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日立ソリューションズ、農業クラウド「栽培くん」〜生産履歴管理や農薬適正使用

 株式会社日立ソリューションズは、農業を支援する生産履歴管理・農薬適正使用クラウドサービス「栽培くん」を3月11日から提供開始すると発表した。JA向け価格はクラウドサービス加入料が157万5000円、クラウドサービス年間利用料は対象となる生産者数で変わるが、147万円から。

農業ITへの日立ソリューションズの取り組み〜2015年に10億円の売上を目指す

株式会社日立ソリューションズ 社会システム事業部 副事業部長 小玉 陽一郎氏

 日立ソリューションズは、2003年にJAようていから圃場・土壌情報管理システムを個別案件として受注したのを皮切りに農業分野に参入。2004年に同社農業ITソリューションの核となる農業情報管理システム「GeoMation Farm」の提供を開始した。

 2012年にはセンサーネット遠隔操作の実証実験を開始する一方で三井物産、日立製作所、日立ソリューションが提携してブラジルで衛星画像利用解析システムの有効性を検証するプロジェクトを開始するなど、グローバルな取り組みも開始している。

 株式会社日立ソリューションズ 社会システム事業部 副事業部長 小玉 陽一郎氏は、農業のIT化市場予測について、2010年は60億円規模の市場だったが、2015年には10倍の100億円、2020年には600億円と予測する調査会社の数字を上げた。同社の事業目標としては、GeoMation Farmを中心とした農業生産管理システムで、2015年には市場の1割、10億円規模に育てたいとした。

 1次産業である農業と、加工や販売・サービスなど2次、3次産業を含めて経営の多角化を図る「6次産業」の実現には、ITが寄与する部分が大きいと説明。6次産業の市場規模は2011年で1兆円だが、5年後には3兆円、10年後には10兆円になるとする農林水産省による数字を上げた。今年2月18日には安倍晋三首相を議長とする産業競争力会議で農業輸出拡大・農業競争力強化などについて議論が交わされ、農業を成長分野と位置づけて産業として伸ばしていきたいとする首相官邸サイトの言葉を引用し、農業従事者の平均年齢が66歳を超えるなど高齢化が進む中で農業ITの有用性が高まることを強調した。

 日立ソリューションズでは農業情報管理システム「GeoMation Farm」で作付作物と面積の管理、連作・輪作状況の管理、土壌分析データの管理、施肥設計、鳥獣害対策、収穫作業・集荷作業の支援などから、JA単位で利用するため、引退する農家と拡大したい農家の間の土地あっせんや農地・水・環境保全情報の管理、中山間地域交付金情報管理など地域全体で活用する情報などの管理までを提供。加えて、圃場環境モニタリングの「スマート圃場システム」、販売生産連携プラットフォームの「AgriSUITE」まで、農業に関するシステムをワンステップで提供できる点が強みだとした。

農業を取り巻く環境
農業ITとは
市場動向。2015年には100億、2020年には600億円の市場規模が予測されている
日立ソリューションズのこれまでの取り組み
日立ソリューションズ グループの農業IT

作物名や害虫名で農薬検索ができ、作業履歴も参照できる「栽培くん」

 今回提供を開始する「栽培くん」は、圃場ごとに品目・品種、播種日、定植日、収穫日、農薬の使用状況、肥料の使用状況などの栽培履歴を記録・管理することで、農薬の適正使用に向けて生産者を支援するシステム。生産者がインターネット環境で日々栽培履歴を記録したり、農薬シミュレーション機能により農薬の使用方法が農薬使用基準に適合しているかを農薬散布前に確認することもできる。

 現在はJA単位での導入を基本としたプランとなっており、日立ソリューションズのデータセンター内に設置したクラウドサーバーにすべてのデータを格納。クラウドとJAをVPNで直結し、JAの事務所以外からは生産者の氏名や住所などの管理者情報にはアクセスできないようにすることで、情報漏えいリスクも大幅に低減できるとしている。

 機能および管理画面は生産者向けと管理者向けで分かれており、生産者向け機能では圃場管理、栽培状況管理、出荷履歴管理などが行える。管理者向け機能では、栽培状況管理、出荷履歴管理、栽培履歴管理用記帳シート登録、農薬・肥料などのマスタデータ管理などが行える。

「栽培くん」生産者向け管理画面
作物名や害虫名から、有効な農薬が検索できる
薬剤ごとに農薬の成分や希釈倍率、年何回まで使用できるかなどの情報が確認できる

【お詫びと訂正】記事初出時、クラウドサービス加入料が誤っていたため修正しました。

(工藤 ひろえ)