インタビュー

元AWS小島氏×元Azure砂金氏特別対談。二人が考えるクラウドの未来とは?(後編)

 日本のクラウド黎明期よりクラウドサービスを牽引してきたお二人に、これまでの経験を踏まえて今後のクラウド業界の展望を自由に語ってもらう特別対談企画。後編は、コミュニティやテクノロジー、生き方から気になるお二人の今後についても。Think ITでの前編はこちらから。

Think IT掲載

元AWS小島氏×元Azure砂金氏特別対談。二人が考えるクラウドの未来とは?(前編)
https://thinkit.co.jp/article/10973
日本のクラウド黎明期よりクラウドサービスを牽引してきたお二人に、これまでの経験を踏まえて今後のクラウド業界の展望を自由に語ってもらう特別対談企画。Think ITの前編パートでは、なぜ二人がクラウドサービスを仕事にしたのか、クラウドファーストな時代になるまでの遍歴を振り返っていただいた。

コミュニティ活動の費用対効果?

小島:
 AWSって一番急先鋒だから既存にはないやり方が結構通用して、それだけ見てると、とても特殊に見える。だけど、僕がマーケティングとしてやってきたことは、コミュニティ活動の一方でセミナーや展示会など、いわゆる普通のリードジェネレーション活動も年間200件以上やってました。だからレギュラーの活動は実際やってるんですよね。決してコミュニティ活動だけで広がったわけじゃない、だけどコミュニティがあったから初速も早かったし拡散するのも早かった、これも間違いない。

――私も昼のスーツ着てる方のセミナーに行ったことあります。

小島:
 とにかく、みんなが「クラウドって良さそうじゃないか」って耳にするシーンをどれだけ作るかです。それで、詳しく聞いてみようと思えば、昼間のセミナーにもたくさん参加してくれる。

砂金:
 スーツを着て昼のセミナーっていうのがありましたけど、エンジニア向けの施策って結構難しくて、日本の場合は自分の好きなことを仕事にして作りたいものを作って生計を成り立たせてるエンジニアの人口は、そんなに多くない。受託開発というかSIというか、そういう所に身を寄せてお給料はそちらで貰いながら、自分のやりたいことをそれ以外の時間でやってる方々っていうのが、比率でいうとそれなりな無視できない数、たくさんいらっしゃる。

 マイクロソフトの当時の立場で言うと、僕たちも違うアプローチでクラウドっぽいことをやんなきゃいけないよね、っていうのを積極的に言う推進派だったんですけど、保守派な皆さんは、「コミュニティ活動とか、勉強会とかそんなことやったって実案件にはぜんぜん役に立たないんだからやめときな」、それが昼のスーツの顔だけを見てる人のコメントだと思います。

 ただそういう人が別のペンネームとかで夜間の勉強会をやったりとか、土日に勝手にもくもく会みたいのをやったりとか、一生懸命自分を高めようという活動はどこに所属してる人であろうが、やる気のある人はやってるはずなんです。ただ同じ物理的な人を1人の人格としてきちんと見つめて、対応するということが初期のころ、特にできてなかった。

 やはりそういう人たちがコミュニティで見聞きしてきたものを、実案件でどうにか使いたいという社内突破の努力をしてくれて、実際のビジネスにつながる。ただ、これはたぶんマーケティング的に非常にトラッキングが難しいのではと。

元Azureの砂金信一郎氏

小島:
 トラッキングは難しいです。マーケティング用語的には(コミュニティ活動を)リードジェネレーションだと思うと失敗するんです。だからデマンドジェネレーションだったり、アウェアネス獲得なんですよ。いま砂金さんがおっしゃったように、特に営業サイドから見るとイベントはリードジェンの場なんですよね。

 見込み客に来てもらってそこからどんだけ案件になるか。それはそれで正しいんですけど、同じイベントっぽい立て付けなのでコミュニティ活動を件数ではかると、いやいやぜんぜん合わないじゃないか、だいたい名刺もらってないならトラッキングできないじゃん、みたいな話しになります。

