ環境に合わせて4つのUSBポートでマウスとキーボードを接続することができる。一方、「Cisco VXC 2200」は、スタイリッシュなスタンドアロン型で、省スペースのゼロクライアントデバイス。仮想デスクトップおよび仮想デスクトップ環境で稼働するビジネスアプリケーションにアクセスすることができる。また、環境に優しいワークスペースを意識した設計となっており、PoEまたはオプションの電源から電力を供給できるほか、4つのUSBポートと2つのビデオポートを装備し、仮想デスクトップ環境に適した周辺機器をサポートすることが可能。両製品とも2011年上半期に販売開始する予定。

 「Cisco Cius」は、デスクトップ仮想化およびコラボレーション機能をサポートするビジネスタブレット。デスクではドッキングステーションによってVXIクライアントとして使用でき、移動時にはタブレットとして仮想デスクトップ機能にアクセスできる。販売開始は、2011年第1四半期の予定となっている。

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(唐沢 正和)
2010/11/24 17:23