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日本マイクロソフト、ハイブリッドクラウド時代に向けたWindows Server 2016をアピール

さまざまな革新的新機能を盛り込む

 日本マイクロソフト株式会社は19日、Windows Server 2016をはじめとしたHybrid Cloudソリューションに関する説明会を開催した。

 10月に提供を開始したWindows Server 2016についてマイクロソフトでは、「Intelligent Cloud Platformが今回のWindows Server 2016のビジョン。マルチデバイス、マルチサービス、マルチクラウド環境、さらに共通の管理インターフェイス、システム連携といったことを、一つのプラットフォームで一貫性をもって提供するというビジョン」(日本マイクロソフト Cloud&エンタープライズビジネス本部 エグゼクティブプロダクトマネージャーの岡本剛和氏)と紹介。

 さらに、「オンプレミスであるWindows Serverと、クラウドのMicrosoft Azureが同一のプラットフォーム基盤、共通のデータベースアクセスと管理、容易なアプリケーション統合、共通のツールでの統合的な管理、スキルやノウハウの流用できる、Hybrid Cloudソリューションとするための機能強化を行った」(同氏)と説明している。

 販売を強化するために、全国でセミナーを開催し、ユーザー、パートナー、販売店トータルで3000人以上へのアピールを予定。さらに国内でクラウドサービスを提供する事業者1326社をピックアップし、このうち897社をHybrid Cloudへの移行することを計画するなど、エンドユーザーがHybrid Cloudを利用しやすい環境作りを支援していく。

Intelligent Cloud Platform
全国セミナー展開計画
日本マイクロソフト Cloud&エンタープライズビジネス本部 エグゼクティブプロダクトマネージャーの岡本剛和氏

 今回のWindows Server 2016の新機能のポイントは次の3点。

1)OSレベルのセキュリティ:組み込みのセキュリティ機能、ID保護、仮想化プラットフォームのセキュリティ保護
2)Software Defined Datacenter:組み込みのSDDC機能、低コスト&エンタープライズ対応、Azureを基にしたインフラストラクチャ
3)クラウドレディアプリケーションプラットフォーム:組み込みのコンテナ、軽量Nano Serverオプション、Azureへのライセンスの移行

Windows Server 2016の新機能のポイント

 1)のセキュリティはWindows 10コアと共通のもので、OSのコア技術としてのセキュリティを高めた。その上で新たな機能として仮想マシン保護機能を搭載し、「仮想化基盤にも機密情報管理という考え方を用いた。仮想マシンに不正侵入され、データを外に持ち出されるような事態が起こった場合でもデータを暗号化し、盗まれたデータの悪用を防ぐ」(日本マイクロソフト デベロッパーエクスペリエンス&エバンジェリズム統括本部 ITアーキテクチャー推進部 エバンジェリストの高添修氏)など、仮想環境でのセキュリティを高めた。

 また特権管理機能を搭載し、特定の日程で、特定の利用者に、特定の作業だけを許可するなど、管理面からセキュリティを高める機能も搭載している。

OSレベルのセキュリティ

 2)のSoftware Defined Datacenterは、「Azureで培った技術を用いた進化」(高添氏)となっている。Storage、Hyper-V、NetworkでそれぞれSoftware Definedを実現している。特にStorage、Hyper-Vの一部については単機能だけで使いたいという要望に応えるため、Nano Serverを実現した。

 また、ハイパーコンバージドインフラをサポート。「ようやくということになるが、各ベンダーと話しているとハードウェアに依存することなく、ハイパーコンバージドインフラを作ることができるマイクロソフトに対して期待する声もあがっている」(高添氏)という。

 コストを抑えて導入できることから、低価格でサーバー増設をのぞむ中堅・中小企業にとってはメリットのある機能となる。Fileシステムについても、NTFSからReFSを採用する新しいチャレンジを行った。

 Windows Server 2016のハイパーコンバージドのベースとなっているのがAzure Stackの基盤。よりクラウドライクに操作を行うことができるようになった。

Software Defined Datacenterを実現する新機能

 3)クラウドレディアプリケーションプラットフォームとしての機能強化は、2)でも触れたNano Serverの提供と、業界標準となっているDocker準拠のコンテナ技術を搭載した点だ。