 (マーケティング)ファネルがぜんぜん違うんですよね。コミュニティは、いろんな人がイベントに来る前の段階で良さそうだというのを醸成したり、コミュニティが育ってくると使ってる人にクロスセルをアップするナーチャリングのエリアなんです。ここが結構誤解されます、コミュニティに否定的な人はリードジェンで見るから、効果的じゃないのはその通りだと思います。だけどファネル全体でみると非常に有効な手段ですよね。

 でも、なんかアマゾンだとそれ(コミュニティ活動)でうまくやってるようだっていうのは、漏れ伝え聞こえたりするわけじゃないですか。

元AWSの小島英揮氏

砂金:
 まあまあそうですね、はい。

小島:
 なんかこう社内で風向きが変わったりとかしなかったんですか?

砂金:
 もちろんありますよ。マイクロソフトがやっぱすごいなって思うのが、社内に明確にコンピート担当っていうのがいるんですよね。競合分析をして、どこが負けていてどうしらたリカバリーできるのか、それは昔、例えばVMwareをやっつけるにはどうしたらいいかとか、Office 365でGoogle Appsをやっつけるのはどうしたらいいのかと。

 で、今は躍起になってみんなでAWSを分析して、彼らの製品のどこがいいのか、やり方のどこがいいのか、それはなぜマイクロソフトが向いてないのか、やれないのか何がボトルネックなのかっていうのを一生懸命考えてますよね。

 時間はかかるんですけど、キャッチアップできる底力というかはすごい恐ろしいなと思っていて、僕が今後どういう仕事をするかわかんないですけど、マイクロソフトに叩き潰される側にはまわりなくないっていうくらい、なんかこう底知れぬ力は感じてました。

小島:
 キャッチアップするカルチャーとかDNAはありますよね。

砂金:
 そうですね。

小島:
 基本的に全部そうじゃないですか。新しいカテゴリーが大きくなった時により、きちんとオーガナイズされたもの提供して、力業で最後なんとかして。それこそいまディレクトリサービスはみんなActive Directoryを使ってますけども、昔はノベルっていうのあってですね(笑)。

砂金:
 Lotus Notesとかも。

小島:
 歴史を見るとそうなので、AWSの中でもマイクロソフト過小評価するのは絶対にいけないって雰囲気はすごいありましたね。「歴史を見ろと、キャッチアップしてくることが多かったし、だから慢心してはいけない」これはすごい言ってましたね。

砂金:
 ただ、分析してできることとできないことがあるんですね。業界内での立ち位置とかパートナーさんとの関係とかいろいろあるんですよ。必ずしも全てを見よう見まねでやればいいかとそういう事じゃない。

小島:
 まあ違いを知ろうという。ギャップを認識しないとギャップって埋まらないんで、そう意味ではすごくいいやり方ですよね。ただ、今の話を聞いて面白いなって思うのが、基本的にアマゾンってあまり競合を見る方に時間を割かない会社なんですよね。競合が言ってること、やることはコントロールできない、だけどお客様と自分の間の関係はコントロールできるで、新しいものを提供したり、お客さんのクレームにどう対応したりとか、そっちの方に時間を使った方がいいよっていうのが、AWSに限らず、アマゾンの文化です。"カスタマーオブセッション"って言い方をしますけど。

 そういうのもあってマイクロソフトとかはすごく気にしなきゃいけない、その過小評価はしないけども極端にそっちにパワーをさかれなかったのが良かったのかもしれない。もともとリソースがないわけです。だからぜんぜんポジションが違いますよね。

――(AWSは)開拓して行く側ですかね?

小島:
 だから横を見てるより前を見た方がいいよねっていうことですね。開拓側ということで言えば。

砂金:
 マイクロソフトはなんかいい感じに市場が温まってきたな、そろそろ本気出すかみたいな。そのタイミングをいつにするか、たぶん今までの敵とAWSが圧倒的に違うのは、追いつこうと思ったら敵の方が早かったっていう。今までは後から馬力かけて頑張ればいつか追いつけるんだけど、そもそものスピードが、ほかのGoogleとかも含め、クラウドという世界観でやってると、なんか3年に1回メジャーリリースをしますとか、そういう時間軸ではないところで戦っているので。

