日本IBM、ソーシャルビジネスの新施策として「LotusLive」を機能拡張~モバイル端末用アプリも


ソフトウェア事業 ブランド・セールス&オペレーション担当 執行役員のヴィヴェク・マハジャン氏

 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は14日、同社のソーシャルビジネス戦略に関する記者発表会を開催し、新たな施策として、パブリッククラウドで提供する企業向けコラボレーション・サービス「IBM LotusLive(以下、LotusLive)」の機能拡張、およびモバイル端末用アプリケーションの新製品について説明した。

 まず、ソーシャルビジネスを取り巻く市場背景について、ソフトウェア事業 ブランド・セールス&オペレーション担当 執行役員のヴィヴェク・マハジャン氏は、「近年、ソーシャルの活用は急速に増加し、社会活動にも大きな影響を与えるようになってきた。こうした中で企業は、ソーシャルメディアの環境、仕組み自体を社内やステークホルダーとの間に構築し、利用者個人の便利さのためではなく、ソーシャルが実現する価値を企業にとっての価値にしていく取り組みが重要である」と指摘する。

企業のソーシャルビジネス全体をカバーするIBMのソリューションセット

 そして、「当社では、こうした企業のソーシャル活用を支援するため、ユーザー向けの機能だけでなく、企業のソーシャルビジネス全体をカバーするソリューションセットを提供している。今回発表するLotusLiveの機能拡張やモバイル端末用アプリケーションの新製品投入もその一環であり、他社との大きな差別化ポイントになる」との考えを示した。

 企業向けコラボレーションサービス「LotusLive」の機能拡張では、従来まで日本国内のデータセンターからは「コラボレーション(情報共有と共同作業)」と「Web画面共有(Web会議、Webセミナー)」のみのサービス提供となっていたが、本日より電子メール機能「LotusLive Notes」の提供を開始するという。

ソフトウェア事業 ロータス事業部長 理事の三浦美穂氏

 ソフトウェア事業 ロータス事業部長 理事の三浦美穂氏は、「日本データセンターからメールサービスの提供を実現したことで、日本を含めたアジア地域のユーザーにとってメールサービスのさらなるパフォーマンス向上が期待できる。また、パブリッククラウドにおいて国内データセンターの利用を希望する企業も、これで安心してメールサービスを利用することが可能になる。さらに、ユーザー社内のLotus Notes/Dominoとのハイブリッド構成も、日本データセンターでサポートする」としている。

 あわせて、本日より全世界共通で「LotusLive」の機能を拡張した最新版「Lotus Live 1.5」を提供する。今回の機能拡張は、(1)ソーシャルビジネス機能の強化、(2)ガバナンスの強化、(3)ユーザーの操作性・利便性向上--の3点。

 ソーシャルビジネス機能の強化では、共同作業の場である「アクティビティ」の、所有者権限を譲渡できる機能を提供する。例えば、他部門への異動などによりアクティビティを立ち上げた社員が、同アクティビティと無関係になった場合でも、ほかのメンバーに所有者権限を委譲することで、個人に依存せずにこれまでの成果を継続することができる。

 ガバナンスの強化では、「LotusLive」での共同作業において、“いつ、誰が、何を、どのように更新した”といった利用状況を管理者が確認できる機能や、参加メンバーが共有可能として提供したファイルを管理者の判断で共有禁止にできる機能など、管理者の権限を強化した。

 ユーザーの操作性・利便性の向上では、ファイル機能内でのフォルダーへのドラッグ&ドロップでの文書移動を可能にしたほか、コミュニティを所有者とするファイルのアップロードに対応している。

 なお、料金は以前から変更なく、最新版「LotusLive Notes 1.5」も1人1年間の利用料金は8580円(税別)となる。

 モバイル端末用アプリケーションのラインアップ強化は、12月7日に米国本社で発表されたもの。今回、Lotus Softwareの全製品分野においてモバイルデバイス(スマートフォン、タブレット)対応を強化し、モバイル端末をビジネスで使用する上で必要な要件を満たした7種類のモバイル端末用アプリケーションを新たにリリースする。これにより、IBMテクノロジーを利用したソーシャル・ネットワーキング、リアルタイム・コラボレーション、オンライン会議機能を、企業のファイアウォール内にとどまらず、モバイル端末からも安全に利用することが可能となる。


「IBM Connections」のモバイル端末での利用イメージ「LotusLive Meetings」のモバイル端末での利用イメージ

 モバイル端末用アプリケーションとして新たに提供するのは、ソーシャルソフトウェア「IBM Connections」、Web会議「LotusLive Meetings」、インスタント・メッセージング「IBM Sametime」、ユニファイドコミュニケーション「IBM Sametime Unified Telephony」、業務文書ビューア「IBM Lotus Symphony Viewers」、Lotus Notes/Domino向けウィジェット「IBM Lotus Notes Traveler」、Webエクスペリエンスを向上する「IBM WebSphere Portal Mobile Experience」の7製品。


「IBM Sametime」のモバイル端末での利用イメージ「IBM Lotus Symphony Viewers」のモバイル端末での利用イメージ

 「IBM Connections」は、既存ユーザー向けにApple App StoreからiPhone、iPad用アプリケーションを無料で提供する。「LotusLive Meetings」は、iPad、iPhone用アプリケーションを正式提供するとともに、Android用およびBlackBerry用のアプリケーションも提供する。「IBM Sametime」は、iPad用およびAndroid用のチャット・クライアント・アプリケーションを提供。「IBM Sametime Unified Telephony」では、タブレット端末を使った音声通話も利用可能となる。

「IBM Lotus Notes Traveler」のモバイル端末での利用イメージ

 「IBM Lotus Symphony Viewers」は、iPad、iPhone用およびAndroid用のアプリケーションを提供する。「IBM Lotus Notes Traveler」では、iPad、iPhone向け機能の提供と機能強化を実施するほか、Android用アプリケーションの提供と機能強化も行う。「IBM WebSphere Portal Mobile Experience」では、ポータル画面をモバイルデバイスに最適化された画面で提供する機能を強化。あわせて、モバイルデバイス向けの画面開発機能も強化している。

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(唐沢 正和)
2011/12/15 06:00