クラウドレディアプリケーションプラットフォーム

 なお、Windows Server 2016は、2012とはエディションの内容が異なっている。SOHO向けのEssentials(参考価格:9万6200円)、Standard(想定価格:16万9600円)、Datacenter(想定価格:118万4000円)の3つのエディションがあるが、StandardとDatacenterには機能差がある。ストレージレプリカ、SDN、シールドされた仮想マシンはDatacenterのみに搭載されている機能となっている。

 またSystem Center 2016のエディションとしても、Standard(想定価格:25万4400円)、Datacenter(想定価格:69万3600円)を用意している。

Windows Server 2016の主なエディション
System Center 2016のエディション

 サーバーへのバンドルモデルは、Dell EMC、NEC、日立、HPE、富士通、レノボから提供される。年内から年明けに順次製品が投入される見込みだ。

サーバーへのバンドルモデルも順次提供

マルチOS、マルチクラウド環境を一元管理

 Hybrid Cloud時代の管理機能として、マルチOS、マルチクラウドな環境を一元管理できるOperations Management Suiteが提供される。

 オンプレミス環境ではSystem Centerとの連携を実現し、クラウド環境ではAzureだけでなくAWSにも対応。モバイルアプリからも操作が可能で、Windows Mobileだけでなく他のモバイルOSからも操作ができる。

 「ハイブリッドクラウド時代だからこそ必要となる、一元管理ができる運用管理サービスを提供するのがOperations Management Suite」(日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部 シニアプロダクトマネージャーの冨永晶子氏)。

Operations Management Suite

 代表的な機能であるインサイト&分析は、データの収集、分析、視覚化を行うもので、各種ログ、各種パフォーマンスを収集して分析する。全データを横断検索することも可能となる。

 セキュリティ&コンプライアンスは、不正アクセスがなかったのかなどを収集したログデータから、ログインの回数、時間、パスワードが変更されたことを把握するなどをチェックすることが可能。さらにAzureのセキュリティセンターとの連携することもできる。

インサイト&分析
セキュリティ&コンプライアンス

 自動化&コントロールは、ハイブリッドクラウド環境の管理タスクの自動化を実現する。テンプレート化された代表的タスクRunbookを活用することで、自動化を容易に設定することができる。コンフィグレーションが変更された場合など構成変更を一覧から確認し、シャドーIT対策として活用することも可能となる。

 保護&可用性は、統合されたクラウドバックアップおよびサイトリカバリによって、重要なアプリケーションおよびデータの可用性を保証し、クリティカルなデータを保護する。Azureへのバックアップ、Azureおよびユーザー所有のサイトへのサイト復元を行うこともできる。

自動化&コントロール
保護&可用性

 Operations Management Suiteは月額サブスクリプションで提供され、全てノード単位のライセンス。サービスに含まれる機能によって、価格は1020円から3060円まで用意され、セットでの提供も行っている。

各サービスに含まれる機能と価格
ライセンス体系

ハイブリッドクラウド利用促進のための施策

 なおWindows Server 2016の販促策としては、ユーザー、パートナー、販売店とターゲットごとに全国セミナーを展開。さらにハイブリッドクラウド利用を促進するためのライセンスに関する新しいオファリングとして、VMwareマイグレーションユーザー向けにはSAの価格のみでライセンスを提供する。また、Datacenter Editionへのステップアップをするユーザー向けにはステップアップライセンスを割引価格で提供。さらに、Azureハイブリッド利用特典を2017年6月30日まで実施する。

 また、「マイクロソフトではクラウド売上比率を50%まで拡大する目標を掲げている。それを実現するために、日本でのハイブリッドクラウド利用を促進する施策を行う」(岡本氏)との観点から、日本でクラウドサービスを行っている事業者1326社をピックアップ。これらの事業社のうち897社をオンプレミスの最適化とクラウドへの移行、クラウドイノベーションの取り込み、クラウドを利用した新たな価値創造を行うという視点で、ハイブリッドクラウドを提供できる事業者へとの転換をうながしていく。

ライセンスに関する新しいオファリング
クラウド売上比率を50%を目指す