小島:
 僕もそう思います。前社がソフトウェアの会社(アドビ)だったんで、やっぱりアマゾンに入って、あぁこれはソフトウェアの会社じゃないんだなと。もうとりあえずオペレーションの会社だと、日々改善っていうのは普通に当たり前でフィードバックに対してどう対応するかが日々あるわけですよ。

 でもソフトウェアって日々はやんないんですよね。メジャーバージョンアップは何カ月や何年に1回というタイムスパンなので、そこまでにどれだけ要望を精査して、できればあまり追加を入れずに変更のコードを少なくするかが大事だったりします。それからバージョンアップをするってことは、逆に言うと明確な機能アップがないといけないので、機能アップの為に機能追加をやるわけです。だから顧客との対話が結構少ないんですよ。

 それこそソフトウェアの会社いるときあんまり気が付かなかったんですけど、全然違うんですよね。要望に対してそれをキャッチアップして実装してすぐ提供するまでのスピードが。もちろん全部ができるわけじゃないんですけど。

――リリースサイクルって意味だと、完全にそのスパンが違うと。

小島:
 だからバージョンアップって概念がクラウドにはないんですよ。これはなんかすごく違うような気がしますね。それがさっき、砂金さんが言ってたGoogleとかアマゾンがちょっと今までのコンペティターと違うのは、ソフトウェアの考えでキャッチアップしようと思うと、なんかすごい先に行ってるというとこだと思います。

 たから今度はソフトウェアがついていけなくなるんですよね。だからサブスクリプションビジネスになっている。僕がいた前職のアドビもそうなんですけど、クラウドを使い始めるとクラウド側が作るのが早いので。

砂金:
 マイクロソフトの中できっと一番大きな変化はそのスピード感の対応を、このAzureとかOffice 365の流れの中で実現できたことです。敵が早いぞってことに気づいたんですね、敵だけじゃなく世の中のマーケットの動きも早いぞと。今までと同じようなやり方でやっていってはいけないっていう自己否定が、不思議とこの12万人くらいいる会社なんだけれどもできる。アドビさんとかもそうですよね、いままで稼いできたものを自分でイノベーションのジレンマを乗り越えるというか、そういう底力がある変容を遂げたっていう事実。今後AWSの次にまた新しいわけわからない宇宙人が敵になってやってくるかもしれないんですけど、その時にまた変わればいいじゃんって、その文化が今回のマイクロソフトにとってはすごく大きなことなんじゃないかなと思います。

――確かにクラウド前提になっていろんなものが、こうサイクルが変わっていますね。

小島:
 最近早いですよね。すごく早くなったと思います。

――クラウドの前提になった時にその取り巻く周りの環境が今後どうゆう風になっていくんでしょうか?

小島:
 ソフトウェアベンターは実はそんな変化しなくていいと思っていています。もちろんアップデートのサイクルはすごく早いんですけど、ソフトウェア提供することには変わりないので。ただ今までのように、パッケージを渡してお客さん自らインストールしてもらうモデルである必要が無いですよ。

 例えばAWSだったら、プリインストールされた環境がサーバーごと立ち上がるわけで、早さを手に入れてんですよね。ただ、ソフトウェア自体はSaaSモデルにしなくても、BYOL(Bring Your Own License)みたいなライセンスの形でビジネスすることもできるので、そんなにこう劇的に変化しなくてもいけるのかなと。

 ただハードウェアビジネスは難しいですよね。なぜかというとハードウェアを調達して設置してそこに人がオンサイドで付いてくる、そこにインストールをしたり保守部品を変えたりという、その一連のエコシステム全体をビジネスにしてるわけですよ。

 ハードウェアを置くってところからビジネスがデザインされてると、その中心がなくなっちゃうので非常に厳しい。少なくとも今再検討するとクラウドの方はどんどん数字が伸びていって、サーバーの出荷金額はたぶん横ばいなんですけど。いま日本のサーバー出荷金額って年間5000億円くらいで、IDCさんの予想だと2018年にパブリッククラウドの市場規模が5000億くらいになるって言われてるんですよね。だからもうそろそろクラウドがサーバー出荷金額を超えるんですよ。で、今後これはキャッチアップすることはないですよね。オンプレが多くなることはないんですよ。

