フリービット、PCでもスマホでもない“Social Computer”を作ってみた

第1弾は手のひらサイズのクラウド対応プロジェクター


 フリービット株式会社は20日、クラウド/ソーシャル時代の新しいコンピューターとして“Social Computer”というコンセプトを発表するとともに、同コンセプトに基づく第1号製品“Social Computer01”を、子会社のエグゼモード株式会社から発売すると発表した。

“Social Computer01”となるクラウド対応小型プロジェクター「aigo Projector Cloud」

 Social Computer01として、中国Aigo Information Digital Technologyと共同で、小型LEDプロジェクター「aigo Projector Cloud」を開発した。本体サイズが90.8×98.8×31.2mm(幅×奥行き×高さ)、重さが約230gという手のひらサイズながら、最大輝度は300ルーメン。DLP方式により、明るい部屋でも利用可能だという。投影距離は9~380cmで、スクリーンサイズは3.5~150インチとなる。解像度はXGA(1024×768)とVGA(800×600)。光源にLEDランプ(寿命は最長2万時間)を採用しており、起動が1分程度と速く、本体が熱くならないのも長所。スタンダードパッケージ(PT6316L)の価格は4万9800円で、12月20日よりaigo製品直販サイト「aigo shop」で予約受付を開始した。12月下旬より出荷する。

 フリービットによると、aigo Projector Cloudは小型・軽量プロジェクターとしてだけでも十分に魅力のある製品だというが、その名称のとおり、クラウドと連携することを前提に設計しているのが特徴だ。組み込みOS(Windows Embedded CE 6.0 R3)を搭載するとともに、IEEE 802.11b/gの無線LAN機能を内蔵。さらに本体上面がタッチパッドになっており、aigo Projector Cloud単体で操作してインターネットなどを利用できる。Windows Embedded CEに含まれる簡易ブラウザ機能(Internet Explorer)によりWeb閲覧も可能だ。WordやExcel、PowerPointといったOfficeドキュメントの閲覧・編集が行えるほか、テキストファイルやPDF、音声や動画ファイルにも対応する(Flashは未対応)。

 クラウドストレージサービス「ServersMan@Disk」の専用アプリも搭載しており、容量10GBのプランが最大3カ月間無料で利用可能だ(以降は月額210円)。このほかCloud Mirror機能により、ネットワーク上のほかのPCのスクリーンをaigo Projector Cloudで映し出すことも可能だ。

 内蔵メモリは2GBで、外部ストレージとしてmicroSDスロット×1基、USBポート×2基を備える。このほかの外部インターフェイスは、USB mini B、VGA入力(D-SUB)、映像・音声入力、イヤフォン出力が各1ポート。付属品は、USBマウス、小型三脚、各種ケーブル、ACアダプターなど。本体およびこれら付属品をまとめて持ち運べるポーチ型の専用ソフトケース「CloudBasket」も付属する。

前面上面はタッチパッド
背面側面

 なお、電源は付属のACアダプターを使うが、オプションで22000mAhのリチウムポリマーバッテリー「aigo ポータブルパワーパック(N2688)」も販売する。これを使うことでaigo Projector Cloudのプロジェクターを2.5時間駆動できるという。14種類のコネクターも付属しており、aigo Projector Cloudだけでなく、ノートPCや携帯電話などにも使用可能だ。サイズは114×189×23.5mm(縦×横×厚さ)で、重さは約640g。オープンプライス(想定実勢価格は2万2800円)で、12月20日より予約受付を開始、2012年1月下旬に出荷予定。

 aigo Projector Cloudの上位パッケージとして、「aigo Projector Cloud Premium(PT6316S)」も7万9800円で販売する。ハードウェア部分は同じだが、ServersMan@Diskが容量100GBプラン最大12カ月間無料(以降は月額1155円)と拡張されるほか、付属品としてタッチパッド付き小型ワイヤレスボード(USB接続)や折りたたみ式A4スクリーン、大型三脚も加えた。サポート体制も、スタンダードパッケージではメールのみだが、プレミアムパッケージでは電話による対応も行う。