砂金:
 でもそこはね、どこまでがクラウドですかと。AWSはまるっきりパブリッククラウドだし、Azureっていう名目をつけてるものは、まあだいたいクラウドですがAzure Stackなるものも出てきましたと。もう2016年のタイミングで、結構皆さんがクラウドって一言でとらえる範囲が、たいぶ広くなったんじゃないかと思います。

 ハイブリットクラウドみたいなサービスが、意外と居心地よく生存している現状で、クラウドの名のもとにビジネスがいろんなとこが集中します。

 ハードベンダーさんはハードウェアを売るんだけども、その上でプライベートクラウドを作れるコンサルティングサービスができるので、いろんな価値が提供できるんです。クラウドってキーワード、およびそこで生まれた仕事のやり方とかIT業界の全体の変化が、最初の小さい範囲のAzure VS EC2みたいな範囲じゃなくて、もっと大きな動きになっちゃってるのかなと。

――プライベートクラウドの話が出てくると、オンプレのプライベートクラウドの戦いなのかほんとにわからなくなってきて。

小島:
 プライベートクラウドはオンプレですから、ハードウェアを所有するっていうのがスターティングポイント。さっき僕が言った話がまさにそれで、ハードを置くそのまわりにビジネスができてるから、これまでのモデルなわけですよね。

 ソフトウェアベンダーは、ちょっと俯瞰できて、物理サーバーであれバーチャルサーバーであれインストールされればいい。ただ配布のチャネルとか変えていかなきゃいけないけど、ちょっとやそっとじゃ変わるわけない、アドビのCreative Cloudもそうですよね。PhotoShopそのものがガラっと変わる訳ではないです。

 でもちゃんとハードにまつわる人はほんとに難しくて、砂金さんが仰る通りクラウドの出荷金額って実際どうなの?という話はあるんだけど、サーバーの出荷が横ばいになってのはファクトなんですよね。

 クラウドと呼ばれるものにお金がシフトしてるのも事実なので、キャッチアップの時が2018年なのか19年なのかは精査しなきゃいけないけれど、だけど僕がアマゾンいた時見てきたとこでいくと、既存のビジネスのパイはシュリンクしているのは誰もが理解している。やってるのはどうやって延命するかですね。もしくは、いち早くトランジションするか。この2つに1つしかないですよ。

 で、トランジションした人の方がたぶん将来が大きい。それは過去のいろんなテクノロジーの変遷を見てくるとハッキリしてますよね。もしシュリンクするところで絶対的1位になるんだったら、それはそれでビジネスとしては成り立つけども、みんなは残れないわけです。

砂金:
 さっきの2018年のタイミングの話ですが、マイクロソフトの平野社長がクラウドの売り上げ比率を半分にするっていうことを、日本マイクロソフト株式会社としてのコミットメントとしてやってるんですね。業界のマイクロソフトの位置付けって、オンプレもクラウドも含めてそれなりに大きいと思います。その会社の売り上げがクラウド半分っていうような状況が、割ともう会社目標として近いところにきています。

 冷静に考えるとですよ、WindowsとかOfficeのとかものすごく大きい売り上げがありながらも、半分をクラウドが占める状況がマイクロソフトでさえきている。翻って業界全体に俯瞰すると、そういうタイミングは今年なのか来年なのか再来年なのか、まあその辺の状況で出てきちゃうのかなとは思います。

小島:
 流れは確定だと思いますよ。クラウドWatchになりましたって話しをしたけど、まさにその通りで、クラウドになることはまあ間違いないんですよ。だけどそれがどれくらいのスピードなのか、どれくらいのパーセンテージなるのかっていうのが、人によっていろいろ違う。ビジネスだとシュリンクする場でやるのか、広がる場でやるのかっていうのは、すごく実はシンプルな話なんですよね。これから広がる場でバリュー出した方が、組織としても個人としてもいいはずなんですよ。

 いまデジタルマーケティングとかすごく盛り上がってますけど、それはやり方が増えていろんなことできるようになったからそれに合わせていこうっていう、ごく自然な流れですよね。

 今までのITの難しさが、1人の人が企画して実現するまでに必要になる本数とか時間とかお金とか、仲間の数は圧倒的に少ないんですよ。これはいろんなパラダイムシフトを生んでいて、1つは今までの分業の中で閉じこもっていると仕事が無いんですよ。設計の人、コーディングの人デバックの人、QA対応の人、こういうサイクルで"こと"が進まないです。たぶんそのソフトウェアの作り方とか、お客さんの対応の仕方どんどん変わってくるはずで、俯瞰して物を見られる人はすごい力を持つ時代になると思うんですよ。技術だけ知っていてもだめで、サービス全体のイメージとかができてる人の方が強くなると思うんです。

砂金:
 その、全体がシュリンクするっていうのをIT業界の会社の話で言うと、情報システム部門の予算は減るんですよ。だけど、企業投資全体が減るかって言ったらそうじゃないですよね。もう少し現場部門で製造部分とかも含めて、使ってるお金に入り込まなきゃいけないです。それは単なるIT提案じゃなくて、クラウドは道具として使うんだけど、お客さんの困りごとを私たちが解決しますよ、利益を増やしますよ、コストを削減しますよってことを、きちんと設計して提案できる方々は増えてる企業投資に行った方がいいと。

 意識的に組織としてそういうことをずっとしてたかどうか、結果そうなったのかはわからないですけど、たぶんAWSとかセールスフォースはあんまり情報システム部に依存しないというところが大きくて。なので、IT業界っていうところに自分が所属しているっていう意識がある人からすると、その中で食ってくのはもうちょっとしんどくて。

 そこから他の人たちにどうやって自分たちの価値を理解してもらえて、新しいビジネス生んでくか、それを作るときにはアジャイルで素早く、とりあえず200人月ですとかそういう話しじゃなくて、3人のチームが2週間で作ってみましたって、いうようなことができる人たちが、たぶんほんとは望まれてるんだと思います。

 そういう人たちをどれだけ我々がやってきた活動で生み出せてきたのか、その卵みたいな人が育ってるのかっていうのは、なんかもうちょっと応援したいというか増やしたいなと思うんですよね。

小島:
 実際増えてますよね。Uberはタクシー会社から生まれなくて、ITテクノロジーから生まれています。アマゾンも源流をたどるとITテクノロジーカンパニーっていうベースがあって、そこでeコマースという商材考えた時に本にたどり着いただけであって、別に本屋からスタートしてないんです。

 ITからスタートしてそのビジネスを食ってく、みたいなものがここ10年20年実はずっと続いてるんですけど、今はカンブリア紀みたいなもんで、爆発的にガーっと増えてるわけですよ。そうした時に、みんなのイメージにある情シスのオールドITエコノミーはたぶんシュリンクするんですよ。

 今、ほとんどビジネスがITにかかわっていて、事業そのもののITなんですから、情シスが牛耳ってるだけじゃなくて、サービス作る人がやってる訳ですよね。そうニューITエコノミーには膨大に大きくなってるわけです。

砂金:
 LINEみたいな会社にいるとネットにつながってることが当たり前だし、そのインフラを支えることが収益をもたらしますと。で、IoTとかFintechとかブロックチェーンとかいう言葉が出てきてくれたおかげで、製造業や金融業のお客さんが次にそういう風に考える。

 で、全部が全部IoTで製造業のあり方が変わるとかいうのは行き過ぎかもしれないけど、なんか変わんなきゃっていうきっかけを作る一因にはなっています。

 要はITを道具として使って、それを情シスまかせにするのではなく、自分たちがビジネスを設計するうえで、どういう今ある便利な最新の部品を使うと自分たちのビジネスをトランスフォーメーションできるのかと。そういう考え方がエンドユーザー側というか非IT企業に生まれている気がします。非IT企業とか言うとまた微妙な表現ですけど。

小島:
 すべてIT企業になってますよ。

――すべてがソフトウェア企業になるみたいな。

砂金:
 そんな感じです。

小島:
 ソフトウェアって気を付けて使わないと、ちょっと語弊を生むような感じがするんですけど、まあでも実態がないものでプログラミングで実現するって意味だとソフトウェア企業ですよね。そしてその中には、もちろんクラウドを使うっていう文脈が入ってます。