オプションの「aigo ポータブルパワーパック(N2688)」付属の専用ソフトケース「CloudBasket」
プレミアムパッケージに付属のタッチパッド付き小型ワイヤレスキーボード「aigo Projector Cloud」起動画面のメニュー。(上段左から)クラウドミラー、Windows CEデスクトップ、ServersMan@Disk、(下段左から)無線LAN設定、各種設定

Social Computerは、ソーシャルとソーシャルのゲートウェイ

 フリービットの石田宏樹代表取締役社長は、Social Computerというコンセプトに至った背景について、シリコンの進化は処理速度の向上や容量の増加だけに限らないのではないとし、クラウド上のソーシャル空間とリアル空間のソーシャルのゲートウェイとなるようなコンピューターの進化の方向性もあると考えたことを説明。Social Computerに必要となる要素として、以下のような機能を挙げた。


  • Cloud Computer:OS、CPU、ネットワーク機能を持ち、クラウドコンピューターの基本形を満たしている
  • Flexible size monitor:画面サイズがシーンに応じて柔軟に変えられる表示機能(例えば10~100インチ)
  • Touch Interface:タッチ形式での制御が可能である
  • I/O:ほかの機器、記憶装置と情報がやりとり可能な入出力インターフェイスを備える
  • Simple UI.:直観的な操作が可能なユーザーインターフェイス
  • Micro size:持ち運びが苦にならないコンパクトなきょう体
  • Cloud Mirror:柔軟なサイズでの表示を、直接/ネットワーク経由でほかの機器に提供する機能
  • Cloud Doc/Media Player:単体での画像/動画/各種ドキュメントの表示・再生
  • +α:アプリケーションソフトの追加などによりユーザーが価値を追加できる機構を備える

フリービットの石田宏樹代表取締役社長Social Computerに必要な要素

 こうしたコンセプトをaigoと共有し、まず作ってみたのがSocial Computer01なのだという。aigoは以前より小型プロジェクター製品を手がけていたが、エグゼモードの開発部隊を中国に送り込み、フリービットのネットワーク技術も投入した。

 Social Computer01の利用シーンとしては、まず取引先企業などでのプレゼンテーションがあるという。ノートPCとプロジェクターをそれぞれ用意せずとも、aigo Projector CloudおよびクラウドストレージのServersMan@Diskだけで済むとしている。また、女子会などでは、SNSなどに投稿された写真などをレストランの壁に映し出せばトークも盛り上がるという。さらに、ビデオチャットではちょうど等身大になるように投影すれば、実際に向かい合って話しているような感覚でコミュニケーションできるとしている(ただし、aigo Projector Cloudにはビデオチャットアプリは搭載されていない)。一方、プレミアムパッケージに付属する折りたたみスクリーンのように、A4サイズのスクリーンサイズ(15インチ程度)で使用すれば、ちょうどPCのようなパーソナルな使用スタイルにも対応する。

プレゼンテーションでの利用シーンExcelのシートも表示可能
女子会での利用シーンプレミアムパッケージに付属のA4折りたたみスクリーンでの表示

 フリービットでは、これまでクラウド上のソーシャル空間への接点となっていたPCやスマートフォンは、個人での利用を前提とした機器にとどまっており、「仲間がたくさんいるソーシャルネットワークにアクセスできるのに、使っている姿は一人ぼっちで画面に向かっていて、寂しいし何よりつまらない」と指摘。クラウド内の楽しく豊かな時間とリアル空間の人々の姿のギャップを埋めるため、“仲間”と“つながり”をキーワードとして開発したのがSocial Computer01だと説明している。

 なお、Social Computer01がプロジェクターという形をとったのは、フレキシブルなスクリーンサイズを実現させることに重点を置いたためだ。また、Windows Embedded CEを採用したのは、組み込みOSとして実績があるほか、このクラスのハードウェアスペックでも軽快に動作することを優先した結果だという。今後、本体に小型のタッチスクリーンディスプレイを搭載したような製品も考えられ、そうなるとスマートフォン系のOSの可能性も出てくる。フリービットではまずはプロジェクターとしてSocial Computerというコンセプトを提案してみたというが、第2号製品は全く異なった形になる可能性も示唆している。

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